ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
人気アニメ「プリキュア」シリーズの初の舞台「『Dancing☆Starプリキュア』The Stage」。プリキュアに変身するのは男子高校生だ。20周年を迎える同シリーズは、常識とされるものにとらわれず、進化、変化してきた歴史があるものの、“男子プリキュアの舞台”というのは斬新で、驚かされた人も多いはず。同シリーズの“生みの親”で、舞台のスーパーバイザーを務める東映アニメーションの鷲尾天プロデューサーに誕生の裏側を聞いた。
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「プリキュア」シリーズは、普通の女の子が伝説の戦士プリキュアに変身し、さまざまな困難に立ち向かう姿を描くアニメ。第1弾「ふたりはプリキュア」が2004年2月にスタートした。20周年を記念してさまざまな斬新な企画を展開しており、舞台以外にも「Yes!プリキュア5」「Yes!プリキュア5GoGo!」の夢原のぞみたちの成長した姿を描く新作アニメ「キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~」が10月からNHK・Eテレで放送されることも話題になっている。
「『Dancing☆Starプリキュア』The Stage」では、プリキュアに変身するのは男子高校生で、彼らのダンスにかける日常、プリキュアとしての活躍を描くオリジナルストーリーとなる。10月28日~11月5日に品川プリンスホテル ステラボール(東京都港区)、11月10日~11月12日にサンケイホールブリーゼ(大阪市北区)で上演される。
男子プリキュアが登場するのは、舞台が初めてではない。2018~19年放送の第15弾「HUGっと!プリキュア」の第42話「エールの交換!これが私の応援だ!!」で、初の男子プリキュアのキュアアンフィニが登場し、現在放送中の第20弾「ひろがるスカイ!プリキュア」に男子プリキュアのキュアウィングがレギュラーキャラクターとして登場している。ただ、登場するプリキュアが全員男子というのは今回の舞台が初めてだ。
「実は前々から舞台をやりたいとは思っていました。子供が集まるキャラクターのステージはありますが、大人が集まれる場所、ターミナルになるような場所を作りたかった。小さい頃、プリキュアを見ていて、応援してくださった方たちが大人になり、その方たちが集まれる場所とは?と考えていました。これまでのプリキュアたちが登場する舞台でどうだろう?という話をスタッフにしていたのですが、今ひとつピンとこない感じでした。ある時、男子プリキュアたちが主役の舞台は?と言ってみたら、急に『それはいい!』と大きなリアクションがありまして。何となしに言ったことだったんですけどね」
“男子プリキュア舞台”は何気ない一言をきっかけに生まれたようだが、鷲尾プロデューサーは「これまでで最大の挑戦かもしれません」「無謀な試みと批判を浴びることもあるでしょう」とも考えているという。それでも「挑戦したい」という思いがあった。
「そもそも常識に挑戦する形で始まった番組ですしね。女の子が好きな色はピンクと言われていた時代に、黒と白の主人公というのが、まずありえないことでした。当時は、手にアイテムを持ってアクションするキャラクターが常識だったけど、何も持たずに戦う。ありえないところから始まっています。その後もいろいろな挑戦をしてきました。20周年ということを含めて、もっともっとむちゃをしてもいいのでは?と。『オトナプリキュア』も今回の舞台もそうです。既定路線に乗っかるのではなく、新しいことに挑戦していく。うまくいったら、それがまた新しく枝分かれして、もっともっと広がっていくかもしれません」
「プリキュア」シリーズは、時代に合わせて変化してきた「創造と破壊」の歴史がある。その歴史があるからこそ斬新な舞台版が生まれた。
「ヒンズー教のシヴァ神の破壊は、創造を生み出すための破壊です。そういう発想なのかもしれません。破壊して、再構築していく。再構築するには、根っこがきちんとなければできない。根源となる素材を使って再構築していきます。その素材を考え、突き詰めて考えていけば、いろいろなことに挑戦してもプリキュアとして通用すると考えています」
第1弾から「男らしさ」「女らしさ」という言葉を使わないなど多様性を大切にしてきた。時代に合わせて変化してきたが、ブレない根っこがある。
「作品を作る時、根っこを捉えられているのか?を考えるようにしています。作品の根源は何か?と問います。そこをつかめていれば、ブレないし、迷った時に、根源に戻ることができると思っています」
舞台は挑戦ではあるが、「プリキュア」の根っこを大切にしている。
「男の子たちがどういう子で、どこが魅力で、何に一生懸命なのか? どんな時に心の叫びを発するのか? そこをちゃんと描ければ、プリキュアとして成立するはずです。テレビシリーズにも宇宙人、アンドロイドなどさまざまなプリキュアがいます。どんなキャラクターでも一生懸命に立ち向かい、それぞれの個性であがく。それは男子だろうが同じだと思います」
舞台ならではの表現に挑戦しつつ、“プリキュアらしさ”もしっかり表現しようとしている。
「舞台は、アニメよりも見る側の想像の範囲が大きいはずです。そこを広げることが大事だと思っていますし、楽しみなところです。私が最初にリクエストしたのは、学園ものとしてしっかり面白い作品にしてほしい、ということです。きちんと日常生活を送っていて、そこにこの子たちらしさがあり、舞台を見ている人にリアルに感じていただくことが大事になってくるはずです」
「ひろがるスカイ!プリキュア」にも男子プリキュアのキュアウィングがレギュラーキャラクターとして登場している。放送開始前に、男子プリキュアの登場が発表された際、大きな反響があったが、いざ放送が始まってみると、子供たちは自然に男子プリキュアを受け入れているようにも感じる。鷲尾プロデューサーは「変な言い方かもしれないのですが、反応があんまりない。だから、よかったと思っています」と話す。
「監督、シリーズ構成などスタッフの力が大きいと思っています。男の子を入れたいという話をして、スタッフは相当悩んだはずです。結果として、違和感なく普通に男の子がいる作品になっています。我々の予想よりも皆さんに受け入れていただけています。世間が認めてくれれば、いつでも男子が入ってもいいと思っていました。もしかしたら、今年はそのタイミングとして合っていたのかもしれません」
「ひろがるスカイ!プリキュア」のキュアウィングが自然に受け入れられているのは、ブレない根っこがしっかりあるからなのだろう。舞台版も挑戦ではあるが、“プリキュアらしさ”にあふれた作品になるはずだ。舞台による「創造と破壊」の先には何があるのか? 今後の展開も注目される。
※公演情報
東京公演:10月28日~11月5日 品川プリンスホテル ステラボール(東京都港区)▽大阪公演:11月10日~11月12日 サンケイホールブリーゼ(大阪市北区)▽チケット:S席1万1000円、A席8800円
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