つるの剛士:「ウルトラマンダイナ」25周年 アスカと一心同体 ダイナは「神様みたいな存在」

「ウルトマンダイナ」でアスカ・シン/ウルトラマンダイナを演じた演じたつるの剛士さん
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「ウルトマンダイナ」でアスカ・シン/ウルトラマンダイナを演じた演じたつるの剛士さん

 放送25周年を迎えた特撮ドラマ「ウルトラマンダイナ」が、動画サービス「TSUBURAYA IMAGINATION」で独占配信されている。1997~98年に放送された同作が配信されるのは、初めて。アスカ・シン/ウルトラマンダイナを演じたつるの剛士さんに同作への思いを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇アスカと“一心同体”「区切りがない」

 「ウルトラマンダイナ」は、平成ウルトラマンシリーズの第2弾で、前作「ウルトラマンティガ」の最終回から7年後が舞台。地球平和連合TPCの特別捜査チーム・スーパーGUTSのアスカ・シンがウルトラマンダイナに変身し、人類の危機に立ち向かう姿が描かれた。
 放送から25年たち、46歳のつるのさんは、アスカを演じてからの人生の方が長くなった。「一心同体なので、あまり自分がウルトラマンだとかウルトラマンじゃないということすらもはやなくて、(役との)区切りがない」と語る。

 「『ウルトラマンダイナ』はドキュメンタリーだと思っています。ダイナの1年間は“アスカの成長記”でしたが、終わった後のアスカも作品。ダイナを応援し続けてくださっている皆さんは、今も僕のことを『アスカ』と言ってくれます。僕自身も“つるのとアスカ”の隔たりはないし、アスカを生かすも殺すも自分次第。(ファンの)皆さんも僕とアスカを分けていないと思う」

 役のイメージが定着することへの怖さはないのだろうか?

 「僕自身があまり俳優にこだわっていないですし、今でもそうですけど、肩書不明なんです。歌も歌うし、俳優もバラエティーも求められればやります。できることを全部やりたい」

 ◇ダイナは1年間を通した“成長記” 監督の言葉に“答え”と納得

 自身の演技を振り返ってもらうと「ひどいですよ(笑い)。聞かないでください」と苦笑する。

 「『ダイナ』は、芸能界に入って間もない“僕の成長記”。1年間で如実に分かりやすく成長していますよね。自分の心持ち、マインドもそうだけど。リョウ隊員(斉藤りささん)がいて僕は訓練生でというのは、心の中も含めてアスカのままだった。『なんでこんなところにいるのだろう』って(笑い)」

 撮影当時、スタッフから「この作品は地球の裏側まで残る。永遠に。それを意識して」と言われたことが印象に残っているという。

 「何を言っているんだ?と思っていましたが本当に残る。なんであんな朝まで飲んで“裏スーパーGUTS”やっていたのかな(苦笑)。そこでの結束感は財産ではありますけど。もっとできたなとかは思いますね。スタッフさんの苦労が分かってきたり、現場の大変さや関わる人たちの背景が分かってきたりした。芸能界に入ってきた若造の成長記でもあるし、スーパーGUTSに入ってきた若造の成長記でもある。恥ずかしくなる時もありますけど、(アスカが)当時の僕のままだったと思うと、あの1年はいろんな意味で成長記だなと思います。(当時)小中(和哉)監督に最後、『本当にアスカ、変わったね』と言われました。それが“答え”だと思います」

 約1年間の撮影は大きな経験になった。

 「撮影を通して1年間を振り返ることができる。例えば3カ月だと、そういうことも感じられないままに終わっちゃう可能性も。後輩の子から『1年間はうらやましい』と言われることもありますが、本当にその通り」

 ◇25年たっても変わらないマインド 自分がアスカという責任感

 「25年の変化」を聞くと「見た目が一番キツいかな」とにやり。「結婚したとか子供を育てているとかはありますが、マインドや中身は当時からあまり何も変わっていない」という。

 テレビシリーズ終了後も「ウルトラマンサーガ」「ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA」などにアスカ役で出演しており「そのたびにアスカはどんどん成長している」と感じているという。アスカと共に歩み、成長している。

 「監督や脚本家の方と話しながら、『今のアスカだったらこうだと思いますよ』ということは僕の中にもある。それはつまり僕なのですが、僕自身が今だったらそれは言わないとか、自分自身がアスカという責任感はずっとあり、今でもそう」

 ダイナ以降も多くの“後輩”ウルトラマンが誕生している。

 「たけしマン(高山我夢/ウルトラマンガイア役の吉岡毅志さん)とか(春野ムサシ/ウルトラマンコスモスの杉浦)太陽はよく連絡をくれる。後輩ができるたびに電話がかかってきて、『ウルトラマン○○の○○です。よろしくお願いします』とあいさつしてくれますが、田舎のじいちゃんかって(笑い)。気づいたら、たくさん後輩ができているから変な感じですよね」

 「ウルトラマン」シリーズには、50年以上の歴史がある

 「ちょうど間の感じがしていて、そこの懸け橋じゃないけど、例えば(モロボシ・ダン/ウルトラセブンの)森次晃嗣さんの誕生日にはメッセージを送らせてもらいました。プライベートでも会う人も多く、結束は固いですよね」

 ◇幼稚園教諭の実習現場でダイナファンと遭遇

 アスカは父親の面影を追うようなところもあるが、つるのさん自身が父になったことで何か変化はあったのだろうか?

 「僕自身、作品が終わった後に父が他界して、アスカと同じ境遇になったというか。僕自身も父をいまだに追いかけている部分はありますね。自分の子供には、ウルトラマン関係にちょっとでも絡んでほしいと思い、ウルトラマンをにおわせるような、それっぽい名前をつけました」

 つるのさんは幼稚園教諭二種免許を取得したことも話題だ。実習中の出来事を「ウルトラマンが好きで、目がウルトラマン一色の子がいて。なかでもウルトラマン大好きな子たちは毎日アスカに手紙を書いてきてくれていました」と話し、顔をほころばせる。

 実習生にリアルタイムで「ウルトラマンダイナ」を見ていた男性がいたといい、「ダイナの大ファンで泣いていました。幼稚園の先生たちからは、『これから実習、大丈夫?』『つるのさんと一緒にいるの大丈夫?』と言われていました」と振り返る。

 ◇やっぱりダイナがカッコいい 神様みたいな存在

 つるのさんが子供の頃、リアルタイムで見ていたのは「ウルトラマン80」で、再放送で「ウルトラマンタロウ」「ウルトラセブン」なども見ていた。改めて「ウルトラマン」の魅力を聞いてみた。

 「ソロ感と巨大感。『仮面ライダー』『スーパー戦隊』も好きだけど、子供心にやっぱり(ウルトラマンの)巨大感とソロ感がカッコいい。たまに負けそうになったりする時にゾワゾワするというか。(ウルトラマンの活動)時間が限られているのもあるし、負けたらどうなるんだろう?という変なワクワク感もあった」

 「ウルトラマンダイナ」の魅力を「最終回がああいう形だったこと」と話す。

 「いろいろな作品にアスカが出てくる意味みたいなこと。アスカと父・カズマの関係性というストーリーを見ていただけると、どうしてアスカがいろんな作品に出てくるのかが分かってもらえると思う」

 ダイナは自分にとって「神様みたいな存在」になっている。

 「ウルトラマン中で一番イケメンだと思っていて、新シリーズのたびに期待はしますが、やっぱりダイナがカッコいい(笑い)。手前みそで申し訳ないけど」

 これから「ウルトラマンダイナ」を見る人に向けて「その後の作品でダイナやアスカが出てきて認知してくださっている方も多いと思いますが、ストーリー全体通して見てもらうことで、『ダイナはこれがあるから今もこうやって作品に登場するんだ』『アスカってこんな感じだったんだ』とか成長記だったことを知っていただけたら。それはアスカのスタートでもあるし、つるののスタートでもある。そこを見ていただきたいというのは、恥ずかしながらもあります。もちろん今の小さい子たちに見てほしいですね」と語るつるのさん。

 約25年たったから分かることもある。アスカ、つるのさんの“成長記”をぜひ見てほしい。

 「ウルトラマンダイナ」は、「TSUBURAYA IMAGINATION」のスタンダードプランで、毎週月曜日に4話ずつ更新、プレミアムプランでは、全51話が一挙配信されている。(遠藤政樹/フリーライター)

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