小西克幸:「妖怪人間ベム」の衝撃 新作「BEM」で「受け継ぐ」想いも

アニメ「妖怪人間べム」の新作「BEM」でベムの声優を務める小西克幸さん
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アニメ「妖怪人間べム」の新作「BEM」でベムの声優を務める小西克幸さん

 「早く人間になりたい」の名ぜりふで知られ、現在も根強いファンを持つアニメ「妖怪人間べム」の新作テレビアニメ「BEM」(テレビ東京ほか)。キャラクターデザインなどがスタイリッシュに一新され、ベム役の小西克幸さん、ベラ役のM・A・Oさん、ベロ役の小野賢章さんら人気声優が集結したことも話題になっている。ベム役の小西さんに同作への想(おも)いを聞いた。

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 ◇こんな終わり方があるんだ!と衝撃

 「妖怪人間ベム」は、醜い体ながら正義の心を持った妖怪人間のベム、ベラ、ベロが、人間から迫害されながらも、人間になることを夢見て悪の妖怪と戦い、人々を救っていく物語。1968~69年に放送され、何度も再放送され、2006年にはリメーク版が制作された。正義とは何か?を考えさせられる内容で、人間の業(ごう)も描かれた。人間のために戦ってきたベムたちが人間に追われ、屋敷に火を放たれ、行方不明になる……という最終回も衝撃的だった。子供の頃、同作を見た小西さんも衝撃を受けた。

 「関西出身なのですが、関西では僕が子供の頃、昔のアニメをよく再放送していたんです。おそらく再放送で見たんでしょうね。子供心に人間って怖い!と感じたことを覚えています。ベムたちは人間になろうと、人間よりも人間らしく振る舞う。にもかかわらず、見た目が違うだけで迫害される。こんな終わり方があるんだ! と衝撃的でした」


 「BEM」はビジュアルがスタイリッシュになったり、現代風にアップデートされているものの、「妖怪人間ベム」とテーマは同じなのかもしれない。小西さんが「姿、形、考え方が違うだけで迫害されたり、差別される。それが人間なのかもしれません。そういうところは時代が変わっても変わらない。テーマを受け継いでいることを感じています」と話すように、普遍的なテーマを扱っている。

 ◇重みのある一言 難しさも

 オーディションには「人間になりたいけどなれない。どこか悲しい雰囲気を出せればと考えていました」と臨んだ。シリアスな作品ではあるが、アフレコは和気あいあいとしているという。

 「妖怪人間以外の妖怪の演技は結構自由なんですよ。音響監督さんに『楽しくやってください!』と言われていて、楽しくアドリブも入れています。ベロ役の(小野)賢章君やベラ役のM・A・Oちゃんとはこれまでも共演が多いですし、よく知っている。楽しくやっています」

 ベムは口数が少ないが、一言一言に重みがある。小西さんの演技も渋く、格好良く、重厚感を感じる。

 「見た目が格好いいですし、スタイリッシュなので、格好良く見えるんでしょうね(笑い)。言葉数が少なく、一言でいろいろなことを表現しないといけない時もあり、難しさもあります。それに、ベムは強いキャラクター。戦闘シーンで、アドリブで息を入れると弱く見えるかもしれません。ドロドロになりがなら、人間のために戦っているけど、ドロドロになっていることを感じさせない強さを意識しています」

 ◇「好き」の気持ちを大切に

 小西さんは「天元突破グレンラガン」「べるぜバブ」「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」などさまざまな作品に出演している人気声優だ。キャリアは20年以上にわたり、第一線を走り続けている。活動の中で大切にしているのは「好き」という気持ちだ。

 「山あり谷ありですが、自分がやっていることを好きでいることですね。仕事と割り切るとつまらないですよね。好きじゃないとできない。もちろん楽しいだけじゃダメな時もありますが、一番は楽しく! なんですね。やっていて楽しいから、新しい発想が生まれたり、新しい出会いがある。どの職業もそうなのかもしれませんが」

 ベテランではあるが今でも「新しい発想」「出会い」を大切にしている。

 「現場では先輩、後輩を問わず刺激をいただいています。自分にないものを見ると、新しい発見がある。考えることをやめたくないんですよ。現場が違えば、それぞれに新しい発見があります。ただ、すぐ忘れちゃうからな(笑い)。前に気付いたことにまた気付いたり」

 「BEM」の現場でも刺激を受けることも多いという小西さん。「今後は、ここまでの放送で張られていた伏線が回収されます。これまでの『妖怪人間ベム』と違う展開もあります。ぜひ、最後まで見ていただければ!」と語る。「BEM」でもまた「好き」という気持ちを込めた演技で、ファンを魅了してくれるはずだ。

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