名塚佳織:「ONE PIECE FILM RED」 シャンクスの優しさを感じながら 娘・ウタを熱演

「ONE PIECE FILM RED」でウタを演じる名塚佳織さん
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「ONE PIECE FILM RED」でウタを演じる名塚佳織さん

 尾田栄一郎さんの人気マンガ「ONE PIECE(ワンピース)」の新作劇場版アニメ「ONE PIECE FILM RED」(谷口悟朗監督)が8月6日に公開される。タイトルの「RED」の通り、人気キャラクターの赤髪のシャンクスにスポットを当て、オリジナルキャラクターとしてシャンクスの娘・ウタが登場する。シャンクスに娘がいたのか!?と衝撃を受けたファンも多いはず。ウタ役として声優の名塚佳織さんと歌手のAdoさんがダブルキャストを務め、名塚さんがウタのせりふ、Adoさんがウタの歌唱パートを担当することも話題になっている。「シャンクスの娘!?」と衝撃を受けたという名塚さんに、「ONE PIECE」、ウタへの思いを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇大役にプレッシャー やり遂げなきゃ!

 「ONE PIECE」は、手足などがゴムのように伸びる麦わら帽子の青年・ルフィが、海賊王を目指して仲間と共に大海原を冒険する姿を描くマンガ。1997年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まり、2021年1月には1000話に到達。今年7月で連載25周年を迎え、全世界のコミックスの累計発行部数は4億9000万部以上を誇る。テレビアニメは、1999年10月にスタートし、2021年11月には第1000話に到達した。

 シャンクスは、赤髪海賊団の大頭で、ルフィにとって憧れの人。人気キャラクターだが、謎も多く、娘がいたことに衝撃を受けたファンも多かったはず。これまでシャンクスに娘がいることは明かされていなかったからだ。名塚さんは大役を任され、プレッシャーを感じたという。

 「電話でオーディション合格の連絡をいただきまして、最初は信じられなくて、そっけない感じで『あ、はい……。ありがとうございます……』と返事をしてしまいました。実感が湧かなかったんです。電話を切った後に『あれ、ONE PIECE って言っていたよね?』みたいになって(笑い)。打ち合わせ、収録のスケジュールが決まっていき、徐々に本当に私なんだ……と自覚しました。収録の日に向かってプレッシャーを感じながら、同時にうれしさもあり、何としてもしっかりやり遂げなきゃいけない!と気合を入れていました」」

 ウタは、世界中が熱狂する歌姫だ。ルフィとは幼なじみのようだが、詳細は明かされていない。

 「オーディション段階では全ての資料をいただいていたわけではなかったので、分からないことも多かったのですが、収録前に谷口監督との打ち合わせの時間をいただき、説明していただきました。打ち合わせをする前に、尾田先生が描いたウタの幼少期の設定資料もいただいたんです。マンガのような資料で、ルフィとの出会い、どういうふうに生活していたかというバックグラウンドが描かれていて、イメージがすぐに伝わってきました。資料を見て、手が震えました。すごいことですよね。こんな形で資料をいただいたことは初めてですし、驚きました。本当にすてきなことです」

 名塚さんが演じるウタは、強さ、威厳も感じるが、弱さも垣間見える。バランスが絶妙だ。

 「彼女は、とても心が優しいんですよね。素直すぎて、ちょっと言葉が強くなることもあるのですが、本当はすごく優しいんです。少女の部分がまだ残っていて、頑張ろうとしている。その姿がもどかしいけど、いとおしいです」

 ◇“シャンクス”池田秀一の優しさ
 
 シャンクス役の池田秀一さん、ルフィ役の田中真弓さんと一緒に収録した。共演する中で刺激を受けた。

 「幸せな時間でした。シャンクスはとにかく優しくて、言葉の一つ一つに温かみがあり、すごみ、深みもあって、全てを包み込むような雰囲気があります。池田さんご本人からも優しいオーラが出ていますよね。時間がゆったり流れているというか、そういう雰囲気がすてきなんです。コロナ禍では、大勢で収録できない中で、改めて一緒に収録できる喜びを感じていました」」

 ルフィとの掛け合いも見どころの一つだ。

 「楽しかったです! ルフィは真っすぐ直球でぶつかってくるキャラクターで、ウタも直球でぶつけるので、(田中さんと)一緒に収録できて、うれしかったです。二人共、真っすぐですが、少し違う方向を向いているところもあって、田中さんと一緒に収録できたからこそ生まれたテンポ感もありました。谷口監督が『お芝居の間で好きなようにやっていい』とおっしゃってくださったので、尺を意識し過ぎずに演じることができました」

 谷口監督は「コードギアス」シリーズなどで知られる人気クリエーター。実は「ONE PIECE」の監督を務めるのは初めてではない。1998年に開催されたイベント「ジャンプ・スーパー・アニメツアー’98」で上映された「ONE PIECE」の初のアニメ「ONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック」で監督デビューし、約24年ぶりに「ONE PIECE」の監督を務めることになった。「コードギアス」シリーズなどにも出演してきた名塚さんは、谷口監督について「発想がすごいんです!」と語る。

 「頭の中をのぞいてみたくなります(笑い)。ご自身がイメージしているものがあるけど、新しいものをすぐに取り入れてくださるんです。役者の私たちがうまくいかない時、すぐに察知していただけることもあります。頭の回転がものすごく速くて、瞬時に判断してくださるので、迷わずに収録に臨めるんです。谷口さんとの収録はいつも楽しいですね」

 名塚さんは過去にも「ONE PIECE」に出演経験がある。「ONE PIECE」は世界中で愛されているが、その魅力をどのように感じているのだろうか?

 「どのキャラクターも信念を持っていて、大事な仲間を助ける友情の熱さもあって、そこがすてきだと感じています。それぞれが悔しい経験をしているのも心に響きます。大きな壁にぶつかり、乗り越えることが困難でも、自分自身で乗り越えようとするし、仲間が必死に助けてくれるんですよね。頑張る人を周りがバックアップしてくれる。そんな温かさを感じています」

 新作劇場版は「ONE PIECE」の魅力が凝縮されている。

 「家族だからといって、全てを分かり合えるわけではなく、言葉で伝える大切さも感じました。この作品が皆さんに何かを残せる作品になることを願っています」

 「ONE PIECE FILM RED」は家族、友情などの大切さを改めて考えられる作品に仕上がっている。名塚さんら声優陣が込めた熱い思いを感じてほしい。

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