音楽と映画の祭典「MOOSIC LAB(ムージックラボ)[JOINT]2020-2021」のコンペティション部門に正式出品された短編「さつきのマドリ」で主演を務めた女優の平井珠生さん。1998年生まれの22歳で、昨年公開の映画「アルプススタンドのはしの方」に出演し、注目を集めた期待の新進女優だ。「さつきのマドリ」が初主演作で、そんな平井さんを「意地悪な役をやっても、何だかちょっと可愛らしく演じることができる女優さん」と評する同作の葛里華監督と映画について語ってもらった。
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「さつきのマドリ」は、大好きだった恋人に突然フラれ、ボロボロになった27歳の女性・桜井さつきが主人公。失意の中さつきは、道端にいたお地蔵さまに「どうか私を幸せにしてくれる男を、見極める目をください!」と懇願すると、突然、世の中の男性の顔が「物件の間取り」に見えるようになる……。結婚すれば、彼氏がいれば、理想の条件に合う人を見つければ、人は幸せになれるのか? 運命と思える居場所を見つけるまでの、さつきの物語となっている。平井さんは主人公のさつき役に加え、主題歌の歌唱も担当。また葛監督はマンガ誌の編集者としての顔も持つ。
平井さん 「男の人の顔が物件に見える」という設定が変わっていて、SFまではいかないですけど、不思議な話だなと思いました。私は、男の人の顔が「紙の間取り図に見える」芝居ができるのかな、という不安もありましたが、初めての主演でこちらの作品を演じさせていただけるのはすごくうれしかったです。
ーーせりふやシチュエーションから葛監督の人間性を感じる部分はありましたか?
平井さん それは全部です(笑い)。台本をいただいてから、葛さんとお話をしていく中で、さつきと葛さんがリンクしていって。現場でもかなり葛さんの所作を参考にさせていただき、お芝居をさせていただきました。私が演じているさつきを見て、葛さんを知っている人が「葛さんっぽいな」と思ってくれるといいなと思いながら演じていたので、行定勲監督が現場にいらしてくださったときに「小さい葛がいるみたいだね」って言ってくださって、「あっ、成功している」と思いました。
あと、自分ともさつきがリンクしているところがあって……。大学のときの飲み会のシーンで、適当に言ったことが、相手にはすごく重く受け止められている、みたいな。私もそういうことをしてしまいがち。その場のノリで「これやろう、やろう」みたいなことを言ってしまうので、自分自身の今までの言動を反省するところもありました。
ーー平井さんから見た葛さんの“素顔”は?
平井さん 一見、柔らかい感じの方なのですが、「すごく芯を持っていて賢い女性だな」と思っています。同性として、映画業界の人間としても、参考にしたいなと思っています。
ーー葛さんは平井さんの演技を見てみてどういった印象をお持ちになりましたか?
葛さん しっかりとコメディーができる女優さんで、顔の表情が豊か。目の演技とか、私が「こういうふうにしてほしい」っていう要望に対して、想像以上に良いリアクションをしてくれる。今回の作品はコメディーで分かりやすく、かなり人物をデフォルメして作っているのですが、その可愛いデフォルメ感が、珠ちゃんだからこそって感じで、すごくよく出ていて、本当にさつき役をやってもらって良かったなと思います。
ーー葛さんから見た平井さんの魅力を改めてお聞かせください。
葛さん 表情が大きいですし、平井さんが持つ可愛らしいシルエットと表情、そのコロコロと変わる感じが、みんなが見て今回のさつきを「愛らしい」「憎めない」と言ってくれる一番の要因なのかなと思っていて。「アルプススタンドのはしの方」でも、平井さんはちょっと意地悪な役やられていて、それでも、何だかちょっと可愛らしく演じることができる。その憎めなさっていうのは、たぶん平井さんの人間性からにじみ出るもので、すごく魅力的だと思います。
ーー平井さんに女優として今後、期待することは?
葛さん 今はたぶん見た目の感じもあって、少女性のあるキャラクターが多いのかなと思っていて。ぜひ、ちょっと大人っぽい役とかも見てみたいですし。“女の珠生”も見てみたいですね(笑い)。
ーー次、またもう一度、平井さんを主人公に撮るとしたらイメージはありますか?
葛さん 次は、コメディーではない作品……例えばガッツリの恋愛ものとかでご一緒できるといいなと思います。
平井さん じゃあ葛さんお願いします(笑い)。
葛さん はい(笑い)。
ーー改めて完成した映画を見て感じたこと、発見したことはありましたか?
葛さん 私は自分の映画を見返すたびに反省点ばっかりが気になるので。マンガと映画は同じエンターテイメントではあるのですが、マンガを編集する脳と、映画を作る脳は全然違う。紙の上で2次元的な人物がせりふを言うのと、本物の俳優さんがせりふを言うのとでは、同じ構図だったとしても別物であるということが、ようやく「さつきのマドリ」で体感できたので、次の作品では、映画としての演出をつけることができたらなって思いました。
平井さん 演じているときは全然気づいていなかったのですが、客観的にさつきを見たときに「あかんやつだな」と思って(笑い)。仕事も全然せえへんし。恋愛的な部分はともかく、「仕事はほったらかしやん」みたいな(笑い)。それでも、一人の人間の生き方として、「すごくいいんじゃないか」とか「もっと楽に生きていいんだ」みたいなことを見てくださる人が感じていただけたらうれしいです。
あと「MOOSIC LAB」のほかの作品と比べても、「さつきのマドリ」はエンタメ寄りで、感想として「見やすい」「分かりやすい」といった言葉をたくさんいただけたことが私はすごくうれしかったです。葛さんが映画で伝えたかったこととか、私も演じている中で大事にしていた部分が伝わった気がして、それは本当によかったなと思っています。
ーー最後にこれから映画を見る人に一言。
平井さん 分かりやすい作品なので、本当に誰が見ても面白いと思います、さつきは27歳の女の子ですけど、もう少し若い、私と同世代の方でも「これからもっと自由に生きていいんだ」と思わせてくれるような作品になっているので、ぜひ多くの方に見てほしいなと思います。
葛さん 私はいつも映画を作るときに、見てくれた人が元気になってほしいと、プラスな気持ちになって劇場を出てほしいと思っているので、「さつきのマドリ」でも最後、見てくださった方の心に爽やかな風が吹いてくれればいいなと思っています。
MOOSIC LAB[JOINT]2020-2021コンペティション部門出品作品
K’s cinema(東京都新宿区)、アップリンク吉祥寺(東京都武蔵野市)、アップリンク渋谷(東京都渋谷区)ほかで順次上映を予定
詳細は「さつきのマドリ」公式ツイッター参照
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