永井豪:「ゲッターロボ」誕生秘話語る 石川賢への思い 「彼の才能は常に感じていた」

永井豪さん(C)永井豪・石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所
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永井豪さん(C)永井豪・石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所

 永井豪さん、石川賢さんの人気マンガ「ゲッターロボ」シリーズの最終章が原作のテレビアニメ「ゲッターロボ アーク」が、7月4日からTOKYO MX、BS11ほかで順次放送される。永井さんは、2006年に死去した石川さんについて「とにかくキャラが動いているのが好きで、アクションの演出も上手です。彼の才能は常に感じていました」と話し、アニメ「ゲッターロボ アーク」を「本人に見せてあげたかったというのが一番の気持ちです。どんなに喜んだだろうかと思います」と語る。「ゲッターロボ」誕生秘話、作品への思いを聞いた。

 ◇殺人的仕事量の中で始まった「ゲッターロボ」

 --1972年に「デビルマン」と「マジンガーZ」の連載が始まり、1973年に「ドロロンえん魔くん」と「キューティーハニー」、1974年に「ゲッターロボ」、さらに1975年に「鋼鉄ジーグ」と、当時の仕事量は殺人的ですね。

 永井さん 「マジンガーZ」が高視聴率だったおかげで、次々と依頼が来ました。もうすごいですよね。今でも本当に信じられないです(笑い)。どんどん連載が増えて、マンガの仕事も僕の負担も大きくなって。よくあんなことができたなぁ……。

 --そんな忙しいさなかに「ゲッターロボ」の企画が立ち上がります。

 永井さん 企画そのものは東映動画(現・東映アニメーション)の有賀健プロデューサーとダイナミック企画の永井隆が話をしてスタートしました、彼(永井隆さん)は商売人だから(笑い)、玩具の展開を見越して「主役は3体です!」と。それが有賀さんに好感触だった。それで「こんな企画をやるんだ」と説明を受けたのですが、「三機が合体変形して、それぞれが違う形になる」と聞いて「コイツは何を言ってるのかな?」と思いましたね(笑い)。でも東映動画としてはめちゃくちゃ乗り気で、「すぐに番組になると思うので、ぜひやってほしい」と。そんな状態で「ゲッターロボ」はスタートしました。

 --マンガは石川さんが担当することになります。

 永井さん アニメの企画がいけそうだとなってきたところで、「連載が決まらないと最終決定が出ません」という話が出てきました。いずれにせよ僕は「マジンガーZ」があるから連載は無理だろうと。それで企画段階のデザインから石川(賢)ちゃんが入っているんだから、「石川ちゃんにやってもらうしかないよ」と(永井)隆に言って「それじゃ説得してみるよ」という話になったんですよ。

 --ゲッターロボのデザインはゲッター1が石川さん、ゲッター2とゲッター3が永井さんが担当されたそうですね。

 永井さん はい。ゲッター1はすぐできたんですが、石川ちゃんがそこから「あとは作れない」と。「1を作ったんだから全部作れよ」と言ったんですが、「作れない、作れない……」と延々やってる(笑い)。なのでその場でサラッと描きました。そうしたら石川ちゃんが「ええっ、早い~」と驚いていて(笑い)。石川ちゃんは現実にうまく合体できるかどうかを真剣に考えちゃうんだけど、「アニメはウソが効くから、そんなの考えなくていいんだよ。合わなくても絵でゴマせるから大丈夫」と。

 --そうして石川さんによる「ゲッターロボ」がスタートします。

 永井さん 石川ちゃんの場合は、僕に近い絵が描けるし、アクションシーンの演出をやるのがうまい。だから「ロボットアクションも(人間と)一緒だから。得意だからやれるよ」と言ってたんだけど、石川ちゃんは「人物設定が自分には向いていない」と言いだして……(笑い)。もともと(主人公が)サッカー部のキャプテンという設定は決まっていましたし。だけど「サッカーなんて全然分からないし……」というんで、「好きなように変えてもいいから。主人公の名前とロボットが一緒だったら、あとは石川流でやってくれよ」と。少年サンデー編集部も石川ちゃんで描くというのは乗り気だったんですよ。「風魔孤太郎」を連載した実績がありましたから。だから石川ちゃんでいきたいというのもスムーズに決まったんですけど、本人が一番悩んでいた(笑い)。

 ◇アニメ「ゲッターロボ アーク」に「たしかに石川賢のキャラクターが動いている」

 --永井さんから見て、石川さんはどんなマンガ家でしたか?

 永井さん 器用だし、筆は速いし。キャラクターをいつもたくさん描いてもらっていたせいか、モブシーンがめちゃくちゃ得意になっちゃってましたね。わざわざ自分でもモブシーンを作って描いたりしていた。とにかくキャラが動いているのが好きで、アクションの演出も上手です。彼の才能は常に感じていました。

 --石川さんが「ゲッターロボ」を描いたことで、どんな化学反応が起きたと思いますか?

 永井さん あれによって石川賢がマンガ家として、編集者など出版関係の人たちにしっかりと認識されたと思います。それまでは連載や読み切りをやったとしていても、そこまでマンガ家として確立できたという感じではありませんでした。「ゲッター」でテレビに名前も載りましたし、各出版社も「石川賢という、永井豪とは別のマンガ家がいるんだ」としっかり認識したのだと思います。

 --「ゲッターロボ」「ゲッターロボG」と続いて、その後、「ゲッターロボ號」(1991年2月連載開始)が改めて始まります。

 永井さん 「『ゲッター』は石川ちゃん」みたいな感じで、基本はずっとお任せでした。「ゲッターロボ號」の時はキャラクター原案だけやりましたが、「ゲッター」のマンガは石川ちゃんにどんどん進めてもらえればいいやと。彼もいろいろな新しい設定を作っていって、敵も石川流にどんどん面白いものを考えてくれてよかったと思います。

 --アニメ「ゲッターロボ アーク」への期待を聞かせてください。

 永井さん 予告映像を見せてもらったところ、たしかに石川賢のキャラクターが動いているなと感じられるもので、すごくうれしかったです。これを本人に見せてあげたかったというのが一番の気持ちです。どんなに喜んだだろうかと思います。これが本編になれば僕自身も、石川賢を思い出しながら見られるのではないかと思います。ファンの方も楽しんで見ていただければうれしいです。

 「ゲッターロボ アーク」は、1974年に連載始まった「ゲッターロボ」をはじめとする「ゲッターロボ・サーガ」の最終章。「ゲッターロボ」は、「ゲッターロボG」(1975年)、「ゲッターロボ號」(1991年)、「真ゲッターロボ」(1997年)などが描かれ、「ゲッターロボ アーク」は、双葉社の「アクションピザッツ」増刊の「スーパーロボットマガジン」で2001年に連載スタートした。石川さんが亡くなったため、「ゲッターロボ アーク」は未完となっている。

 アニメは、「真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ」「新ゲッターロボ」などの川越淳さんが監督を務め、Bee・MediaとstudioA-CATが制作する。内田雄馬さんが主人公・流拓馬を演じるほか、向野存麿さん、寸石和弘さん、内田直哉さんが声優として出演する。

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