ORANGE RANGE:「NARUTO」ED 「ビバ★ロック」から20年 当時を回想

「ORANGE RANGE」のRYOさん
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「ORANGE RANGE」のRYOさん

 岸本斉史さんの人気マンガが原作のアニメ「NARUTO-ナルト-」の放送開始から20周年を記念した音楽イベント「アニメ『NARUTO-ナルト-』20周年記念 NARUTO THE LIVE」が9月2、3日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催される。アニメの主題歌を担当してきたアーティストが集結するイベントで、バンド「ORANGE RANGE」が「NARUTO」の音楽イベントに初めて登場することが話題になっている。「ORANGE RANGE」が同作のエンディングテーマ(ED)「ビバ★ロック」を担当したのは2003年で、約20年前だ。ボーカル、MCを務めるメンバーのRYOさんに当時を振り返ってもらった。

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 ◇「NARUTO」の懐の深さ

 「NARUTO」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1999~2014年に連載されたマンガ。コミックスの全世界シリーズ累計発行部数は2億5000万部以上を誇る超人気作だ。2002年にテレビアニメが放送をスタートした。

 「子供の頃から『ジャンプ』を読んでいます」というRYOさん。「今は電子版ですね。さっきも移動中に『呪術廻戦』を読んでいました。『スラムダンク』『ONE PIECE』……といろいろ好きな作品がありますし、『ジャンプ』は常に注目の作品があるところがすごい」と話す。

 「NARUTO」には「少年マンガの王道」というイメージを持っていたという。

 「カカシ先生が好きです。色気があるんですよね。『呪術廻戦』だったら五条先生のような。『NARUTO』の最終回もすごく印象に残っています。すごいストレートを投げてきたような、これ以上ない終わり方で、少年マンガはこうあってほしい!となるような最終回でした」

 ジャンプ作品が大好きなRYOさんだが、「NARUTO」のEDを手掛けることになった際、作品のことを意識しすぎずに楽曲を制作したという。「『ビバ★ロック』に限らず、そうなのですが、多少は作品のことを考えますが、思いっきり作品に振ることはありません。ライブでやることを強く意識しています」と明かす。

 「NARUTO」を強く意識していたわけではないが、「ビバ★ロック」は作品のイメージにマッチしている。

 「やっぱりアニメの力だと思います。曲に寄せてくれているんです。僕らの曲以外もそうですよね。いろいろな曲があって、バラバラでも説得力が生まれる。『NARUTO』という作品は本当に懐が深い」

 「ビバ★ロック」は、「ORANGE RANGE」のメジャー3枚目のシングルとして2003年10月に発売された。シングルには「ビバ★ロック」と「ビバ★ロック ~japanese side~」という歌詞などが異なる2バージョンが収録されている。「NARUTO」のEDは「japanese side」だ。

 「歌詞を何パターンも書くのですが、どっちもいいな……となって両方出すことになったんです。当時はメンバーが集まって、みんなで単語を出し合って、ホワイトボードにどんどん書いていました。書いた単語を消していく中で、2つ残り、2バージョン出すことになりました」

 ◇多忙を極めた20年前

 「ORANGE RANGE」は2003年6月にメジャーデビューした。同7月に発売されたメジャー2枚目のシングル「上海ハニー」がヒットし、大きな注目を集め、同10月には「ビバ★ロック」が発売された。当時、RYOさんは高校生で、地元・沖縄の高校に通っていた。

 「高3でした。忙しかったですね(笑い)。金曜に沖縄を出て、月曜に帰ってきて、制服に着替えて、そのまま学校に行っていました。平日は普通の高校生だったんで。今、思うと、どんな生活していたんだろう?となります。ただ、メジャーデビューするということは、そういうもんだ……と自分に言い聞かせていました。僕が通っていた学校は、レゲエが好きな子がいたり、ダンサーの子もいたりする学校でしたし、特別扱いされていませんでした。僕よりももっと目立っている生徒がいっぱいいましたし」

 「ORANGE RANGE」は、ヒット曲を連発していたこともあり、多忙を極めた。

 「20歳くらいまでずっとそんな感じでした。ずっと、メジャーとはこういうものなんだ……と思いながらやっていました。みんなで集まって、面白いことをやろうとしていましたね。ちょっと意地になって、から騒ぎしているような雰囲気もありましたし、当時は歌詞もそんなにポンポン出てこないから、すごく時間が掛かっていました。要領が悪かったですね。当時は、当時のよさもありますが」

 今は、楽曲の作り方も変わったという。

 「今はホワイトボードに単語を書くこともなくて、データのやり取りになっていて、それぞれの役割も決まっているので、要領も良くなっています。みんなで作っているのは変わりません。コロナ禍が大きかったです。直接会えなくなり、データをやり取りするようになりました」

 ◇「NARUTO THE LIVE」は新人のつもりで

 「NARUTO THE LIVE」は、9月2日に音楽ユニット「いきものがかり」、バンド「KANA-BOON」「ハンブレッダーズ」「FLOW」、歌手のCHiCOさん、3日に「ORANGE RANGE」に加え、シンガー・ソングライターのAnlyさん、CHiCOさん、「KANA-BOON」「FLOW」が出演。豪華アーティストが集結する。

 「今年になって、アニメのライブに出演させていただく機会が少しずつ増えてきました。アウェーだと勝手に思っていたけど、すごく喜んでいただけて、うれしいです。僕らは新人のつもりで、頑張っていきたいです。ライブを見ると、ORANGE RANGEの印象が変わると思います。僕らはデビューした時からずっとライブを大切にしてきました。忙しかった時期もブレずにずっとライブをしてきました」

 RYOさんはライブへの思いを「ライブがなければ、バンドが続かなかったと思います」と語る。

 「ブレずにいられるのは、ライブがあるからです。自由に曲を作っているし、振り幅が大きいけど、ライブでは統一感を出せる。いざライブをやってみると、ちゃんと自分たちの中に落とし込める。お客さんも一緒になることで、より強化されていく。それをじかに感じることができて、安心するところもあります」

 「NARUTO」は海外でも大人気で、「ビバ★ロック」のライブを見たい海外のファンも多いはず。「ORANGE RANGE」はこれまであまり海外ではライブをしてこなかったというが、今後は海外のライブにも挑戦していきたいという。

 「アニメはやっぱりすごいですよね。アニメの主題歌をやってきたバンドは、僕たちに限らず、そこを突破口にして海外でライブをしている。それに比べると、ORANGE_RANGEは海外のライブ経験が少ないけど、海外でもやってみたい。海外でできるなら『ビバ★ロック』は絶対にやります。この曲を頼りにします」

 国境を越えて「ビバ★ロック」が演奏される日も楽しみにしたい。

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