ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
劇場版アニメ「ニンジャバットマン」(水崎淳平監督)が15日、公開される。米DCコミックスのヒーローのバットマンが日本にタイムスリップして活躍する姿を描く斬新な設定のアニメ。「天元突破グレンラガン」などの中島かずきさんが脚本を手がけ、水崎監督がトップで「ポプテピピック」などで知られる神風動画が製作するなど豪華スタッフが集結した。水崎監督、中島さん、キャラクターデザインを担当した岡崎能士さんに作品が生まれた裏側を聞いた。
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――監督をはじめスタッフには最初、どんなオファーがあったのでしょうか?
水崎監督 最初に来た時点で戦国時代と「バットマン」という組み合わせだったのですが、「ああ、確かに僕のところ、神風動画に話が来るというのが分かるなあ……」という印象はありました。同時に、ウチ以外にもそつなくこなせそうなスタジオさんはいっぱいあるのに、声が掛かったということは、これは普通にやる気はないんだろうなと。無難に終わらせる気がないんだなと。いいんですね? 覚悟はおありなんですね? そういう印象でした。
中島さん 最初に「日本オリジナルで『バットマン』のアニメをやるけど、『ニンジャバットマン』というタイトルで進んでいる」という話でした。要は、極めて日本的アイコンとバットマンを組み合わせたいと聞いて、「ああ、そうですね」と。つまり、アメコミと時代劇で脚本を書ける男っていったら、オレですよね?と。
岡崎さん 僕が最初に話を聞いたのはワーナーのプロデューサーさんからで、「『ニンジャバットマン』って興味ありますか?」って言われて「えっ! そんな楽しそうな企画あるのか!?」って(笑い)。すぐに忍者なバットマンのスケッチを描いて送りましたね。「アフロサムライ」という作品で、二つの異なる要素をミックスするスタイルが独特だねと褒めてくださる方が多かったので、すぐに「これは僕がやらないで誰がやるんだ! やらせてください!」って感じでした(笑い)。「ニンジャバットマン」というワードだけで、それがどういう作品になるとか、具体的なことは全く聞いてなかったんですが、タイトルだけですぐにイメージが浮かびましたね。
――バットマンが戦国時代にタイムスリップするというストーリーになった経緯は?
中島さん バットマンと日本のアイコンを組み合わせるってことだけが決まっていて、組み合わせ方はいろいろあるんですよね。例えば、ゴッサムに忍者の子孫がやってきて、バットマンが忍術を覚える。例えば、日本にバットマンみたいなやつがいて、それは忍者の子孫で、日本のバットマンが誕生するという可能性もある。でも「(中島が書くなら)DCユニバースのバットマンとヴィラン(悪役)たちが戦国時代にタイムスリップして、そこで戦う話ですよね? そういうことですよね?」って話が出てきた(笑い)。「オレが書きますよ!」という感じでした。
――斬新なアイデアですが、ストーリーはどのように固めたのでしょうか?
中島さん プロジェクトの中で、新しいものをやりたいから日本に投げてきたんだろうと。つまり、ある程度日本で好きにやっていいよということで、メインストリームではない“端の方”の企画として自由にやっていいんだろうと。だったら、本物でやるのが一番楽しい。パロディーなどではなく、DCユニバースのブルース・ウェインがちゃんと日本に来て、異常事態に巻き込まれ解決して帰っていくという話が一番いいよねって思った。日本版の「バットマンもどき」ではなく、本物のジョーカーやペンギンをオレたちが扱うことができれば……。そういう話が来ているなら、真っ向からやった方が楽しいし、そんな話、人生で一度あるかどうかってものですからね。
――「バットマン」ファンに向けて意識したことは?
水崎監督 深いコアなバットマンのファンが待っていたのは、(「ニンジャバットマン」の)最初の20分のような作品なんだなと。あそこまで見た人は、もうやめないと思うんですよね、見るのを。あとは「オーマイガッ!」と言いつつも見てくれるだろうと。最初の20分までは、割とバットマンのファンにとっても許容範囲であるけど、その先、「こういうバットマンもたまにはどう?」という僕らの要素が濃くなってはきますね。「僕らが思うバットマンはこうなんだけど」というものを挙げてはいますが。話の上でも、バットマンがまだ異国、しかも時代も違う部分に対して抵抗してる段階なんですけど、それはファンもそうなんですよね。日本のクリエーターが「バットマン」を作っていることに対して抵抗しているというか。
中島さん 最初は、日本のクリエーターも向こうのファンに合わせて作っているかのように見せかけておいて、それを全部、ぶち壊して、「えっ? そうじゃないの?」と抵抗しておいて、でも最終的には、作中でバットマンが戦国時代の日本のやり方を認めたように、古くからのファンも「これはこれで仕方ないかな」と思ってもらえればありがたいなと。
岡崎さん 最初の打ち合わせで、中島さんから、タイムスリップしてヴィランが戦国大名になって……というのは聞いたので「なるほど」と。「こいつはこの武将だな」とか考えて、楽しく作業しました。やはり、お話が結構トンデモなので、やろうと思えば、もっと個性的なバットマンやジョーカーに変えることはできたんですよね。でも、そこはやはり、どの国の人が見ても「これはジョーカーだ」とか「ロビンだ」と一目で分かるようにして、そこは押さえた上でギリギリまで遊びました。ジョーカーに関しては、中島さんからいただいたアイデアで(1981年公開の映画)「魔界転生」のジュリー(天草四郎時貞を演じた沢田研二さん)なんですが(笑い)。原作コミック「バットマン キリングジョーク」の(犯罪王)ジョーカーも特に意識しました。単に面白く奇をてらったデザインではなくて、狂気や不気味さをきちんと表現したいと思ってデザインしました。
――「バットマン」は海外の大人気作品ですが、思い切ってアレンジした?
中島さん こちらとしては、日本に企画を振っている時点で「思い切りやれよ」ということだと思ってたので、そこはちゅうちょなく進めました。NGがきたらその時、考えればいいやと思ってたんですけど、ほとんどNGはなくて。唯一、「バットマンは人を殺さない」と。だから、銃を撃つときも、人に向けるのではなく、物を破壊するためというのならいいけれどって。それは大事にしますと。
岡崎さん デザインのほうでは、女性キャラの露出を抑えてくれというのは何度かありました。
――神風動画だからこそ描けたことは?
水崎監督 キャラクターの持っている情報量、テイスト、質感などに関して、手描きではけっこう大変な、ギリギリ、ちょっと超えているかな?というところ。CGを使ってセルアニメのように仕上げている作品の場合「じゃあ、描けばいいじゃん」という矛盾も起こるけど、「これはギリギリ、描けないかな」というところに着地させるのは毎回、すごく大事にしていて、それは神風動画ならではなのかな。岡崎さんの絵を生かした流れで、ギリ作画でやると破綻する、というところを攻められたんじゃないかと。
岡崎さん 僕は途中経過を全く見てなかったので、完成したのを見て「水崎さん、バカだなあ! 最高!」って!(笑い)。とにかく半端なくて、「なんだこれ? なんかえらいことになってるぞ」って。僕のデザインに関しても、普通だったら省かれてしまうような細かいディテールやアイデアも、水崎さんは全部拾ってくれていて、しかも、完成度もすごく高い! ものすごくリスペクトと愛を感じましたし、参加できて本当にラッキーだったなあと思いました。現場のスタッフさんにはかなりの負担だったと思いますけど(笑い)。
中島さん コンテ撮りでせりふチェックがあって全体の流れは見ていたんですけど、その時、テイストがガラリと変わる、ジョーカーとハーレイ・クインのあるシーンを見て、大笑いしたんですよ。これを描いた人、いい意味で頭がおかしいなって。ただ、これはコンテだけだろうと思ってて、今だけの、普通は見られないものを見られてうれしいなと思ってたら、本編はもっとたがが外れていて……。素晴らしい! これをやり切ったんだ、水崎さん!となりました。CG会社なのに、オレが一番ハートを込めて描いたところをこういう形で返してくるか!というところで信頼できるなと思いました。なおかつ、会社を潰す気か!?ってくらいの密度で90分やり切っていて、さすが「妥協は死」という人だなと。自分の本を生かしてくれるのは、こういうどこか行き過ぎた人なんだなってのが、過去の経験上あって、こういう行き過ぎた人とまた出会えたという喜びがありました。
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2024年11月22日 06:00時点
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