俳優の濱田龍臣さんが主演を務めている「劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!」(坂本浩一監督)が10日、公開された。昨年7〜12月、テレビ東京系で放送された特撮ドラマ「ウルトラマンジード」の劇場版。沖縄を舞台に、強大な敵・巨大人工頭脳ギルバリスに、過酷な運命を乗り越えたウルトラマンジードが立ち向かう姿が描かれている。テレビシリーズから主人公の朝倉リク/ウルトラマンジードを演じ続けた濱田さんに、昔からあこがれだったというウルトラマンを演じた心境や当時のプレッシャー、劇場版への思いなどを聞いた。
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特撮ドラマ「ウルトラマンジード」は、ウルトラマンベリアルの遺伝子を受け継ぐリク(濱田さん)がウルトラマンジードに変身し、ペガやウルトラマンゼロたちと共に地球を守るために戦う姿を描いた作品。劇場版では、地球がデータ化して消え去るという危機に、ジードやウルトラマンオーブ、ジャグラス ジャグラー、ウルトラマンゼロが立ち向かう。巨大人工頭脳ギルバリスが宇宙のどこかに隠された「赤い鋼」の手がかりを求めていることを知ったリクたちは、その手がかりがあるという沖縄へ向かう。そこで謎めいた美女・アイル(本仮屋ユイカさん)に出会ったリクは、ある重大な使命を託され……というストーリーが展開される。
テレビシリーズ終盤と並行しての撮影だった劇場版。濱田さんは「境界線があいまいだったので、あまり気負ったりはせずにやっていました」と撮影を振り返る。そんな濱田さんとは対照的に、今作ではリクが「自分の力だけで地球を守らなければならない」と気負い、自信を失いかけるなど悩む姿が印象的だ。濱田さんは「気負い過ぎているのか、それとも、ただの八つ当たりのようになっているのか考えながら、坂本監督と現場ですり合わせをしながらやりました」と明かす。
坂本監督との話し合いは、特に時間をかけた。「『このシーンでこういうせりふがありますけど、どういう感情から出てきますか? 僕はこう思うんですけど、どうお考えなんでしょう?』とか、分からないところを聞いていくスタイルでした」と濱田さんは明かす。イメージのすり合わせは、監督とだけではなく、キャスト同士でも。「監督を中心に、全員がイメージをすり合わせながら。例えば、せりふ回しでも『こっちのせりふ回しの方がいいんじゃない?』とか。でも、すごく和気あいあいと笑い合いながら、フランクな感じでした。意見を言いやすかったし、監督陣もそれを受け止めて100%で返してくれるので、楽しい現場でした」と笑顔を見せる。
「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」「決めるぜ! 覚悟!!」などの決めぜりふのシーンも見どころ。演じる上でどのような思いがあったのだろうか。濱田さんは「どうやったら盛り上がるのか、間の取り方は考えています。例えば『決めるぜ!覚悟‼』なら、一気に言い切るのか、途中で間を置くのか。なるべくスパッと、コンパクトだけど間を空けつつ言ってみたり。『ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!』も、感情によって言い方が変わってくる。落ち着いているけど心は燃え上がっているのか、自分を奮い立たせるために言っているのか……。そこは間の取り方や声のトーンを考えながら」と説明する。
完成作を見て、「こんなお芝居していたんだなーっ、恥ずかしいなーって。こっぱずかしいというか、ニヤッとしながら見ていました」と濱田さん。今作では前作の主人公だった、ウルトラマンオーブとなって戦う青年・クレナイ ガイ(石黒英雄さん)とも共闘した。濱田さんは「ガイさんとの共演シーンは緊張しましたね。前作の主人公で人気もありましたし。石黒さんも独特の雰囲気があって、その雰囲気にのまれながら」と振り返り、「リクは戦士としてすごく未熟だなと思いながら。来年(次の)ウルトラマンが来て、先輩になった時にどうなるんだろうなと……なれるんだろうかって(笑い)。謎ですね。全く予測がつかないです」とほほ笑みながら率直な思いを明かす。
「ウルトラマン」シリーズに出演するのは、2010年公開の映画「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」以来、約7年ぶりだった濱田さん。「50周年を超えた作品で、しかも前作の『オーブ』がすごく人気だった。今回も、2つのウルトラマンの力をくっつけて戦う、フュージョン系のウルトラマン。なおかつ、べリアルの息子ということでべリアルが深く絡んできて、もしかしたらその物語に終止符が打たれるかもしれない。で、7年前に(劇場版に)出ていた『濱田龍臣くん』が演じる……。そういう部分での期待は大きかったと思うので、すごくプレッシャーはありました」と赤裸々に当時の心境を吐露する。
とはいえ、プレッシャーは力にもなった。濱田さんは「期待してもらっているんだから、期待以上のものを出していこう、と。もちろん批判的な意見があっても、言葉は汚いかもしれないですけど、見返して、ぎゃふんと言わせられる作品にしてしまえばいい、と思って。見てろよ! みたいな感じでした」と力強さものぞかせる。
濱田さんにとって、そんな「ウルトラマン」シリーズとは、どのような存在なのか。「永遠のヒーローというか正義というか。絶対的正義であり、永遠のもの。小さい頃から不変のものです」。あこがれていた存在だったが、今では演じる側に立っている。濱田さんは「羨望(せんぼう)のまなざしというのはあると思うんですよ。あこがれていた存在になってみたら、自分があこがれていたように、あこがれてくれる人がいて。うれしいですし、『自分ってこうだったんだ』と客観的に見られて、すごく楽しいところの一つだと思います。演じていてすごく楽しいです」と喜びを語る。
劇場版が公開され、今の目標は「グランドフィナーレまで全力疾走すること」という濱田さん。「そこまでは全力疾走していかないといけないと思っているので、ホッともしていないし、まだ続いているという感覚でやっています」と語る。今後については「いろいろな役をやりたいですね。思いっ切り悪い役とかもやってみたい、すごくクズな役とか(笑い)」といい、「俳優として、自分がどんどん成長できるように精進していきたいなと思っています」と意気込みを語ってくれた。
<プロフィル>
はまだ・たつおみ。2000年8月生まれ、千葉県出身。2006年、子役としてデビュー。大河ドラマ「龍馬伝」や実写版「怪物くん」などさまざまな作品に出演。10年に「ゴールド ドリーム アワード2010」で金の卵賞を受賞。現在は映画やドラマ、バラエティーなど多方面で活躍している。
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