オクラ~迷宮入り事件捜査~
第11話 バディ終焉!最後のねつ造
12月17日(火)放送分
「向井理が新境地を開拓している」と視聴者の注目を集めているのは、俳優の向井さんが主演を務めるBSテレ東の連続ドラマ「婚活探偵」(土曜午後9時)だ。サングラスをかけたこわもての愛煙家で、ハードボイルドを気取っているが、実は女性に不慣れで「あぁ、結婚したいなぁ」と時折漏らす。そんな向井さん演じる主人公の探偵・黒崎竜司が、結婚相談所に通い、婚活に励む様子を描いている。「向井さんの新しい代表作になるといいなという思いで作った」という倉地雄大プロデューサーに、愛らしい黒崎ができるまでや、撮影現場での向井さんについて聞いた。
あなたにオススメ
来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹” 朝ドラヒロインまで手が届くか
ドラマは、「雪冤(せつえん)」で第29回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞した大門剛明さんの同名小説(双葉文庫)が原作。向井さんが演じる黒崎竜司は、一見すると容姿端麗でハードボイルドな敏腕探偵だが、実は女性とほとんど付き合ってこなかった。そんな探偵が一転、結婚相談所に通い、婚活アドバイザー・城戸まどか(成海璃子さん)から予想もしないアドバイスを受けて少しずつ自分を変えていき、婚活に挑むというコミカルな役どころだ。
イケメン俳優の向井さんがモテない役を演じるという面白さや、新しい向井さんの姿を見てみたいという思いから企画がスタート。倉地さんは、「原作の黒崎はかなり武骨で、“ザ・モテない”みたいな男。みんなが『絶対にモテる』と思っている向井さんでどうやっていくか。説得力を持たせるためにはどういう塩梅(あんばい)がいいんだろう、というのを一番考えました」と振り返る。
かっこよくて、スタイルもいい向井さんを、あえてかっこ悪くしたり、ダサくしたりするのは、視聴者が見たいものとは違うと考えた。そこで「本人はかっこいいと思ってやっているが、それがずれている」ことを目指すことにしたという。
事件を次々と解決し、探偵仲間の八神旬(前田旺志郎さん)からは「黒さんかっこいい~!」と憧れられている黒崎。一方で、結婚相談所に登録するため、「自分なりに頑張ってみました」と帽子をかぶり、サングラスをかけた写真を用意すると、婚活アドバイザーのまどかからは、「どうみても変な人」とダメ出しをされてしまう。
また、まどかから「笑顔」「相手に合わせる」などのアドバイスをもらい、お見合いデートに挑む場面では、精いっぱいの笑顔を作りながら、「はじめまして。黒崎といいます」とあいさつしたり、ブレンドコーヒーを注文した直後、相手に合わせてミルクティーに変更し、「ちょうどミルクティーが飲みたいと思っていたんです」と話したりする様子が描かれた。SNSでは、「探偵している時と婚活最中の黒崎さんのギャップがとてもいい」「ハードボイルドとデート中とのギャップにキュンキュンする」などの声が上がった。
倉地さんは、「探偵のときにかっこよければかっこいいほど、婚活のときとの振り幅が出るという狙いがあって。監督は『別のドラマに見えるくらい変えたい』とずっと話していました」と明かす。
第1話の見逃し配信では、BSテレ東史上最速での100万回再生を突破。反響の大きさに驚いているといい、「めちゃめちゃありがたいです。地上波ではないBSでどう見てもらえるか苦労しているのですが、『向井さんが可愛い』などいろいろなご連絡をいただいています」と話す。
台本の段階でも黒崎のキャラクターは立っていたが、向井さんの芝居も相まって、黒崎の人間味が出たと感じている。「台本では、女性に対してセリフが詰まってしまう、というところまでは書かれていなくて。向井さんならではの黒崎のしゃべり方が『黒崎っぽい』と思うし、すごく愛らしくなっている」と話す。ちなみに、黒崎がデートで着ているスリーピーススーツは、向井さんからのアイデアだという。
「今までに見たことない向井さんになっている」と手応えを語る倉地さんは、「向井さんは、なんでもできますよね」と魅力を話す。「ど真ん中でキラキラをやることもあったり、年齢とともにそうではない形も出てきたりしていて。そういう意味でいくと、今回みたいな役って見たことがない。誰もが面白いと思えるコメディーを狙っていましたけど、それをはるかに超える芝居、お上手さがあって。本当に幅が広い、手数が広い役者さん」と続ける。
クランクアップの際には、あるサプライズがあったという。通常は、番組側からキャストに花束を渡すことが多いが、今回は向井さんから全スタッフにバラの花1本が贈られた。「『いつももらってばっかりだから』と言われていて。キュンとしました(笑い)」とチャーミングなエピソードも明かしてくれた。
「婚活探偵」は本日の放送でついに最終回。早くもシリーズ化を願う声も上がっているが、「みなさんの声次第で実現するかも」と含みを持たせた倉地さん。「黒崎が自分の思いに気づいて、彼なりにひとつの答えを出そうとします。応援したくなるような最終話になっていると思うので、楽しみにしてもらえたら」と呼びかけた。