女優の松嶋菜々子さんが、1月31日に公開された映画「AI崩壊」(入江悠監督)に出演している。映画は、医療AI(人工知能)が国民の個人情報や健康を完全に管理し、人々の生活に欠かせないライフラインとなっている10年後の2030年が舞台。そのAIが突然暴走を始め、人間の命の選別を始めるというサスペンス劇だ。松嶋さんに、AIに管理される社会をどう思うか。また、松嶋さんが欲しいAI、さらに、まもなく2月を迎えるが、改めて2020年の目標を聞いた。
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松嶋さんに今年の目標をたずねると、「迷ったときには自己啓発本を読む」といい、最近読んだ本の1冊に「『起きていない(ことは)心配はしない』という内容のものがあったので、それを目標にしています」と答えた。
そんな松嶋さんが今回演じているのは、国民のための医療AIを、大沢たかおさん演じる科学者、桐生浩介と共に研究開発した妻の望だ。人のためによかれと思って開発したAIが、ある日突然暴走する。入江監督のオリジナルストーリーに基づく作品だが、決して絵空事ではない。現実社会においても、すでにAIは私たちの生活の中に組み込まれている。
今年の目標に「起きていない心配はしない」を掲げる松嶋さんには愚問と知りつつ、映画のようなAIに管理される社会をどう思うかを聞くと、「一括管理は危ないと思います」と核心を突く指摘。
賛成派? 反対派?と食い下がると、「そうですね……」と少し考えてから、「生活を便利なものにしてくれる一つのツールとしてとらえることを大前提に扱っていかないといけないと思います。そうでないと、人の脳も簡単に支配されてしまいますから。例えば、ゲーム依存症という言葉がありますが、それは病であり、本人の意思で止められるものではなく、医療従事者にお願いしないと立ち直れないものですよね。それってほんの10年前、20年前にはあまり聞かない言葉でした。ですから、常に立ち止まって接し方を考えていかないと、むしろ自分を後退させたり、自分自身の成長を妨げたりという怖さを秘めていると思います。そういった自覚を常に持ちながら、便利なものとして扱う分には、(AIが)発達することに賛成ではあります」と訴えた。
では、もし、自分がやって欲しいことができるAIを作ってあげるといわれたら、どんなAIが欲しい? その問いには、「きっと、私がAIにしてもらいたいと思うことは、実はそんなにないと思います」と答えた。
そして、「例えばですけど、スキャンしたら体の状態が全部分かって、見落とすことなく適切な時期に何を処方したらいいとか、どういう治療をしたらいいというものがデータ化されて、それが医療に役立つということであれば、それはすごく必要なものだとは思いますけど、普段の生活って実は、掃除一つにしても何かを磨きながら違うことを考えることも大事な時間だったり、お料理をしながら、いかに全部の料理を同時進行させて仕上がり時間をピタッとそろえられるかを計算しながらやるのも脳のトレーニングになる気がするので、日々の生活にAIが必要と思うところがたくさんあるわけではないと思うんです」と話した。
その上で、「私が今、一番欲しいのは」と挙げたのは、なんと、「どこでもドア(笑い)」。松嶋さん、それはAIではありませんが……。その指摘に、「そうですよね」と笑いながら、「でも、どこでもドアがあれば、時間のむだにもならないし、事故も起きないし、遅刻もしないし、それが欲しいです」とちゃめっ気のあるコメントを返した。
映画は、2030年が舞台。国民の個人情報や健康を管理するまでになった医療AI「のぞみ」が突然暴走し、人間の命を選別し始める。AIを暴走させたテロリストとして警察の捜査線上に挙がったのは、AIの開発者である科学者、桐生浩介(大沢たかおさん)。彼には、そのAIに対する国の認可が下りず、妻の望(松嶋菜々子さん)を亡くした過去があった……というストーリー。桐生の義理の弟役で賀来賢人さん、桐生を追う警察庁の捜査官役で岩田剛典さん、所轄の刑事役で三浦友和さん、広瀬アリスさんらも出演している。
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