天城サリー×小澤亜李:「やくも」第2期で二人の“ひめな” 母役、スペイン語、多治見弁の挑戦

「やくならマグカップも 二番窯」に出演する小澤亜李さん(左)と天城サリーさん
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「やくならマグカップも 二番窯」に出演する小澤亜李さん(左)と天城サリーさん

 岐阜県多治見市が舞台で、伝統工芸品・美濃焼がテーマのフリーコミックが原作のテレビアニメ「やくならマグカップも(やくも)」の第2期「やくならマグカップも 二番窯」。第2期は、新キャラクターとして主人公・豊川姫乃の母で伝説の陶芸家・土岐川姫菜、姫菜の作品にひかれてメキシコからやってきたヒメナ・バルデスが登場。第1期に続き、前半15分がアニメ、後半15分が実写パートの2部構成となる。ヒメナ役の天城サリーさん、姫菜役の小澤亜李さんの二人の“ひめな”にアフレコの様子、多治見や焼き物への思いを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇陶芸の奥深さに触れ

 --作品の印象は?

 天城さん 後半が実写で、最初はそこにびっくりしました。新しい作品ですね。

 小澤さん アニメパートを見て、15分とは思えないほど充実感のある作品と感じました。「やくも」の雰囲気がすごく好きで。趣のある町で、普通の女の子が陶芸を通していろいろ学んでいく姿を見て、温かい気持ちになりました。後半の実写パートで、多治見の魅力を知り、アニメ、実写のどちらも楽しんで見ていました。

 天城さん 陶芸などアートは、人の心を引きつける力があると思います。「やくも」でも、ヒメナちゃんが姫菜さんの作品を知り、メキシコから日本に来ますし、いろいろな人たちを一つにするすてきなものが陶芸には秘められていると作品を通して感じました。私は勉強不足で、陶芸の知識があったわけではないのですが、アニメを通して陶芸の素晴らしい文化を学ぶことができました。そういうところもすてきな作品ですね。

 小澤さん 陶芸は身近にあるものですが、人間性も作品に反映されますし、すごく深い世界なんだと感じました。ハートフルで癒やされる作品なんですけど、その中に陶芸という軸があり、不思議な作品なんです。

 --陶芸の経験は?

 天城さん つい最近、体験しました。湯飲みを作ろうとしたところ、貝殻みたいなものができあがってしまい(笑い)。難しいんですよね。私の中での陶芸のイメージは映画「ゴースト」で後ろから手を回しているシーンで、手を添えれば、簡単にできるのかな?と思っていたのですが、親指をちょっと中に入れただけで、ぐにゃぐにゃになってしまい……。本当に繊細なんです。

 小澤さん 実写パートでみんながマグカップやタイルアクセサリーを作っているのを見て、私もやってみたい!と思いました。「やくも」の出演が決まる前に、ちょうど美濃焼を買うようになったんです。渋い色からパステルカラーまですごく幅広く、こんなすてきな色みなんだ!と。私も作ってみたいです。

 --多治見には行ったことはある?

 小澤さん 行きたいんですけど……。行く方法だけ調べました(笑い)。実写パートを見て、いろいろなところに行きたい!となっています。

 天城さん コーヒーチケットがある喫茶店が出てきますよね。地元の人みたいに使ってみたいです。

 小澤さん いいですよね。趣のある町の雰囲気が好きなので、歩いてみたいです。マグカップが可愛い仕上がりになるミラクルも体験したいです。タイルのアクセサリーも可愛いですよね。自分で作ると愛着がわくでしょうし、作ってみたいなあ……。カレーも食べたい!

 天城さん カレー、食べたいです!

 ◇破天荒な姫菜 圧がすごいヒメナ

 --自身が演じるキャラクターの印象は?

 天城さん ヒメナ・バルデスは、メキシコで日本の姫菜さんの作品を見て、一目ぼれをして、急きょ、荷物をまとめて日本に来ます。すごく明るく真っすぐな女の子です。私も日本のアニメが大好きになって、日本に引っ越してきたので、私と同じ!と思いました。

 小澤さん 姫菜さんは有名な陶芸家で、第1期の頃からお話に度々出てきていましたし、すごく緊張しながら、挑ませていただきました。アフレコの時に、監督から「明るくバイタリティーがあって破天荒なキャラクター」とご説明いただき、自分の中で「職人気質だししっかりしているところとかもあるのかな?」と思っていたら、「それはいらないです」というお話で……。とにかく破天荒で人を巻き込むほどの行動力があり、思ったらそれに行き着くまで徹夜してでも作品を作り上げるバイタリティーのあるキャラクターなんです。

 天城さん 私は「とにかく明るくて圧がすごい女の子」というお話がありました。最初「どこにありますか!」「こんにちは!」というせりふを天真らんまんに演じたのですが、「圧がない」「もっと米国出身ならではの人を巻き込む明るさがほしい」というお話で……。私は米国出身だけど、人見知りなので、一瞬、頭を抱えました。テンションが高く、人を引っ張る明るさがある女の子です。

 --小澤さんは、自身と姫菜に共通点はある?

 小澤さん 脚本家の荒川(稔久)さんとは以前、別作品でご一緒させていただく機会があり、「いつもの小澤さんで」とおっしゃっていただいたのですが、私は破天荒じゃないんです……。でも、「いつもの小澤さんならできるっしょ」と(笑い)。

 --姫菜は姫乃の母です。姫乃を演じる田中美海さんと親子感を意識したところは?

 小澤さん ついに母親役!とも思ったのですが、台本を見たら高校生でホッとした自分がいて(笑い)。田中美海ちゃんは年下だし、お姉さん感を出していこうとしました。第2期の最初の頃に田中美海ちゃんと一緒に収録ができて、何度かご一緒させていただきました。いろいろ話ができて、うれしかったです。姫菜と姫乃は、同じ高校生ではありますが、少しだけ親子感を意識していました。

 --天城さんはスペイン語と日本語を織り交ぜたせりふのようですが。

 天城さん スペイン語は日常会話レベルであればできるのですが、メキシコに住んでいたわけではないので、分からないこともあり、メキシコ人のYouTuberさんが日本語で話している動画を見たりしました。日本語で「r」を発音する時に舌を回すんですね、「らりるれろ」は全部リップロールをするようにしていました。

 --スペイン語で演技するのは初めて?

 天城さん 初めてです。難しかったのがスペイン語は早口になりがちで、尺に合わせようとすると、早く終わってしまうので、ちょっとゆっくり話したり、「この言葉を足したらジャストで収まると思います」と提案させていただきました。

 --自身と重なるところも?

 天城さん それこそ「好きこそものの上手なれ」で、私も日本に来て、この職業に就いてから日本語がどんどんうまくなっていきました。ヒメナちゃんは最初、日本語が片言でスペイン語交じりなんですけど、回を重ねるごとに多治見弁も交ざってくるんです。

 --多治見弁は難しいのでは?

 天城さん 難しいですね。「やっと会えたね」という意味の「やっとかめやなぁ」というせりふがあったのですが、後ろから抱きつくシーンだったので、「亀の甲羅って意味のなのかな?」と思ったり(笑い)。

 ◇初共演の二人 天城サリーが隠していたことは?

 --この作品ならではの挑戦は?

 天城さん スペイン語と日本語が交ざるところですね。スペイン語らしさを考えすぎると、演技に集中できないですし。

 小澤さん 私はスペイン語ほど大変なことはなかったのですが、母役が初めてで、挑戦になりました。ビジュアルを見て、可憐(かれん)に演じようとしたのですが「可憐さはいらない」というお話だったので、破天荒さ、大胆さを意識しました。初めての雰囲気の役かもしれません。

 --二人の共演は初めて?

 小澤さん そうなんです。アフレコではまだ一緒になっていなので、今日の取材で初めてお会いました。

 天城さん 実は米国にいた時に「月刊少女野崎くん」の(小澤さんが声優を務めた)千代ちゃんのコスプレをしていたんです。大好きで……。

 小澤さん 絶対可愛い! うれしいです!

 天城さん 今日はすごくうれしかったのですが、今まで隠していました(笑い)。

 --最後に第2期の見どころを教えてください。

 小澤さん 姫乃ちゃんは第1期で陶芸に出会い、歩み始めたばかりでしたが、アートは正解や終わりがないものだからこそ、壁に当たったりします。第2期では、新キャラクターとの出会いで、発見することもあり、自分の陶芸の道を進んでいく姿、成長する変化が見どころになります。お母さんはこういうことを思っていたんだ……と成長していきます。

 天城さん ヒメナちゃんは、多治見の方々と関わり、好きなものにのめり込んでいくうちに、地域の文化にどんどん染まっていきます。そういったところも見どころになります。

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