北乃きい:「生まれてから一回も後悔したことがない」 常に自身で決断してきた“今まで”と“これから”語る

連続ドラマ「おじさんが私の恋を応援しています(脳内)」(TOKYO MX)で主演を務める北乃きいさん スタイリスト:和田ケイコ ヘアメーク:YUKO FUJIWARA(Y’s C)
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連続ドラマ「おじさんが私の恋を応援しています(脳内)」(TOKYO MX)で主演を務める北乃きいさん スタイリスト:和田ケイコ ヘアメーク:YUKO FUJIWARA(Y’s C)

 女優の北乃きいさんが主演を務める連続ドラマ「おじさんが私の恋を応援しています(脳内)」(おじ恋)が、TOKYO MXで2月14日から毎週月曜午後10時に放送される。同局の月曜午後10時のドラマ枠「ドラマニア!」の第3弾で、井野ジュンさんの同名人気マンガが原作。おじさんと“脳内同居生活”を送ることになる主人公の宮下まつりを演じる北乃さんに、役作りやおじさんの憑依(ひょうい)シーンで意識したこと、20代を振り返っての思いや30代をどう過ごしていきたいかなどを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇ゼロから取り組んだ役作り

 ドラマは、憧れの取引先の“王子”と呼ばれるイケメン営業マン・樹に恋心を寄せている経理部の宮下まつりに、ひょんなことから“営業一筋30年・家族思いのサラリーマン”のおじさん・誠一郎の意識が飛び込んできてしまう。おじさんとの“脳内同居生活”を送ることになったまつりが困惑する一方、おじさんは脳内から彼女の仕事や恋愛にエールを送るのだが……というストーリー。

 北乃さんが演じるまつりは、引っ込み思案で自分の意見をはっきり言えないタイプの女性。第一印象で「とにかく可愛いキャラクター」と感じた北乃さんは、「可愛く見えなきゃダメだと思い、可愛くてひたむきで素直、ピュアな女の子ということを大切に演じました」と役作りのスタンスを語る。

 自身との共通点を聞くと、「ここまで共通点がないのは珍しいかもしれません。私は、言いたいことは時と場合によって言っちゃいます(笑い)」と分析。「今回の場合は、ゼロから作った感覚です。言いたいことを言えず詰まってしまう気持ちは、原作を見て、その都度確認しました」と丁寧に役作りに取り組んだ。

 そして、「私だったらしないことや、言わないってことをやると、まつりになる。今回は自分の基準を別角度で考える」というアイデアにたどり着き、「今までは自分にある引き出しからやることが多かったので、新しい挑戦でした」と手応えを口にする。

 アキラ100%さん演じるおじさん・誠一郎が憑依したシーンの撮影では、「まつりとおじさんの“差”をどれだけつけられるか。見ている人が『今どっち?』ってならないように」と考え、“おじさん感”を出すため、「声のトーンを二つ三つ下げたり、原作を参考にアキラさんと共通のクセを作ったり、(アキラさんと)いろいろ話し合ってやりました。逆にまつりは3トーンぐらい声を上げましたね」と試行錯誤したことを明かす。

 さらに、「(男性口調で)『おいっ!』と言ったすぐ後に(女性口調で)『これは違うんです!』と素早く言う必要があり、その速さに声帯が間に合わないのではと感じたこともありました」と作風ならではの苦労を口にし、「もう少しすんなりいくかなと思っていましたが、一人二役のドラマがこんなに大変だとは思わなかった」と苦笑い。

 撮影が進行していく中で、「(おじさんが憑依するシーンは)相手の芝居次第というよりは、まつりとおじさんの変化をつけるのは自分との闘いであり、瞬発力が試されるところ」と感じ、「勉強になりました」と新たなチャレンジができたことを喜ぶ。

 ◇グリーンバック撮影では自身の役者観を再確認

 脳内会話のシーンではCGも活用されて撮影されたが、北乃さんは「グリーンバックの撮影は想像しながらの部分も大きく、グリーンバックでのお芝居は役者の力が試される」と再確認したという。

 その理由を、「ワークショップや海外のオーディションでは、何もないところで急にいろいろやらなければなりません」と切り出し、「実際『家に帰ってきたところを演じて』と言われてやった時は、何もない状態でドアを開けたり犬に触ったり上着をかけたりといったことを、『よーい、はい』の合図と共に部屋の間取りまでも想像しないといけない。それでテクニックが磨かれる」と説明する。

 そうした経験を思い返し「その時は全然だめでしたが、今回のようにグリーンバックでの撮影をやるたびに、『こういうことか』と思います。自分の中で見えていなければならない。それがお芝居だなって思うから、まだまだです」と神妙な表情で語る。

 ◇20代の10年間は「後悔はしていない」

 そんな北乃さんも昨年30歳に。自身は「年齢はただの数字だと思っているから、あまり気にしません」と口にするも、「13歳から活動しているので、ほかの人たちより年齢のことは言われますね」と苦笑い。

 20代の10年間を振り返ってもらうと、「10代もいろんなことをやっていましたね」と客観的な表現で切り出し、「グラビアを20歳で卒業し、その自分にとって空いた“場所”のようなところで今度はMCの仕事をさせてもらったり、留学に行ったり、本当にいろんなことを経験しました」としみじみ。

 懐かしむような遠い目で語った後、「20代の10年間すべて、後悔はしていないですね」と力強く言い、「生まれてから一回も後悔したことがなく、それは自分で全部決めさせてもらってきた人生だったから」という。

 続けて、「仕事もプライベートも全部自分でセレクトしてきましたし、それをよしとしてくれる環境を、親にも会社にも友達にも作ってもらっていたのだなと思います。それができない環境にいたら、もしかしたら後悔しているかもなって」と感謝する。

 ◇「スキルアップしていきたい」30代 異業種との出会いを熱望

 では30代はどのように過ごしていきたいのだろうか。

 「コロナ禍なので難しいですが、いろんな人にもっと出会いたい。お酒を飲み始めたり、縁を大切にしようと思ったりしたのが27歳と遅くて(苦笑い)」と口火を切った北乃さんは、「“誘われたら断らない”という行動をしようと思ったらコロナ禍に……。落ち着き次第やってみようかな。誘われたらどんどん行きたいですね」と目を輝かせる。

 そう考える背景を「人生経験を学ぶには、いろんな業界の人と話した方が経験値は上がるらしいと聞きました。30代はスキルアップしていきたいので、そこに重点を置いていきたい」と説明。「作品に入ったら、ちょっとでもいいから必ず何かを得て何かをアウトプットできる、スキルアップにつなげる、成長につなげる姿勢で仕事をしていく」と自身の方法論を語る。

 さらに、「今までは与えられたことを100%、200%でやるのが精いっぱいで、いつもインプットで終わっていた気がします。だから次につなげられるようアウトプットをできるようにしていきたい」と決意を口にする。

 最後に、ドラマの注目ポイントを聞くと、「胸キュンできるし、笑ってジーンとできるドラマ。前向きになれるようなメッセージ性の強いおじさんのせりふは、親にどれだけ言われても伝わらない言葉もドラマの中で聞くと響く……って、自分の役ではありませんけど(笑い)。芝居中に自分が言われていて感じました。悩んでいる方や一歩前に踏み出せない方の背中をちょっと押せる作品かなと思います」と語っていた。

 連続ドラマ「おじさんが私の恋を応援しています(脳内)」は、TOKYO MX1で毎週月曜午後10時~10時半放送。スマートフォン向けアプリ・ウェブサービス「エムキャス」でも無料同時配信を行うほか、見逃し配信サービス「TVer(ティーバー)」でも1週間見逃し配信する。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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