ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
タカラトミーアーツの女児向けアミューズメントゲームから生まれた「プリティーシリーズ」が今年、10周年を迎え、テレビアニメが9年目に突入した。「プリティーリズム」「プリパラ」「キラッとプリ☆チャン」と続く「プリティーシリーズ」は、約10年にわたり女児を魅了し続けている。MANTANWEBでは、シリーズの歩みを振り返る連載企画「プリティーシリーズ秘話」をスタート。誕生時からシリーズをプロデュースしてきたタカラトミーアーツの大庭晋一郎さん、シンソフィアの加藤大典さん、タツノコプロの依田健さんに、これまでの歩み、未来について聞いた。第1回は、2010年7月に誕生したゲーム「プリティーリズム・ミニスカート」、2011年4月に放送が始まったテレビアニメ第1作「プリティーリズム・オーロラドリーム」。シリーズ誕生、アニメ化の経緯が明らかになる。
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大庭さん 「プリティーシリーズ」は、タカラトミーアーツの筐体(きょうたい)事業から全てが発信されています。アミューズメント事業の企画、アニメの立ち上げが役割になります。筐体を継続させるため、年間の運営プランを考えます。ゲームの中身については、シンソフィアさんと打ち合わせをしながら決めていきます。「プリティーシリーズ」で大事なのが、キャラクターとコーデ(ゲームの衣装)。この時期にこんなキャラクター、コーデを出す……という年間計画を決めていきます。「プリティーリズム」と「プリパラ」以降は少し違うところもあるのですが。
大庭さん 少しずつ立場が変わっていますが、新シリーズが始まる度に、ゲーム、アニメについて関係各社に説明をします。依田さんやスタッフの方々に作品、キャラクター、テーマ、アウトラインについてもお話ししています。
加藤さん そうですね。ゲームから始まるシリーズなので、何もないところから企画を一緒に立ち上げます。
大庭さん 新アミューズメントを新しく開発する時は、開発も別の会社で進行します。筐体を開発しながら、ソフトであるゲームの内容を固め、それを筐体にフィードバックしながら進めます。
加藤さん 明確にはないのですが、補完しながらやっているところもあります。
加藤さん 細部には関わっていないですが、ライブシーン、デザインなどについて話し合っています。
大庭さん アニメとゲームのライブシーンのニュアンスを合わせるため、シンソフィアさん、タツノコさんの3社で話し合います。CG会議と呼んでいるのですが。
依田さん 全体の企画について私のフィルターを通して現場に伝えます。マンガ原作のアニメの場合、ストーリーも絵もある状態でアニメ化しますが、「プリティーシリーズ」はアニメとゲームが同時進行です。特殊な作り方をしているんです。1970年代のロボットアニメで、雑誌連載、テレビ、玩具が同時に動くものがありましたが、それに近いかもしれません。制作現場には、別に制作プロデューサーがいますが、自分は企画を回す役割です。アニメのストーリーの都合で、ゲームのキャラクターを調整してもらうこともありますし、商品化もしているので、MD(マーチャンダイジング)を含めたプランを考えています。
大庭さん 同時進行なので、アニメが始まり、ゲームが稼働した時、どうなるのか……と毎年、ドキドキしながらやっています。
大庭さん 「ラブandベリー」が終了してから数年、女の子がおもちゃ売り場からいなくなってしまったんです。その頃、私はタカラトミー(タカラトミーアーツの親会社)で、コンシューマー事業を担当していて、アミューズメント事業もすることになりました。その事業部では、男児向けアミューズメントはやっていたけど、女の子向けもやることになりました。そこで「プリティーリズム」の企画が立ち上がったんです。当時の部長が“売り場の劇場化”というコンセプトをかかげており、おもちゃ売り場は、おもちゃを買うだけの場所ではなくて、売り場を遊び場にして女の子に楽しんでもらいたい。女の子を売り場に戻したかったのが全ての始まりです。
加藤さん 企画が始まったのは、2009年の年明けくらいでした。同年のゴールデンウイーク明けくらいから、開発を始めました。
大庭さん 当時に開発メンバーがシンソフィアさんの門をたたいたんです。
加藤さん 弊社は、プロレスゲームを開発していたのですが、違ったものを作ることになり、女の子向けのゲーム「わがままファッション ガールズモード」を開発しました。それがヒットして、タカラトミーさんの目に留まり、声をかけていただいた流れです。コネクションもなかったので、弊社のホームページから問い合わせがあった(笑い)。
加藤さん ちょうど浅田真央ちゃんが大人気で、バンクーバー五輪もありましたからね。打ち合わせをする中で、ストリートダンスなどの要素も入ってきて、これがプリズムショーか!となっていた。
大庭さん スケートは最初からテーマでした。企画を立ち上げる中で、企画と時代性が合致してきたところもありました。学校でダンスが必修化されたのもその頃。社会との接点も考えて、スケート、ゲーム性、ダンスのリズム……がテーマになっていきました。
加藤さん スケートは、転ぶと悲しい。そこも表現したかった。成功するけど、失敗もする。失敗をするから成功がうれしい。ストイックなゲームを作ったなあ……。
大庭さん 失敗するとゲームでも悲しい顔をする。成功した時と失敗した時の落差を見たかったんです。
大庭さん おもちゃ屋なので、開発メンバーが新しい物を作りたかった。プリズムストーンには、赤外線で読み込むコードが入っていて、筐体に置くと、コーデが出てきます。イリュージョン、驚きの要素を入れたかったんです。宝石のキラキラの中に女の子の憧れがつまっている。その“女の子のキラキラ”がこのシリーズのテーマになったわけです。
大庭さん なかったですね。オーディションで女の子がデビューできる企画、アパレルとのコラボ、マンガの連載はありました。当時、女の子の憧れだったAKB48とのコラボプロモーションもありましたね。当時、女の子のホビーを紹介する番組がなかったので、キッズステーションさんにお願いしてオリジナルミニ番組も作りました。ただ、最初はアニメの企画は動いていません。
大庭さん 7月に筐体がデビューしましたが、想定していたほど遊ばれなかった。新しい市場ということもあり、苦戦していました。それに加えて初めて作った筐体なので、トラブルもありました。チーム全体にがっかりムードも流れていたので、その時にしていないこと、アニメ化しかないだろう!という流れになった。実は、プロモーションプランにアニメ化も入れていたんです。ただ、そんな状況の中では「目の前のことをちゃんとやろう!」と叱られて、アニメ化は後回しになっていた。稼働後、当時の役員から「アニメの話、どうなったの?」と言われ「やります!」と(笑い)。製作委員会を作ることになったんです。
大庭さん そうですね。まずは売り場から作っていこうとしていたので。
大庭さん キャラクタービジネスというより、根がおもちゃ屋から始まった会社なので、玩具の力を付けてからアニメ化を考えるという体質はあるかもしれません。アニメと遊びが両輪になって成立するコンテンツ作りが、おもちゃ屋のコンテンツビジネスと思っています。
大庭さん タツノコさん含めプロジェクトメンバーでいろいろ悩んだところです。ゲームには、りずむ、かのん、セレナというキャラクターがいました。あいらは、アニメのために作ったキャラクターです。りずむのキャラクター設定はドラマチックではありますが、主人公は等身大にしたかった。あいらは、視聴者目線の主人公で、りずむがバディーになった。
依田さん 2010年8月にアニメのキックオフミーティングがあり、9月末に企画草案を出しているのですが、その時に菱田さんの名前が挙がっています。その少し前に、リカちゃん(タカラトミーの玩具)のアニメDVDの企画があり、監督が菱田さんで、脚本が(プリティーリズム・オーロラドリームのシリーズ構成の)赤尾でこさんだったんです。菱田さんは、女児向けアニメの印象はなかったけど、リカちゃんでいい感触があった。その流れです。それが秋ですよ。放送まで半年しかなかった。10月に合宿があって、そのタイミングでキャラクター原案はあったので、どういう世界観にするか、アニメの舞台などを一気に固めました。
依田さん シナリオ会議を始めたのが12月ですからね。かなりハードですよ。
大庭さん プロダクトプレイスメントをやる、トレンドをしっかり出していくという宿題もありました。実写パートを入れることでトレンドを伝えたり、オーディションをしたりして、アニメの主人公と視聴者の子供が一緒に成長していくようなコンテンツにしたかったんです。そこからエイベックスさんのご協力の下、Prizmmy☆(小学生によるダンス・ボーカルユニット)がデビューしました。実写パートは実質3分くらいしかないけど、アニメ制作と同じくらい時間がかかりました。短いけど、その中にテーマがあるのか?を考えたり。
大庭さん 筐体で遊ぶ子供もすごく増えましたし、ゲームで遊ぶことがオシャレであるという流れを作ることができました。2011年は東日本大震災もありました。明るい希望を見せたかったところもあります。
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