鈴木伸之:佐野勇斗に「最高の相方」 W主演「俺たちはあぶなくない」でバディーに

「俺たちはあぶなくない~クールにさぼる刑事たち」に出演する鈴木伸之さん(右)と佐野勇斗さん
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「俺たちはあぶなくない~クールにさぼる刑事たち」に出演する鈴木伸之さん(右)と佐野勇斗さん

 「劇団EXILE」の鈴木伸之さんと、ボーカル・ダンスユニット「M!LK(ミルク)」の佐野勇斗さんがダブル主演を務める、9月17日スタートの連続ドラマ「俺たちはあぶなくない~クールにさぼる刑事たち」(MBS)。鈴木さんが昇任試験と署内政治に忙しく、捜査はしない刑事・高野心(たかの・しん)、佐野さんは、愛されキャラを生かしつつ、転職活動に勤しむ刑事・世中渡(よなか・わたる)をそれぞれ演じる。個性的な役どころを演じる鈴木さんと佐野さんに初共演しての互いの印象や初の刑事役、役作りなどについて聞いた。

ウナギノボリ

 ◇お互いの印象を「○○男子」と名付けるなら…

 今作は、刑事でありながら己のライフスタイルを守るのが正義という2人の刑事が、あぶない橋を渡らず遊ぶために奔走。安全志向で波風立てずに生きたいと願うも、結果的に事件に巻き込まれてしまう……という王道の刑事ドラマとは趣の異なる異色作だ。

 初共演となった鈴木さんと佐野さんに互いの印象を聞くと、鈴木さんは、「すごく気遣い屋さんで、そこは世中ともリンクする」と切り出し、「現場の空気や出演者同士の距離感など、そういう(ものを測る)物差しが優れた人という印象。一緒にいて楽しかったし、年の差も感じず友達同士のようないいバディーができた。世中が佐野君で良かった」と絶賛する。

 一方、「鈴木さんを伸君と呼ばせてもらっています」と前置きした佐野さんは、「クランクイン前、年齢が離れているので話が合わないかな……という不安はあったけど、その不安を弾き飛ばすかのように伸君がすごく優しくしてくださった」と感謝。さらに「上からに聞こえちゃうかもしれないですけど、人柄がすばらしい。忙しい中でも笑顔を絶やさずみんなをもり立て、スタッフさんへの気遣いも忘れない。だからこれだけ愛されるのだと感じましたし、勉強にもなりました」と敬意を表す。

 そんな2人にお互いを「○○系男子」と名付けるなら……と水を向けると、鈴木さんは佐野さんを「気遣い男子」、佐野さんは鈴木さんを「太陽系男子」と命名。その理由について、鈴木さんは、「周りの人をすごく見ている。撮影が押しちゃってピリピリしてくると、佐野君が気遣って盛り上げたり、お菓子の差し入れを持ってきて和ませてくれたり、スタッフさんのこともキャストのこともすごく大事にしてくれる。一緒にいてみんなが自然と笑顔になっていくので、気遣い系男子という言葉がすごく当てはまりますね」と説明する。

 続いて佐野さんが、「伸君は天性のものかもしれませんが、意図せず周りを笑顔にしているというか、意図せず周りのみんなを元気にする太陽のような存在。伸君自身が温かくなっているから周りも温かくなっちゃうみたいな感じです」と言うと、聞いていた鈴木さんは「悪い気はしないです」と照れ笑いを浮かべていた。

 ◇初の刑事役も、異色すぎる設定に…

 初挑戦の刑事役を「楽しみにしていた」という鈴木さん。「例えば警察手帳を見せて『どこどこ警察署の○○』『○○罪で逮捕します』など、刑事らしい熱いシーンを想像していた」と期待に胸をふくらませていたことを明かす。

 ところが、「そういったのは一切なく、サボることをモットーに、サボるために会議で真面目な演技をしたりサボってキャンプに行って遊んだり、ちゃんとした刑事ドラマではないようなシチュエーションがたくさんあり、思い描いていた刑事ドラマとはまたちょっと違っていた(笑い)」と言い、「それはそれですごく楽しかった。刑事ドラマではありますが、一般的な刑事ドラマとは一線を画すような作品だなと感じています」と充実感をにじませる。

 同じく初の刑事役となった佐野さんも、「刑事ドラマ以前に自分の年齢よりも上の年齢の役を演じるのが初めて」と切り出し、「(立ち入り禁止の)黄色いテープを貼って手袋をするみたいなことをするのが刑事ドラマだと思っていたけど、そんなシーンはまったくなくて(笑い)。バーベキューで盛り上がるとか、『本当にこれ刑事ドラマ?』なんて思いながら演じていました」と回顧。「それもまたそれで面白い映像が撮れていると思うので、楽しみにしていてほしい」とアピールする。

 高野と世中には多くの“サボりシーン”があるが、その中でも特に印象に残っているのが、「8万人くらいいるフェスの撮影が楽しかった」と鈴木さん。「どうやって撮るのか楽しみと佐野君とも話をしていたら、当日ここで撮りますと言われたところが駐車場みたいな場所。他部署のスタッフさんも交え8万人いるように見せた少人数での撮影で、想像していたフェスと違ったのは面白かった」と楽しそうに振り返ると、佐野さんも「最高でした!」と笑顔でうなずいた。

 ◇2人の共通点はコスパ重視な性格

 自身が演じた役のポイントを聞くと、鈴木さんは、「高野はとにかく直感力に優れた男で、何か事件の匂いや自分に不都合なことが起きそうになると鼻がひくつく。そして『あぶない匂いがする』という決めぜりふが各回に出てくるのですが、匂いの種類によって言い方や仕草が毎話変わるので楽しみにしてほしい」と見どころを解説する。

 さらに、「飲み物を取ったり何か人に渡したり立ち上がったりする時、なぜか『しゅっ!』という言葉を発するのですが、自分で案を持って行き、いろんな形の『しゅっ!』を撮らせてもらいました」と続け、「アドリブもちょくちょく入っています。今は名前を挙げられませんが、いろんな方のモノマネみたいなこともしているので、楽しみに見ていただけたらうれしい」とアピールした。

 世中役の佐野さんは、「いち早く刑事の危ない仕事からは転職したいのに、実は刑事に向いているというか、推理力が高かったり、頭の回転が速かったりとか洞察力がある役」と役柄を説明し、「コメディードラマなので、先輩の高野さんと2人の掛け合いとかも注目してほしい」と笑顔で話す。

 ドラマには熱血刑事も出てくるが、自分は“昭和っぽい”か“令和っぽい”かという話題には、鈴木さんも佐野さんも「令和」と回答。鈴木さんが、「仕事もそうですし、1日休みがあったときのプランもそうなのですが、とにかく“コスパがいい”ことを常に考えてしまう。合間があったら『あれができるのでは』『これができるのでは』とかを考えるタイプなので、そこは結構高野にリンクしていたのかな」と役作りに応用できたと説明する。

 佐野さんも、「熱血っぽく思われがちですが意外とコスパ重視。大学受験の勉強をしていた時も、がむしゃらに英単語を覚えたりするのではなくて、効率良くするために、まずは勉強法を勉強する期間もあった。それぐらい効率重視なところはあります」と自身の経験を踏まえて同調。共に令和っぽく「コスパ重視」と、バディーらしく意見もぴったりだった。

 ◇鈴木&佐野を突き動かす“欲”

 今作の魅力について、鈴木さんは、「事件解決に向けて捜査を進めていく雰囲気の中、(高野と世中は)会議室を出ると捜査はまったくしない。キャンプに行ったり、釣りしたり、女の子と話したり、その緩急が面白い」と話し、「一方、真逆で矢野聖人さん演じる月賀刑事は会議室から出てもずっと暑苦しく捜査していて、それなのに一向に何もなし得ないというキャラも。その対比が面白い」と熱弁する。

 「伸君が言ったとおり」とうなずく佐野さんは、「(高野と世中)2人とも真剣にやっているふうに見せて、会議室から一歩出たらもう『遊ぶぞ!』とか、頑張っているのにツキがなくて全部悪い方向に進んでしまう月賀との対比も面白い」と話す。

 それぞれの役には「出世欲」「転職欲」があるが自身の“欲”を聞かれ、鈴木さんは「物欲ですかね(笑い)。お金で買えるものもそうだし、お金では買えない『もっと自分がこうならないとこうなれないだろうな』というのも大事にしている」と回答。そして、「作品が終わったら、ゆっくりサウナに入ってマッサージに行っておいしいものを食べようみたいな、結構自分にご褒美するのは好きですね」とにっこり。

 一方の佐野さんは、「みんなを笑顔にしたい欲」と回答。「冗談に聞こえるかもしれないけど結構本気。上京して活動しているので、両親はもちろん、おばあちゃん、おじいちゃん、高校の同級生も応援してくれる。アイドル活動のファンの方たちも、僕が活躍しているとうれしいと言ってくれる。そういう人たちの喜んでいる姿を見ると、頑張らなきゃなと思います」と神妙な表情で語る。

 すでに全話撮了している中、今だから相手に言えることを聞くと、佐野さんは「バスのシーンで、伸君、背が大きくてバスの通路に立つとすき間がないくらいだったのですが、伸君の背中越しに顔を出してせりふを言う時、すごく狭くて苦労したので大変でしたというのをお伝えしたかった」という。

 それを聞いた鈴木さんは、「申し訳ない……すみません」と苦笑いしつつも、「佐野君には感謝しかない。本当に最高の相方でした。楽しかったので(続編の)『2』をやりたい。また一緒にやりましょう!」と再タッグを熱望した。

 「俺たちはあぶなくない」は、MBSほかで9月17日から順次放送。前8話。(取材・文:遠藤政樹)

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