魔法使いの嫁:新作アニメのためにスタジオ新設 スタジオカフカの挑戦 丁寧なアニメ作りを

「魔法使いの嫁」のアニメ新プロジェクトのビジュアル(C)ヤマザキコレ/マッグガーデン(C)2022ヤマザキコレ/マッグガーデン・魔法使いの嫁OAD製作委員会
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「魔法使いの嫁」のアニメ新プロジェクトのビジュアル(C)ヤマザキコレ/マッグガーデン(C)2022ヤマザキコレ/マッグガーデン・魔法使いの嫁OAD製作委員会

 ヤマザキコレさんのマンガが原作のアニメ「魔法使いの嫁」の新プロジェクトが始動し、新作OAD(オリジナルアニメDVD)シリーズが制作されることになった。OADシリーズを制作するスタジオカフカは、同シリーズの企画発足をきっかけに設立された。同社を立ち上げたのは、「さらざんまい」の制作デスクを担当した成瀬晃一さん、「ヴィンランド・サガ」のキャラクターデザイン、総作画監督を務めた阿比留隆彦さん、「オーバーロードIII」などの演出を担当してきた寺澤和晃さんの3人。“ここでしか作ることができないアニメ”を目指すという3人に、設立の裏側、「魔法使いの嫁」への思いを聞いた。

 ◇スタジオ設立に至った熱量

 「魔法使いの嫁」は「月刊コミックガーデン」(マッグガーデン)で連載中のマンガが原作で、身寄りのない15歳の少女・チセが、魔法使いのエリアス・エインズワースに弟子、将来の花嫁として迎え入れられる……というストーリー。テレビアニメが2017年10月~2018年3月に放送された。

 テレビアニメを制作したのは「進撃の巨人」「甲鉄城のカバネリ」などで知られるWIT STUDIOで、ハイクオリティーな映像が多くのファンの心をつかんだ。寺澤さんを含めた3人はそもそもWIT STUDIOに所属しており、それ以前もstudio VOLNでも一緒に働いたことがあった。

 昨年、「魔法使いの嫁」アニメ新プロジェクトが発足した。そこで制作として立ち上がったのが、同作に熱い思いを持つ成瀬さん、寺澤さんだった。「どろろ」「泣きたい私は猫をかぶる」などを企画、立案してきた「ツインエンジン」の山本幸治プロデューサーの後押しもあって、会社を設立することになった。幾度となく制作を共にし絶大な信頼を寄せていた阿比留さんに声をかけ、3人で新たなスタートを切ることとなった。

 寺澤さんは「成瀬と僕は大学の同級生で、いつか自分たちで会社を作って作品を制作したい!と話していた。熱量があったんです」と話し、阿比留さんは「2人の熱量を感じていた」という。「いつか自分たちのスタジオを!」という夢があったからこそ、「魔法使いの嫁」のアニメ新プロジェクトをきっかけに、スタジオカフカは誕生した。

 ちなみに社名は、フランツ・カフカから取ったわけではないという。成瀬さんは「3人で話し合っていた時、村上春樹の『海辺のカフカ』の本が置いてあって、カフカっていい響きだね……と。会社のロゴは、鍋の中に本が入っている絵なのですが、阿比留さんの家で鍋パーティーをよくしていたこと、シナリオをうまく調理するという意味を込めています」と説明する。

 ◇世界観に深く入るような映像を

 スタジオカフカが目指すのは、丁寧なアニメ作りだ。「一つ一つの画面を丁寧に作る。ドラマ性のあるアニメを作る」ことを目標としている。OADの監督を務める寺澤さんは、スタジオカフカらしい表現を模索中だ。

 「よく動くアニメが流行していますし、映画的な作りのアニメも増えています。でも、スタジオカフカではまた違うものも目指そうとしています。僕と阿比留さんはマッドハウスでも働いていたのですが、50、60代の先輩方へのリスペクトが強いんです。画面から伝わる情報量の多さも表現したい。流行とミックスしていきたいです。阿比留さんは日本画を専攻していたこともあって、空間の作り方に日本らしさを感じるところもあります。なので、いつか日本らしさを打ち出すような作品も作ってみたいですね」

 「魔法使いの嫁」新OADシリーズは、原作者のヤマザキさん原案の完全新作エピソードを3部作でアニメ化する。寺澤さんは「初期の民話っぽいエピソードを膨らませたようなストーリーで、新キャラも出てきます。キャラクターだけが立つ映像ではなく、キャラクターが立ちつつも、世界観に深く入ることができるような映像を意識しています。テレビアニメのスタッフに新たなスタッフが加わることで、これまでとは違う面白さや魅力も楽しんでいただけると思います」と説明する。

 ◇コロナ禍のアニメ制作

 コロナ禍ということもあり、制作はテレワークが中心となっている。スタジオカフカは若いスタッフが多いといい、阿比留さんは「コミュニケーションが円滑にできている」と感じているという。

 「テレワーク中なので、作業中はボイスチャットをつないで、意見を交換しています。若いスタッフが多いので、そういった環境に適応できるのが強みでもあります。スタジオによっては、テレワークで生産力が落ちることもあるようですが、そんなことはなくて、スタジオにみんなで集まっている時以上に円滑にコミュニケーションできています。カフカでやっていることは、コロナ禍のアニメ制作の一つの答えになるかもしれません」

 成瀬さんは「阿比留さんは、僕や寺澤君よりも経験があり、大きなタイトルも手がけられています。信頼していますし、いろいろ相談させていただいています。面倒見のいいお兄ちゃんです。寺澤君は、誰も思いつかないようなことを思いついて実行する人です。スタジオカフカでは、きめ細かい映像を作っていけるはずです」とチームワークに自信を見せる。

 スタジオカフカはきっと“ここでしか作ることができないアニメ”を世に送り出していくはず。「魔法使いの嫁」のOADの完成、さらにその先にも期待したい。

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