アニメ質問状:「ピアノの森」 ピアノをじっくり聴かせるために長回し多用 ハリウッドで学んだ演出も

テレビアニメ「ピアノの森」の一場面(C)一色まこと・講談社/ピアノの森アニメパートナーズ
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テレビアニメ「ピアノの森」の一場面(C)一色まこと・講談社/ピアノの森アニメパートナーズ

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、一色まことさんのマンガが原作のテレビアニメ「ピアノの森」です。中谷学監督に作品の魅力を語ってもらいました。

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 ――作品の概要と魅力は?

 この作品の主人公は、森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育った一ノ瀬海(カイ)という少年です。複雑な家庭環境で育つ少年ですが、かつて天才ピアニストと呼ばれた小学校の音楽教師、阿字野壮介や、偉大なピアニストの父を持つ雨宮修平らとの出会いの中で、ピアノの才能を開花させてショパン・コンクールで世界に挑む姿を描いた物語です。壮大なスケール感と心に残るストーリーが魅力の、子供だけでなく親世代にも響く作品だと感じています。

 ――アニメにするときに心がけたことは?

 逆境の中で生きる子供たちに希望を与え、人生はやり直しができることを、作品を通して伝えたいです。映像に関しては、ピアノをじっくり聴かせたいので、カット数を増やして演出で見せるのではなく、長回しを多用しています。ピアノを通して理解できる感情表現がありますし。僕がハリウッドで学んだ演出方法と日本らしさをハイブリッドしています。フォトグラメトリといった最新CG技術を導入し、コンクール会場を描写しました。日常パートは手描き独特の柔らかな画を使っています。

 ――作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 今まで14年間、米国のアニメーション制作会社にいたので、今回、日本のテレビアニメを制作することは初めてでした。そのため、日本の制作スタイルと米国との違いにまず驚きました。海外で人気のあるアニメーションは、3DCGアニメがメインで、アクションやサイコスリラーといったアドレナリンが出るものや子供向けの作品が多い。日本はストーリーと美しい映像で魅せる作品も多くある。そのような美しい映像を制作するために、日本のアニメーションスタッフの方々は情熱と強靱(きょうじん)な忍耐力を兼ね備えて制作されているんだなと感じました。

 ――今後の見どころを教えてください。

 第4話でカイは初めてピアノコンクールに挑戦して、予選で落ちてしまいます。ですがカイの演奏は素晴らしく、そこで初めて人に注目され、人前でピアノを弾く快感と喜びを味わいます。カイがここからどのように成長してゆくかが注目です。

 ――ファンへ一言お願いします。

 「ピアノの森」という日本ならではのすてきな物語を、キャラクターがぶれることなく、爽やかで透明感ある映像で見せていければと思っていますので、ぜひこれからも、応援をよろしくお願いします!

 中谷学監督

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