小芝風花:コメディエンヌで高評価も本音は「不安」 役と真摯に向き合い「毎回葛藤」 “現在地”語る

連続ドラマ「妖怪シェアハウス」で主演を務める小芝風花さん
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連続ドラマ「妖怪シェアハウス」で主演を務める小芝風花さん

 連続ドラマ「妖怪シェアハウス」(テレビ朝日系、土曜午後11時15分)で、民放連ドラ初主演を果たした女優の小芝風花さん。2012年の女優デビュー以降、数々の作品に起用され、持ち前の愛らしさで多くの視聴者を魅了。特に昨年は、“特オタ女子”から漫才師、女性アナウンサーまで、さらなる“振り幅”を見せた。中でも最近はコメディエンヌとして高い評価を周囲から得ているものの、「不安です」「毎回葛藤しています」と本音を明かす小芝さんの、女優としての“現在地”とは……。

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  ◇「トクサツガガガ」以降、コメディエンヌとして高評価

 小芝さんは1997年4月16日生まれ、大阪府出身の23歳。2011年に「ガールズオーディション2011」でグランプリを受賞し、2012年にドラマ「息もできない夏」で武井咲さんの妹役で女優デビューを果たした。2014年に映画デビュー作「魔女の宅急便」で初主演し、2015年の「第57回ブルーリボン賞」では新人賞を受賞。その年の10月に放送が始まったNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「あさが来た」では、波瑠さん演じるヒロイン・あさの長女・千代役に抜てき。2016年の1月から登場すると、“母に反抗的な態度を見せる娘”を熱演し、お茶の間をにぎわせた。

 2017~18年にかけて、「ヒロシマ8.6ドラマ ふたりのキャンバス」「女子的生活」「夕凪の街 桜の国2018」といったNHK制作の良質なドラマに次々と起用されると、2019年には「トクサツガガガ」で隠れ特撮オタクを演じてコメディエンヌとしての才能が一気に開花。その後も「恋と就活のダンパ」(NHK・BSプレミアム)、「ラッパーに噛(か)まれたらラッパーになるドラマ」(テレビ朝日系)、「べしゃり暮らし」(同)、「歪(ゆが)んだ波紋」(NHK・BSプレミアム)、「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系)と、ドラマ出演が相次ぎ、気がつけば女優としてのキャリアは10年に手が届くところまで来ている。

 「トクサツガガガ」以降、コメディエンヌとして好評を博している小芝さんだが、手応えを聞くと「不安です」と意外な回答が返ってきた。

 「似たような役柄が続くと、その役の中でその役らしさを出していくのが難しくなっていくし、何をやっても同じように見られるのはすごく嫌です」と理由を説明。振り回される役回りが多いことについても、「見てくださる方には『同じような役が続いている』という印象になってしまう」ことを不安視していて、「その役にはその役の個性があると思って、『全然役は違うんだけどな』って毎回葛藤していますね。もっと自分が力をつけないといけないなというのはあるんですけど……」と役と真摯(しんし)に向き合っているからこその悩みを明かす。

 ◇本人は「考えちゃうタイプ」

 今回の「妖怪シェアハウス」は、ダメ彼氏にだまされ、妖怪たちが生活するシェアハウスにたどり着いた目黒澪(小芝さん)が、おせっかいな妖怪たちに助けられながら、成長していく姿が描かれている。小芝さんが演じる澪は、人を信じやすく、真面目で我慢強い一方、自分に自信がなく、自己評価がとても低い。職場で出会ったダメ彼氏に言いくるめられてお金を貸し、あげく借金まで背負うことになった、やはり振り回され型の主人公だ。

 澪について小芝さんは、「澪ちゃんは自分に自信がなくて、何も意見できない女の子で、気持ちは分かります。私も嫌なことをされたときに、言えないんです。何て言っていいのか分からなくて、帰ってから『こう言えば角が立たなかったかな。でも時間がたった今から言うのはなぁ』とか考えちゃうタイプなので。言いたいことを伝えられないのはすごく分かるなって思います」と共感する。

 劇中ではコミカルなダンスを披露したり、貧乏神化や鬼化したり、さらには白目になって気絶したりと、振り切った芝居で視聴者を楽しませている。どんな要求もこなしてみせる小芝さんだが、どうしてもダメだったのが「バッタの佃煮(つくだに)を食べる」シーン。虫が大の苦手という小芝さんは、「目が合うんですよ、バッタと。他のご飯も食べられなくなるぐらいやられちゃって」と悔しそうに振り返った。

 中盤に突入したドラマの今後の展開については、「澪が恋愛も仕事も、自分の気持ちに素直になって、やりたいことが見つかっていきます」と声を弾ませ、「(序盤の)澪は特別やりたいこともなく、仕事に対して情熱を持っていたわけではなかったんですが、文章を書く才能が見つかって、それを楽しんでやっていく。自分の意思でやりたいことを見つけて成長していく過程が、澪の見どころです」とアピールする。

 自身としては「妖怪シェアハウス」以降も「いろんな役柄を演じたいです」と意欲的で、「コメディー作品も大好きですが、ずっとそれでいきたいかと言われるとそうではなく、シリアスな社会派作品や、ちょっと猟奇的な役も演じたいし、悪い役も演じてみたいし。いろいろな作品や役柄、ドラマだけでなく映画や舞台にも携われたらうれしいです」と目を輝かせていた。

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