プレーンヨーグルトの普及に貢献した技術「脱酸素低温発酵法」が「令和5年度全国発明表彰」で発明賞を受賞

表彰式写真
1 / 1
表彰式写真

プレスリリース詳細 https://kyodonewsprwire.jp/release/202306136324

あなたにオススメ

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。詳細は上記URLを参照下さい。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

50周年を迎える「明治ブルガリアヨーグルト」ブランドなどに使用し、健康ニーズに応えた商品展開にも貢献

 株式会社 明治(代表取締役社長:松田 克也)は、乳酸菌を添加する前の乳原料について、酸素を抜いた状態で低温発酵させる「脱酸素低温発酵法」を発明し、この発明が公益社団法人 発明協会(会長:内山田 竹志)が実施する「令和5年度全国発明表彰」において、「発明賞」を受賞しました。

 この発明について、ブルガリアの伝統的なプレーンヨーグルトのまろやかな味わいを広く一般に普及させることに貢献したこと、および低脂肪ヨーグルトにも濃厚感を実現し、お客さまの健康的でおいしいものを食べたいというニーズに応えた、低脂肪・無脂肪のヨーグルト商品を提供していることが高く評価され受賞にいたりました。なお、エレクトロニクス・IT関連の発明が多数を占める中、食品に関わる発明の受賞はきわめて珍しく、当社が全国発明表彰を受賞することは初めてとなります。

 また、本発明は、今年50周年を迎える「明治ブルガリアヨーグルト」ブランドの「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン」や「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン脂肪0」などに使用されています。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202306136324-O15-5ap1Gxs4

■受賞発明

発明名称:ヨーグルトの脱酸素低温発酵法

対象特許:特許第3666871号

■受賞者

株式会社 明治 研究本部 技術研究所 次世代ものづくり研究部 エキスパート 堀内 啓史

           商品開発研究所 発酵開発研究部 井上 暢子

元 明治乳業株式会社 折居 直樹

■脱酸素低温発酵法とは

 脱酸素低温発酵法とは乳酸菌を添加する前の乳原料を、酸素を抜いた状態で低温発酵させる方法です。

ヨーグルトは、乳原料を43℃程度の温度で発酵することにより作られますが、素焼きの壺で作られるブルガリアの伝統的なプレーンヨーグルトは、気化熱により温度が低下し、38℃程度での発酵(低温発酵)となります。こうして作られた伝統的なヨーグルトはなめらかでコクがありおいしいのですが、カード※1の形成が不十分で軟弱なため、輸送時の振動などによりカードが崩れてしまい、工業的に大量生産することが困難でした。

「明治ブルガリアヨーグルト」は、ブルガリア菌とサーモフィラス菌という2種の乳酸菌がお互いの生育を促進する共生作用という現象を利用し乳原料を発酵して製造しています。当社は、この共生作用に酸素が大きく関与し、乳原料に含まれる酸素を乳酸菌が消費して、酸素濃度がほぼ0ppmになることで共生作用が起こることを見いだしました。この性質に着目して開発したのが脱酸素低温発酵法です。酸素を抜くことにより、早期に共生作用が起こって発酵が促進し、低温発酵にもかかわらず輸送時にも崩れないしっかりしたカードが形成されます。本発明により、本場ブルガリアの伝統的なプレーンヨーグルトのおいしさを持つヨーグルトを工業的に大量生産することが可能となりました。

 ブルガリア菌とサーモフィラス菌は酸素の有無に関係なく発酵が進行する通性嫌気性菌のため、酸素濃度をコントロールしなくても製造できることから、「酸素の存在」は注目されていませんでした。しかし、「通性嫌気性菌を酸素のない条件下で発酵させたら・・」という発想の転換が、独自の発酵技術「脱酸素低温発酵法」を生むきっかけとなりました。

※1カード:牛乳中のカゼインと呼ばれるたんぱく質が乳酸菌の生成した乳酸により凝固したものです。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202306136324-O4-eC0b4z5r

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202306136324-O12-xi5F7K2K

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202306136324-O13-18k0zJ4l

■ プレーンヨーグルトの常識を打破した発明

~同じ乳酸菌を使いながら風味や物性を変化させる、プレーンヨーグルトの商品展開にも貢献~

 プレーンヨーグルトは、太古の昔に偶発的に誕生したとされるヨーグルトの原型であり、シンプルな製造工程に加えて、原材料も甘味料、香料、安定剤などを使用せず、乳原料のみで製造されています。そのため、乳酸菌を変える以外に、その風味や物性を変化させることは難しいと考えられていました。しかし、本発明により、同じ乳酸菌を使いながらも、まろやかでコクがあり酸味をやわらげる風味を実現しました。

 また、当発明を低脂肪製品にも展開したことで、低脂肪ヨーグルトに求められる濃厚感を感じられる風味を実現しています。

■プレーンヨーグルト市場への寄与

 お客さまの健康志向の高まりを受けて、プレーンヨーグルトの市場はここ20年、堅調に拡大しています。2004年に本発明を適用したヨーグルトを発売して以降、ラインアップを拡大させてきました。なお、明治のプレーンヨーグルトには、全て本発明が適用されています。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202306136324-O14-6y9l7683

特許技術を活用した商品例

■プレーンヨーグルトのおいしさを追及し続け、さらに新製法「くちどけ芳醇発酵」も開発

 2023年3月より、新たな製法「くちどけ芳醇発酵」を開発し、「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン」などに採用しています。当製法は、発酵前の乳原料に対して、乳たんぱく質を繊細な構造にする「超高温殺菌」と脂肪球を意図的に通常よりも小さくする「脂肪微細化」を組み合わせた製法です。「超高温殺菌」技術により、プレーンヨーグルトのなめらかさが向上することは以前より確認していましたが、それだけではヨーグルトが柔らかくなりすぎるため、ヨーグルト製造には適さないとされてきました。しかし、二つの技術を組み合わせることで、微粒子化した乳脂肪球が乳たんぱく質の構造を補強し、十分なかたさを維持しつつ、食感の濃厚感を増すことを実現しました。

 今後もヨーグルトに関する研究を続け、さらなるおいしさを追求するとともにお客さまの健康な毎日に

貢献する商品を提供してまいります。

【全国発明表彰とは】

 大正8年に開始された全国発明表彰は、科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に始まり、科学技術的に秀でた進歩性を有し、かつ顕著な実施効果を挙げている発明、考案又は意匠を生み出した技術者・研究開発者を顕彰するものです。公益社団法人 発明協会が表彰しています。

共同通信PRワイヤー 最新記事