柳俊太郎:同い年のメンノン仲間、“対極”だった坂口健太郎と語り合った20代 「何事もしっかりやる」美学に目覚め

「WOWOWオリジナルドラマ ヒル」に出演する柳俊太郎さん
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「WOWOWオリジナルドラマ ヒル」に出演する柳俊太郎さん

 赤楚衛二さんと坂口健太郎さん主演で、3月4日にWOWOWでスタートする連続ドラマ「WOWOWオリジナルドラマ ヒル」(金曜午後11時)に出演する柳俊太郎さん。 坂口さんとは同い年で、共に男性ファッション誌「MEN’S NON-NO(メンズノンノ)」(集英社)の元専属モデル。駆け出しのころから切磋琢磨(せっさたくま)してきた。柳さんは、坂口さんについて「常にメインストリームにいた存在」といい、自分とは“対極”だと思ってきたという。現在30歳という節目の年齢の柳さんに、「めちゃくちゃだった」という20代や、これからの目標などを聞いた。

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 ◇世間を騒がせた“少年A”役 「これはやりがいがあるな」

 ドラマは、今井大輔さんのマンガ「ヒル」「ヒル・ツー」(新潮社バンチコミックス)が原作で、他人に寄生する不法滞在者“ヒル”の運命と、格差社会の闇を描く社会派復讐(ふくしゅう)サスペンスだ。2シーズンで構成され、シーズン1の主演を赤楚さん、シーズン2の主演を坂口さんが務める。赤楚さんは、ヒルになりすましをされ、殺人未遂罪で警察に追われるユウキ、坂口さんは、伝説のヒル・カラ、柳さんはユウキになりすますヒル・ヨビを演じる。

 柳さんは原作の印象について、「いろいろな環境で育ってきた人間の、いろいろな感情が混ざり合っていく姿が描かれていて、登場するキャラクターが本当に豊かだなと思いました。スリラー要素もあるエンターテインメント作品でありながらテーマは結構残酷で、社会派な作品だと感じました」と振り返る。

 撮影現場では「“攻めた空気”みたいなものをすごく感じた」といい、「残酷なシーンは、かなり残酷に描かれていて、それはWOWOWさんならではの面白いところだなとも感じました」と明かす。

 演じるヨビは、かつて両親を殺して世間を騒がせた“少年A”で、カラに救われてヒルになった過去を持つ。暇潰しのためにヒルを玩具のように扱って遊んでいる人物だ。

 ヨビ役について「これはやりがいがあるなと思いました。結構今までも悪役を演じてきましたが、ここまでヘビーな役はなかなかなかったので。ちゃんとヨビのバックボーンも描かれている作品だったので、ワクワクしました」と語る。

 自身とヨビは「育った環境は全然違う」としつつも、「『こういうことをされたらつらいだろうな』とか、僕でも単純に分かることはありました。実際に行動に移す、移さないは別として、どこか理解できる部分もありました。つらいからといって、そうはいかないだろうと思うこともあるのですが、やはり理解しないといけない部分が、ポイント、ポイントでいっぱい出てくるので、ヨビという人間をしっかり理解しようと努めました」と語る。

 ◇モデル出身「お邪魔している感覚がどこかにあった」 美学に変化も

 柳さんは1991年5月16日生まれの30歳。2009年にMEN’S NON-NOモデルオーディションでグランプリを受賞し、モデルデビュー。2012年には今泉力哉監督の映画「ヴァージン」で俳優デビューを果たし、近年は映画「弱虫ペダル」(三木康一郎監督、2020年)、「るろうに剣心 最終章 The Final」(大友啓史監督、2021年)、Netflixオリジナルシリーズ「今際(いまわ)の国のアリス」などの数々の話題作に出演して、爪痕を残してきた。

 20代について「楽しかった」「最高だった」としつつも、「めちゃくちゃでしたね(笑い)」と振り返る柳さん。「楽しいことをずっと求めていました。つらい思い、つらい記憶ってあまりないんです。多分、もっと頑張るべきだったし、つらい思いをした方が良かったのかもしれません。結構楽観的な性格で、それが“甘え”にもつながっていて。だからこそ、これからはちゃんと大人として、役者として、プロとして、いろいろなことに向き合わないといけないなと感じています」と意気込む。

 続けて「モデルから入ったので、やっぱりカッコ良さに対してはストイックだったりします。最近は“カッコイイ”に対する自分の美学が変わってきて、役者として生きていく上で、『何事もしっかりやる』方がカッコイイなと思いますし、一つ上の段階に行けるんだろうなっていう意識もあるので」と説明する。

 これまでにやりがいを感じた作品を聞くと、「今際の国のアリス」「るろうに剣心 最終章 The Final」などを挙げる。「アクションをみんなで2、3カ月練習して、『よし、行くぞ!』みたいな感じで現場に乗り込んだのですが、チーム感というか、ちゃんと一員になれている感じを分かりやすく体感することができて、すごく楽しかったです。そういう意味では、自分を支えてくれた作品ではありますね」としみじみ語る。

 一方、モデル出身ということもあって、芝居の世界では「ずっとお邪魔している感覚がどこかにあった」と告白する柳さん。「『モデルでしょ?』みたいな見られ方って、やっぱりするんですよね。それがコンプレックスでもありましたが、でも別にそれって恥じることではないよなとも思ったし、(モデルであることに対して)自分のプライドもありました」と力強く話す。

 ◇「俺らが引っ張っていこうぜ!」 坂口健太郎と語り合った20代 

 「WOWOWオリジナルドラマ ヒル」で共演する坂口さんは、MEN’S NON-NOモデル時代からの、いわば“戦友”。柳さんは「僕たちは同世代で、同じ雑誌で、同じくらいにモデルを始めて、自分らが言うのは気が引けますけど、昔は『俺らが引っ張っていこうぜ!』とよく話し合っていました」と熱い思い出を振り返る。

 「僕がMEN’S NON-NOのモデルになったころは、(第一線で活躍する)モデルはハーフの方が主流だった時代だったんです、ギリギリ。東出昌大君とかもいましたが、僕がモデルの世界に入ったころには、東出君はMEN’S NON-NOを卒業していて、周りはハーフの方ばかりでした。僕がモデルとしてデビューして、それからハーフではない日本人のモデルが結構出てくるようになって。健太郎は僕がデビューした翌年に出てきました」

 「当時は、これからMEN’S NON-NOはどうなっていくんだろうということを考えさせられる、(時代の)変わり目でした。ハーフの方が生み出すカッコイイもの、外国人の方が生み出すカッコイイもの、日本人が服を着て生み出せるものって、やっぱり全然違う。これからどうなるんだっていうときに、健太郎とよく2人で話し合いましたね」

 そんな坂口さんと自身は、「キャラクター的にも“対極”だった」と語る柳さん。「僕も役者をやり始めましたが、健太郎は“メインストリーム”でしっかり結果を残していて。健太郎がメインストリームでめちゃくちゃ活躍しているのを見て、すごいなと思いました。だから『俺はアングラで頑張っていくぜ』みたいな変なプライドもありました」と振り返る。

 続けて「だから、僕も最近、多くの方に知っていただける作品に出られるようになってきて、健太郎がこれまでどれだけ大変だったかとか、めちゃくちゃ頑張ってそこまでいったんだろうなということを、より感じるようになりました。健太郎は普通に役者としてすごいなって改めて思います」と話す。

 最後に今後の目標について聞くと、「目の前の作品をコツコツやるしかない。今まで10年近くやってきた役者人生の中で、ある程度作られてきたキャラクターとかもあって、それを捨てるつもりはありませんが、常に“新しい自分”を発見していきたいです」と目を輝かせた。

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