桐谷健太&東出昌大:ダブル主演「ケイジとケンジ」で抜群のチームワーク 「龍馬伝」福田靖脚本に気合十分

連続ドラマ「ケイジとケンジ 所轄と地検の24時」でダブル主演を務める桐谷健太さん(左)と東出昌大さん
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連続ドラマ「ケイジとケンジ 所轄と地検の24時」でダブル主演を務める桐谷健太さん(左)と東出昌大さん

 桐谷健太さんと東出昌大さんが、元体育教師の異色の刑事と東大卒の超エリート検事に扮(ふん)してさまざまな事件に挑む木曜ドラマ「ケイジとケンジ 所轄と地検の24時」(テレビ朝日系、毎週木曜午後9時)が、1月16日から放送される。ダブル主演で異色コンビを演じる桐谷さんと東出さんに役作りや見どころ、互いの印象を聞いた。

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◇高身長コンビに自信

 ドラマは、「海猿」(フジテレビ)や「龍馬伝」、「まんぷく」(共にNHK)などの人気ドラマで知られる福田靖さんが脚本を手がけ、桐谷さん演じる元体育教師の刑事・仲井戸豪太と、東出さん演じる東大卒の超エリート検事・真島修平という異色タッグの活躍を描く。福田さんらしいユーモアやコミカルなタッチも盛り込まれるという。

 桐谷さんが同局の連ドラに出演するのは同じ木曜ドラマ枠で2012年に放送された「Wの悲劇」以来で、同局の連ドラで主演を務めるのは初めて。「(同局の)連続ドラマ初主演がうれしい。東出と一緒にバディーでやらせてもらえるのもうれしい」と桐谷さんはオファー時の心境を明かし、「デビューした連続ドラマ(『九龍で会いましょう』)もテレビ朝日。17年の時を経て主演に迎えてくれる太っ腹で据わった感じと、あと先見の明は素晴らしい(笑い)」とちゃめっ気たっぷりのコメントで喜びを表現する。

 東出さんとのコンビについては、「2人合わせて370センチ。ただ僕、182センチに近いので、本当は371センチなんですけどね」と笑いを誘いつつ、「身長で言うとどこにも負けないコンビ(笑い)。東出がものすごく大きいので、そこはだいぶ引っ張ってくれています」と楽しそうに話す。

 桐谷さんと共にダブル主演を務める東出さんも同局ドラマ初主演となるが、「刑事ものと医療ものは芝居の中でも難しいジャンルとして位置づけられているように思います」と切り出し、「僕は検事役ですが、テレ朝の刑事もの、事件ものに携わるチャンスを得られたんだなと、感慨深いものがありました」と神妙な表情で語る。

そして、「桐谷さんとは共演経験があるのですが、本当にテレビから出てきたような、このまんま“兄貴”な感じの方。この先輩となら今期最強のタッグになれるのではと期待や確信に似たものを胸の内に秘めています」と力を込める。

◇福田脚本の“醍醐味”を実感

 脚本を読んでの印象を聞くと、桐谷さんは「福田さんとは『まんぷく』というNHKの朝ドラで一緒でした」と前置きし、「登場人物がぶつかり合ったり協力し合ったり、登場人物同士が出会うからこそできるストーリーみたいな本を書かれる。素晴らしいなと思うし、演じていて違和感がないすてきな脚本」と称賛する。

さらに、「世の中、暗い話題とかも多い中、木曜9時の1時間だけでもみんなを明るく楽しい気持ちにできたらうれしい。その1時間だけでも、日本の犯罪率を減らします!」と意気込む。

 一方、東出さんは、「(真島を)エリートとして芝居もできるし、逆に人間的に可愛らしく芝居もできる」と脚本から受けた印象を明かし、「事件ものですけど決して堅苦しくなく、視聴者の方々が目尻を下げながら『バカだな、こいつら』ってニヤニヤして僕らのことを見てもらえるのでは」と分析。「福田さんの本が、愛される人物に描いている分、僕らもそれを芝居の中で表現できなければいけない」と決意を口にする。

◇桐谷健太、台本を“食う”イメージで役作り

 桐谷さん演じる豪太は「一度走り出したら止まらない男」だが、桐谷さんは役作りについて、「この人物をこう演じようとは思っていない。(演じながら)自然に出るだろうという感覚もあるし、本番の瞬間にバンッと出てきた部分もある。それは東出を見ていても感じるし、計算としては考えてはいない」ときっぱり。

 その真意を聞くと、「刑事や警察官の勉強はしましたし、元体育教師というキャラクターなので、生徒との距離感とか細かいところも自分の中でイメージした」と切り出し、「“考えていない”というのは、土台を作った上で現場に行ったら自由に動くという感じですね」と意図を明かす。

 特にこだわった点は、「コアな部分として、形よりも豪太が持っている生命力とか、『世の中を明るくしてやる』『犯罪を撲滅してやる』みたいな、決めたことに真っすぐ行く思いは常に意識している」といい、「例えば、きっと子供のころに好きな女の子を助けて『ありがとう』って言われた言葉が忘れられないとか、派手な格好を選ぶ人物として違和感なく、ちゃんと豪太が選んで着ているというふうにすることが大事」と説明する。

 さらに、「何回も読むというより“食う”みたいな。咀嚼(そしゃく)するじゃないけど、内臓に下ろしていくというか、頭で覚えるという感覚よりも内臓で吸収してやろうと。その方が声の出方とか感覚も変わってくるのではと思って」と持論を語る。

◇東出昌大、役作りへの取り組み方の変化を実感

 一方、東出さんが演じるのは、選民意識が強くプライドも高いが、頭が良すぎて逆にズレている部分がある半人前の検事という役どころ。「これまで、ああでもないこうでもないと頭でっかちに考えていたことも多かったのですが、最近シンプルに台本をいっぱい読もうと思って」と役作りに対する心境の変化を明かす東出さん。

 続けて、「台本に全てが書いてある、という意味では、台本を読むのに知らない言葉、例えば『未必の故意』などを調べるのは、検事の勉強をしているという言い方にはなるかもしれない」と具体例を挙げつつ、「せりふをよどみなくしゃべるというのは、意味を理解していないとできない。だから台本をしっかり読み込もうというのが、今回の一番の役作りのように思います」と説明する。

 なかでもこだわったことを質問すると、「人から褒めてもらうことが妙に好きなキャラクターで、褒められると『鼻の穴がふくらむ』とト書きにあったのですが、鏡を見てやってみたときに分かりづらいし、(画が)すごく寄りになっちゃうと思った」と前置きし、「近しい人でうれしいことがあったり、照れたりすると鼻の下が伸びる人がいるのですが、今回、(褒められたときに)鼻の下を伸ばすようにしました」と楽しそうに注目ポイントを話した。

◇お互いの印象は…

 2015年に公開された映画「GONIN サーガ」で共演経験のある桐谷さんと東出さんの2人。「そのとき僕らは反社会的勢力の役でした(笑い)」と桐谷さんが思い出したように言うと、東出さんも「そうですね!」と大笑い。

 そんな東出さんの印象について、桐谷さんは、「そのときからすごく素直で可愛くて、身長が俺より高いから頭をなでなでしないだけで、身長が低かったらいっぱい頭をなでなでしているんだろうなと感じるような男の子」といい、「周りを見ていますし、気づかいもできてかいがいしく動いたりもする。そこは俺もちゃんと、東出のいいところを盗んでいこうと思っています」と話す。

 東出さんは、桐谷さんの印象を「芝居も仕事も、普段お話ししていて人間関係の距離感みたいなものも全部、自然体。その中で全力という印象」と表現し、「そういうエネルギーを保ちながら動き続けることは僕には到底できないのですごい先輩だなと思います」と尊敬のまなざしを向ける。

さらに、「芝居の機微や『もっとこういうふうにやってみれば』とご指摘くださったり、スタッフさんに『気になったのでもう一回やりませんか』『こうした方がいいですか』とご提案されたり、ずっとトップギアでいながら細かいところも熟考していらっしゃる。先輩として広い背中を見せてもらっています」と称賛し、「がっぷり四つに組んで最強のタッグになれれば」と目を輝かせる。

◇桐谷&東出の火花の散らし合いに期待

 では、久しぶりの共演で変わったなと感じるところは?と水を向けると、「心配りがすごいのに全然いやらしさがない。親御さんの育て方がよかったんでしょうね」と桐谷さんがほほ笑みながら話すと、東出さんから「文字になったらいいですけど、今の声のトーンは雑ですよ(笑い)」と指摘され、桐谷さんも思わず笑う。

それでもめげずに桐谷さんが、「羽毛のような、やさしく包み込んでくれる感じがある。東出が『めっちゃフワフワして気持ちいい』って羽毛布団を勧めてきたら、間違いなく買う」とジョーク交じりに続けると、東出さんも「初めて言われたけど二度と言われないですよね(笑い)。(羽毛布団は)高身長でも対応できそう」と乗っかって笑い合い、チームワークの良さを感じさせた。

 一方、「印象が変わったことはない」という東出さんだが、「休憩中などの話題が僕も30歳になり、桐谷さんも家族が増えたりで変わったように思う。以前感じた背中の大きさみたいなのが格段と分厚くなって、というのは感じます」としみじみ話す。

 最後にそれぞれの役で注目してほしい点を聞くと、「根底にある正義感みたいなものは裏切らない。(真島は)エリートのように見えますが人間的には欠陥があるとか、『バカだな』みたいなところは朗らかな思いで見ていただき、最後の最後には揺るぎない正義感を楽しんでいただけると思う。週の中日に見て、残りを頑張ろうと思っていただけたら」と東出さん。

 桐谷さんは、「事件や事件で生まれた何か、真島検事との確執など多くの壁がある中での豪太の暴れぶりを見てほしい」といい、「きっと僕の中にも豪太はいるし、東出の中にも真島という人物がいるのをすごく感じる。台本をどんどん飛び越え、東出との火花の散らし合いが楽しみで、どうなるか予測がつかない」と熱く語っていた。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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