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窪田正孝:演技は型にはまったら終わり「イメージを崩していきたい」 映画「東京喰種 トーキョーグール」主演

映画 マンガ
主演映画「東京喰種 トーキョーグール」について語った窪田正孝さん

 俳優の窪田正孝さんの主演映画「東京喰種 トーキョーグール」(萩原健太郎監督)が29日に公開された。「東京喰種 トーキョーグール」シリーズは、人肉を食らう喰種をテーマにした石田スイさんの人気マンガが原作。2011~14年に「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載され、14年からは新章「東京喰種トーキョーグール:re」が同誌で連載されている。14年と15年にテレビアニメも放送された。映画は、喰種が人間と同じように暮らす東京を舞台に、平凡な大学生が事故をきっかけに半喰種となってしまったことで、人間と喰種の戦いに巻き込まれていく姿を描く。主人公の金木研(カネキ)を演じた窪田さんに話を聞いた。

 ◇人間と喰種は背中合わせの存在

 事故で移植を受け半喰種となってしまうという難役について、窪田さんは「カネキ自身すごく保守的で、周りに人の少ないタイプ」と切り出し、「そんなカネキが喰種という世界に足を突っ込んだとき、喰種と人間どちらの世界でも生きていくという覚悟を決めたとしても、喰種の世界の人たちからすれば、人間の世界はものすごく甘ったるいものなのかなって思われたりするのでは」と推測する。

 一方で、「カネキの中で葛藤し頑張っているところはもちろんありますが、血の匂いに誘われてどんどん(喰種側に)浸食されていくというのは、すごく演じていて納得ができた部分でもあった」とカネキの心情に理解を示し、「人間のいろんな顔、表の顔や裏の顔というものを、人間と喰種に置き換えていると思うので、そこの部分は見て楽しんでいただけたらと思います」と思いをはせる。

 喰種という存在を、「誰でも生活の中で思っていても、言わないだけということはあると思います。そうやって言えないことを表面化しているのが喰種の形なのかなって」と分析し、「だからどこか人間と喰種は、背中合わせの部分があるのではと思います」と持論を語る。

 ◇人気マンガの実写化に期待と不安が入り交じる

 原作者の石田さんから熱いラブコールを受けてカネキ役を演じたが、「本当に身に余る光栄なんですけれど、正直、悩みましたし、原作の実写化に携わるのも初めてじゃないので、断る選択肢もどこかにあったとは思う」と当時の悩める心境を明かすも、「大きなチャンスだと感じましたし、原作の先生に言っていただいたからこそ、救われた部分もあります。心強かったです」と感謝する。

 それでも人気マンガの実写化だけに、「心強かったのですが、それでも不安のほうが大きかった。いろいろな方と話していて『原作が大好きだから』と言われるたびに、耳をふさぎたくなるのは正直なところです」と話し、「自分も大好きだから、本当によかったのかなって思っている部分もあって。(公開を控えた)今の方がびびってます」と苦笑いを浮かべる。

 原作の石田さんとともに試写を見たという窪田さんは、「本編が全然頭に入ってこなくて、横にいる先生をずっと見ていました」と反応が気になったそうだが、「暗くて横顔も見えないし、微動だにされないから、いろいろ思うところがあるのかなと勝手に勘ぐっていました」と心配だったという。

 試写後は2人きりで会話をしたが、「『東京喰種 トーキョーグール』という作品について、自分が思っていることなどは話しましたが、大半は何でもない会話をしていて、LINE交換もしました」と笑顔で語る。後日、LINEで石田さんから感想が送られてきたそうだが、「全体的なカネキの荒さみたいなものが『逆にそれがよかった』と言われたときにはすごくうれしかったです」と喜ぶ。

 ◇動物側から見れば人間こそが「喰種」

 喰種の捕食器官「赫子(カグネ)」を駆使したアクションが圧巻だが、カネキが初めて赫子を使うシーンでは、「扱い切れていない感じや、振り回されている感じというのは出したいと思っていました」と窪田さんは意図を明かし、「トロフィーで攻撃したり、ちょっとした“遊び心”的な部分を入れつつ、喰種の世界に初めて片足を突っ込んだみたいなイメージでやっていました」と話す。

 後半では素顔がばれないようにマスクを装着するが、「表情はマスクをするので見えない部分もありますが、(気持ちの中では)絶対見せてやると思っていたし、マスクに隠れているからと(表情の演技を)休むつもりは全然なかった」と言い、「せりふを言いながら(マスクの中で)口元は笑っていたりして、それがどこか声色とか形に出たらいいなと思っていました」と演技プランの一端を説明する。

 窪田さんが装着するマスクは、左目部分以外は顔がすべて覆われている。クライマックスの戦いは天井が高くガラス張りの建物に囲まれた空間で撮影が行われたが、「ガラスでできていて外の光が全部入るので、(撮影は)オールナイトで5日間やりました」と窪田さんは説明し、撮影が進むにつれ、「3日目あたりからはリハーサルでもマスクを着けて、だんだんマスクがないと恥ずかしい、素顔が見えると恥ずかしいみたいな感じになっていました(笑い)」と楽しそうに話し、「(マスクが)喰種として生きているときのカネキの象徴なのかな」と分析する。

 予告映像にも使われていて、同シーンで発せられる「この世界は間違っている」というせりふについて、「本当にその通りだなと思います。人間だけが毎日、朝昼晩とちゃんとご飯を食べて、仕事をして家族を守る。どれだけ美しく生きることを許されているんだろうかと思う」と窪田さんは切り出し、「鳥や豚、牛たちが会話ができたり、人間と同等の力を持っていたりしたら、彼らからしたら僕らが喰種。そういう意味では“本当の喰種”って、人間じゃないかなって思ったりします」と自身の見解を述べる。

 ◇俳優業を続けていく心構えとは

 ここ数年は数多くの作品に出演、引っ張りだこの状況だ。俳優業を続けていく中で意識していることは、「誰かと会話をしている中で、ここはポイントとして何か覚えておこうではなくて、体が勝手に覚えていくポイントがある。そういうものが(自分の中にあるものを出していって)空っぽになったとき、ふと出てきたりすることがある。それをヒントに、ちょっと形を変えたりということはあったりします」と言い、さらに「(演技は)出していく作業だから、新しい台本を読んだときに、新しい形を作っていければ」と真剣なまなざしで語る。

 そして、「今は役者として生きているから、作品の中で自分の役割をまっとうしていくことが生きる上での糧になっています」と言い、「型にはまったら終わりだなと思うし。人のイメージをどんどん崩していきたい」と目を輝かせる。

 今作では喰種が人肉と水とコーヒー以外は受け付けないということから食べられない苦しみを描いているが、「誰にも好きなものはあるし、それは本当に人それぞれの形。例えばタバコや酒をはじめ、依存性のあるものが世の中にありますが、一度手をつけてしまったら、多分もう二度と戻れない。それが今回は人肉という形になっていると思う」と説明し、「欲に負けない自分でいるという、きれいに生きるのも生き方ですが、その先に行った人にしか分からない形もあると思う」と喰種の生き方に理解を示す。

 そして、「自分なりの選択は必ずいろんなところで迫られるし、究極の選択もあると思う。そのときに、(見た人が半喰種を演じた窪田さんからの)メッセージとして思い出していただけたらすごく幸せかなと思います」と話す。そんな窪田さんが食べられなくなったら嫌なものは「砂肝」で、「砂肝を奪われたら許せない。多分、喰種になるんじゃないですか」とちゃめっ気たっぷりに笑った。

 <プロフィル>

 1988年8月6日生まれ、神奈川県出身。2006年、フジテレビのドラマ「チェケラッチョ!! in TOKYO」主演で連続ドラマ初出演。12年には映画「ふがいない僕は空を見た」(タナダユキ監督)ほかで第34回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞などを受賞。主な映画出演作は、「カノジョは嘘を愛しすぎてる」(13年)、「予告犯」(15年)、「ヒーローマニア-生活-」「64 -ロクヨン- 前編/後編」「MARS~ただ、君を愛してる~」(以上16年)、「ラストコップ THE MOVIE」(17年)など。現在、主演ドラマ「僕たちがやりました」(関西テレビ・フジテレビ系)に増渕トビオ役で出演中。

 (取材・文・撮影:遠藤政樹)

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