ルパン三世 PART6:第2クールで描く「ルパンと女」 “母”の存在 魔性の女性 村越繁「守りつつ崩す」

「ルパン三世 PART6」の一場面 原作:モンキー・パンチ(C)TMS・NTV
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「ルパン三世 PART6」の一場面 原作:モンキー・パンチ(C)TMS・NTV

 人気アニメ「ルパン三世」の新作テレビアニメ「ルパン三世 PART6」の第2クールが、1月に日本テレビ系でスタートした。「PART6」は、「ルパン三世」アニメ化50周年記念作で、第1クールでは「ミステリー」をテーマにルパンとシャーロック・ホームズの対決が描かれ、押井守さん、湊かなえさんら豪華ゲスト脚本家によるオムニバスエピソードも話題になった。第2クールのテーマは「女」で、シリーズ構成を務めるのは、2014年に「シドニアの騎士」でアニメ脚本家デビューし、「ゾンビランドサガ」など人気作に携わる新鋭・村越繁さんだ。第2クールは、ルパンが「母」と呼ぶ女性が描かれることも話題になっており、村越さんは「『ルパン三世』の世界を守りつつ、セオリーを崩すことを求められていると感じた」と話す。第2クールで描かれる「ルパンと女」とは?

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 ◇これまでにない「ルパンと女」 答えは「ルパンの過去」に

 「ルパン三世」は、故・モンキー・パンチさん原作の人気アニメシリーズで、「PART1」が1971年にスタートした。新作「PART6」は、ルパン三世をひもとく二つのキーワードがあり、第1クールのキーワードは「ミステリー」、第2クールは「女」で、ルパン三世の前に魔性の女たちが次々と現れる。女たちが抱える秘密とうそは、ルパン三世のとある謎へつながっていく。日本テレビ系で毎週土曜深夜0時55分に放送。

 村越さんは第2クールのシリーズ構成のオファーを受け、「びっくりしました。まさか、なぜ僕なのか?と。あまりに大きな作品なので、最初はお受けするべきか迷うほどでした」と振り返る。「PART6」は、2クールに分け、「全く違う体制で全く違うストーリーを描く」という企画意図があったという。

 「第1クールは、推理作家の大倉崇裕さんがシリーズ構成を担当され、名だたる方々が脚本で参加されました。第2クールは、そこから一気に方式を変えて、フレッシュさを狙うというところで、オムニバスエピソードの脚本家も僕がやり取りしやすい方々でチームを作ってほしいとご依頼をいただきました。大きなプレッシャーはありましたが、精いっぱいやらせてくださいとお受けした形です」

 村越さんがオファーを受けた時点で「女」というテーマは決まっていた。「ルパンと女性」をどう描くかと村越さんが試行錯誤する中で、大きなハードルとなったのが、絶対的ヒロイン、峰不二子の存在だった。

 「これまでもいろいろなヒロインが出てきましたし、どうしても峰不二子という女性がいるので、同じベクトルで不二子より上の女性を描くことはかなり難しい。また、社会的な視点で『女性とは?』を描くことは、僕の中では『ルパン』ではないと考えました。そこで、過去ルパンに大きな影響を与えた『女性』を登場させることにしました。完全無欠なルパンだからこそ描かれてこなかった、謎に包まれた存在。そんな女性を描けば、もしかしたら今までにないものになるんじゃないか。そこを軸としてストーリーを派生させていきました」

 ◇ルパンの“母”登場の裏側 セオリーを崩せる「ルパン三世」の魅力

 過去にルパンに影響を与えた女性として登場するのが、ルパンが「俺の母親だ」というトモエだ。第2クールの第1話では、秘宝オークションに謎の宝石が出品され、それが幼少のルパンが住んでいた屋敷から盗み出されたものだったことが明らかになった。これまで明確に描かれてこなかったルパンの“母”をどう描くのか、ファンの間でも話題になっている。

 「原作者のモンキー・パンチ先生も『ルパンは自分の母親を知らないかも』と過去のインタビューで語られています。『女』をテーマにする際、母親にまつわる話を描くことができれば、面白いものができるんじゃないかと思いましたが、『ルパン三世』としては明かすべきところと明かしてはいけないところがある。そこをオリジナルで決めてしまうと、『ルパン三世』のミステリアスな魅力を損なってしまうところがあるので、十分に気を付けて、母親にまつわる物語をどう描いていくか、考えていきました」

 「PART6」は、制作陣の「新たなルパンを見せたい」という思いが込められたチャレンジングな作品だ。トムス・エンタテインメントの野崎康次プロデューサーも「新作は次の50年への架け橋となるシリーズ。改めて多くのお客様に『ルパン三世』を知ってもらうためにあらゆる挑戦をしていきたい」と語っている。村越さんは自身がシリーズ構成のオファーを受けた際、「『ルパン三世』の世界を守りつつも、どこかセオリーを崩したいのかもしれない」という制作陣の思いを感じたという。その上で、「キャラクターをぶれさせないこと」を大事にした。

 「ルパンだったらこういう時にこうする、次元だったらこういう反応をするという、これまで積み上げてきたキャラクターは崩さないように気を付けました。一方でストーリーの展開は自由で、ルールも設けられていない。それが『ルパン三世』という作品の良さでもあるので、キャラクターがちゃんと生きている世界であれば、物語の展開は自由にやるということを心がけて作っていました」

 村越さんは、「ルパン三世」の作品の魅力は「ルパン一味の魅力」だと話し、「ルパンと仲間たちのせりふを考えるのがとても楽しかった」と笑顔を見せる。

 「一人一人のキャラクターの個性、配置がこれ以上ないというバランスで成り立っていて、ルパンたちの何気ないやり取りがすごく魅力的だと思うんです。シリアスとユーモアのバランスも絶妙ですし、お互い本音をぶつけないところがありながら、互いに本音が分かっている。大人っぽいというか、おしゃれなやり取りなんですよね。どの世代が見ても面白いと感じるやり取りが、シリーズを通して常にある。それが長年愛される魅力なのではないかと思っています」

 村越さんは、「『ルパン三世』をこれからも愛される作品にしたいという制作陣の思い」を感じたといい、「作り手としてもいろいろなチャレンジができる作品」と魅力を語る。第2クールでは、ルパンの“母”をはじめ、さまざまな「魔性の女性」が登場するという。女性たちの登場によって、ルパンたちの新たな一面も描かれる。今後の展開も見逃せない。

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