ジョニー・デップさんが海賊ジャック・スパロウに扮(ふん)した最新作「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」(ヨアヒム・ローニング監督、エスペン・サンドベリ監督)で、ジャックの“相棒”ヘンリー・ターナーを演じたブレントン・スウェイツさん。10代で1作目を見て以来、ずっとこのシリーズのファンだったというスウェイツさんは、今回のヘンリー役を「素晴らし体験でした」と振り返る。このほど来日したスウェイツさんが、撮影で苦労したことやヘンリーへの共感、さらに今作がスウェイツさんに“もたらしたもの”について語った。
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スウェイツさんが演じるヘンリーは、かつてジャックとともに冒険したウィル・ターナー(オーランド・ブルームさん)とエリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイさん)の息子。今回ヘンリーは、父ウィルにかけられた呪いを解くために、ジャックとともに、大海原で大冒険を繰り広げる。スウェイツさんはこの大役について「素晴らし体験でした」としながらも、「僕としては、これまで(の出演作)と同じように準備をし、同じ姿勢で撮影に臨み、自分の仕事に徹したまでです」と浮かれた様子は見せない。一方で、プロモーションで世界各地を回り、反響の大きさを肌で感じ、「世界中の人々を魅了している作品に自分が出ている」ことに、不思議な感覚を覚えたという。
アクションアドベンチャーでありながら、家族や、父と息子の愛についても描いている今作。「ヘンリーは父と一緒にいたいのです。その思いが高じて、父にかけられた呪いを解こうと戦っています。僕が気に入っているのは、そういった、ヘンリーがウィルを救うために必死に頑張っているところです」と、自身が演じた役に共感を寄せる。
スウェイツさんは、オーストラリアのクイーンズランド州出身で、サーフィンやジェットスキーなどマリンスポーツをこなす。今作も海を舞台にした作品ではあるが、撮影中は数々の苦労があったようだ。特に難しかったと挙げたのは海賊船上のシーン。「動いているものがたくさんあって厄介でした。スタッフやキャスト、スタントマンが一緒になってやっていかなければなりませんでしたし、CGのことも考慮しなければなりませんでした。それに、せりふに重点が置かれている場合もありました。とにかく、多くの要素が絡んでいたのです」と説明する。
今作は、スウェイツさんにとって運命的な作品でもある。というのは、2015年、今作の撮影が故郷クイーンズランド州で行われた際、現在のパートナーのクロエ・パシー(Chloe Pacey)さんと出会ったからだ。16年3月には2人の間に女児が誕生している。
劇中で、ヘンリーの両親ウィルとエリザベスは、10年に一度しか会えない“夫婦”。そこでスウェイツさんに、家族を持ったことで、結婚に対する価値観の変化はあったかと尋ねると、「価値観は変わっていません。というのは、僕自身は結婚していませんから。あくまでも、子供がいて、彼女(パシーさん)はガールフレンドです」とした上で、「僕は、結婚は素晴らしいものだと思っていますし、人生におけるイベントの一つとして大切なものだということも理解しています。ただ、結婚には、法的なことであったり、(互いの)家族のことであったり、いろんな要素が関わってきます。その点で、いろんな障害もあると思うのです。結婚は、“(当事者)2人の関係性”を次の段階に進めるためのものではあると思いますが、ただ、僕自身は結婚していないので、よく分からないこともあり、その質問に関してはいいコメントができません。ごめんなさい」と恐縮しながら答えた。その言葉を受けて、「愛があれば、必ずしも結婚は必要ないと?」と問うと、「その通りです!」と力強く答えた。
日本語吹き替え版では、ヘンリーの声を若手俳優の中川大志さんが担当している。このインタビューの前日に行われたジャパンプレミアで対面した中川さんの印象について、ブレントンさんは「タイシ!」と満面の笑みで、「彼は素晴らしい男性です。今後、いいキャリアを積んでいくと思います」とたたえた。最後に、日本の女性をどう思うかと聞くと、「大好きです!」とこれまた満面の笑みで答えていた。
<プロフィル>
1989年生まれ、オーストラリア・クイーンズランド州出身。クイーンズランド工科大学卒業。オーストラリアのテレビシリーズへのレギュラー出演などを経て、映画「マレフィセント」(2014年)で王子役に抜てきされる。「キング・オブ・エジプト」(16年)では、人類の命運を託される盗賊を演じた。ほかに「ガンズ&ゴールド」(13年)、「ギヴァー 記憶を注ぐ者」「シグナル」(共に14年)などに出演している。
(取材・文・撮影/りんたいこ)
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