進撃の巨人:誕生秘話 完結の裏側 持ち込みから感じた「情念」「魂の叫び」

「進撃の巨人」のコミックス第1巻
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「進撃の巨人」のコミックス第1巻

 諫山創さんの人気マンガ「進撃の巨人」が、4月9日発売の連載誌「別冊少年マガジン」(講談社)5月号で最終回を迎え、約11年半の連載に幕を下ろす。斬新な設定、謎が謎を呼ぶ展開など重厚なストーリーなどが話題になり、全世界の累計発行部数が1億部以上を誇る超ヒット作となった。そもそも超ヒット作はどのように生まれたのだろうか? 講談社の担当編集の川窪慎太郎さんに聞いた。 

 ◇絵はうまいが… 連載前夜の裏話

 「進撃の巨人」は、圧倒的な力を持つ巨人たちを相手に人類が絶望的な戦いを挑む姿を描いたマンガ。諫山さんのデビュー作で、2009年9月に「別冊少年マガジン」の創刊タイトルとして連載をスタートした。コミックスが第33巻まで発売されており、最終巻となる第34巻が6月9日に発売される。テレビアニメのシーズン1が2013年4~9月に放送され、実写映画が2015年に公開されたことも話題になった。テレビアニメ最終章となる「The Final Season(ファイナルシーズン)」がNHK総合で放送中。

 「進撃の巨人」は、諫山さんが講談社に原稿を持ち込んだことから生まれたことは、よく知られている。川窪さんが、持ち込まれた原稿を見たのが「進撃の巨人」誕生のきっかけになった。川窪さんは、諫山さんの原稿から「情念」「魂の叫び」を感じたという。

 「魅力を感じたのは原稿からにじみ出てくる作者の情念のようなものです。大げさに言えば『これを描かずに死ぬわけにはいかない』というような作者の魂の叫びを原稿から感じました。出会ってから今に至るまでずっとそうですが、諫山さんには人間の感情を表情として絵にするうまさがあると感じています」

 持ち込まれた原稿は公開されているので、見たことがあるファンもいるかもしれない。迫力があるものの、言葉を選ばずに言ってしまえば、決して絵がうまいようには見えない。しかし、川窪さんは「絵はうまい」と感じたという。

 「絵はうまいけれど線が汚いと思っていたので、きれいな線を描いてもらう練習をしまた。具体的には当時の『週刊少年マガジン』の人気作の模写をしてもらいました。何年間もずっと『僕の線、汚いんですかねー。僕には汚く見えないのですが……』と言われ続けたので、効果があったのかどうかはわかりませんが(笑い)」

 ◇描くべきことを全て十分に描き切って終わる

 「進撃の巨人」は2009年9月に「別冊少年マガジン」の創刊タイトルとして連載をスタートした。「週刊少年マガジン」で連載する選択肢もあったかもしれないが、なぜ新雑誌を選んだのだろうか?

 「これは単純に確率が高かったからです。創刊号なので当然新連載がたくさん始まるわけで、新人作家が参加できる連載獲得コンペにも3~4くらいの枠があったように記憶しています。僕も諫山さんも若くて連載に飢えていたので、飛びつかない手はないという状況でした」

 連載が始まると、すぐに話題になった。

 「きっかけはブログと書店(書店員)さんだったと思います。1話目掲載後にたくさんの方がブログで紹介してくださり、1巻からこの作品を猛プッシュしてくださる書店も多かったです。おそらく『人が巨人に食べられるマンガ』というのが、宣伝文句として人に伝えやすかったのだと思います。加えて『雑誌創刊&23歳のデビュー作』という若さや旬もあったのではないでしょうか」

 今年1月に連載終了が発表された際、諫山さんは「決して編集部に引き延ばされたわけでもなく、むしろ『いつ終わるのか』とせかされ続けての晩年でした。すいません、ようやく終わります」とコメントを寄せた。諫山さん、担当編集はどんな思いで、約11年半の連載に終止符を打つのだろうか?

 「5年くらい前からずっと『早く終わりたいね』と話し合っていました。僕は(勝手な意見ですが)諫山さんは『進撃の巨人』と同等の物語をまだまだ描ける作家だと思っているので、彼が若くて元気で気力十分なうちに次の連載に取り掛かってほしいと思っていました。諫山さんは引き延ばしじゃないのに、引き延ばしと言われることがイヤで早く終わりたかったのではないかと思います。結果は34巻ということになりましたが、もちろん引き延ばしはないですし、作品としても描くべきことを全て十分に描き切って終わることになりそうです」

 「描き切った」というからには、最終回への期待が高まる。大作「進撃の巨人」を「描き切った」諫山さんの「次の連載」も楽しみに待ちたい。

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