SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第8話 弱虫で泣き虫!人魚姫しらほし
12月22日(日)放送分
人気サッカーマンガ「ブルーロック」の人気キャラクターの凪(なぎ)誠士郎を主人公とした「ブルーロック -EPIOSODE 凪-(エピ凪)」が原作の劇場版アニメ「劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-」(石川俊介監督)が、4月19日に公開された。「エピ凪」は、凪が“ブルーロック(青い監獄)”に入る前のストーリーから始まり、大企業・御影コーポレーションの御曹司・御影玲王(みかげ・レオ)と出会い、W杯優勝を目標に共にサッカーを始めることになる。凪を演じる声優の島崎信長さんに収録の裏側、凪と玲王の関係性、「エピ凪」ならではの魅力を聞いた。
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「ブルーロック」は、金城宗幸さん原作、ノ村優介さん作画のマンガで、「週刊少年マガジン」(講談社)で2018年から連載中。日本をサッカーW杯優勝に導く“絶対的エースストライカー”を誕生させるためのプロジェクト“ブルーロック(青い監獄)”がスタートし、集められた300人の高校生FWがし烈な戦いを繰り広げることになる。ストライカー300人の生き残りをかけたバトルロイヤルを描くという斬新な設定、個性的なキャラクターが人気を集めている。テレビシリーズの第1期が2022年10月~2023年3月に放送され、第2期の制作も発表されている。
「エピ凪」は、2022年6月から「別冊少年マガジン」(同)で連載中。「ブルーロック」のストーリーが凪視点で描かれている。
「テレビシリーズのアフレコ期間から『エピ凪』は読んでいて、非日常な『ブルーロック』の世界の中で、日常の部分が描かれていると思いました。『エピ凪』では、“ブルーロック”での日常もそうだし、凪たちが“ブルーロック”に来る前も知ることができます。作中で起こるドラマチックなことも、日常を知っているほうがより心を揺さぶらやすくなるというか。『エピ凪』を読むことで各キャラクターへの理解度が深まって、感情移入しやすくもなりますし、『ブルーロック』全体を更に楽しんでもらえるきっかけにもなるんじゃないかなと思います」
劇場版は、テレビシリーズ第1期では描かれなかった“ブルーロック”入寮以前の凪と玲王の出会い、高校サッカー部時代の物語、第1期で描かれた一次セレクション、二次セレクションが凪視点で描かれる。テレビシリーズと重複するシーンもあるが、凪のせりふは全編新録された。全編新録は、島崎さんも熱望していたという。
「前半部分は新録パートだったので、凪と玲王が出会って関係性を築いていって、“ブルーロック”に入ってからはチームVの仲間とぶつかり合いながら仲良くなって、という場面を演じたのですが、テレビシリーズと同じシーンでも当然芝居は変わるんです」
テレビシリーズでは、「ブルーロック」の主人公・潔世一(いさぎ・よいち)の前に立ちはだかる強大な敵、天才プレーヤーとして凪は登場する。そのため、島崎さんは凪を演じる上で、試合中の息切れや疲れ、動揺というような“等身大の部分”を抑えてほしいという演出を受けたという。
「テレビシリーズでは、凪が『もっと強く見えてほしいから抑える』とか、逆に『もっと強く見えてほしいから盛る』とか、えたいが知れない感じを出すために引く演技をするということがありました。ただ『エピ凪』は、最初から凪視点で、等身大の凪を表現しているから、テレビシリーズで描かれた潔視点のフィルターがかかった凪が急に登場したら人格がつながらなくなってしまう。だから、作品としての見せ方や気持ちは一緒でも、視点が違うだけで、芝居も、演出も、何もかも変わっていく。もちろん、全編新録となると、スケジュールの都合などもあるので、スタッフの方々の間でもどうするか揺れがあったと思うのですが、『ぜひ新録して、クオリティーファーストで』という話をさせていただきました」
全編新録をすることになり、島崎さんは声優として「うれしいこと」があったという。
「凪と玲王の二人のシーンで、玲王役の内田雄馬くんと一緒に録(と)れなかったシーンがあったのですが、『やっぱり掛け合って録ってほしい』ということで、『もう一度収録に来てほしい』とオファーをいただいたんです。それって、一緒に録ることで『変わる』と期待してもらえたんだろうなと。だから、制作陣から求めてもらえたというのが、とてもうれしくて、役者として非常にありがたいことでした。僕は個人的に、そうやってみんなで同じところを見て、一緒に肩を組んで作っていったほうがいいものができると思っているので。収録のやり方には何が良い、悪いはもちろんないんですけど、僕自身がそういうことを求めてもいい声優だと認識してもらえたこと、オファーをいただけたということが、とてもうれしかったです」
「エピ凪」では、凪や玲王のモノローグも多く、心の機微や、相棒だった玲王とのすれ違い、関係性の変化が色濃く描かれる。島崎さんは「凪に関しては、そのモノローグを言葉にして伝えなさいよ!って(笑い)。玲王も玲王で、凪の真意を自分で解釈しないで本人に聞きなさい!って」と話す。凪や玲王の関係性について「重くてエモい」と感じているという。
「玲王は難儀な人なんですよね。何不自由ない御曹司で、どんなことも人並み以上にできる人に見えるんだけど、玲王の立場だからこそ喉から手が出るほどに渇望しているものがあって、それを持っていたのが凪なんだと思います。玲王は、帝王学を学んできていると思うのですが、そういう人はプレーヤー向きじゃないんです。人を使うプロデューサーに近い。そういう意味で言うと、玲王は最強の逸材を見つけちゃったんです。凪の持つとんでもない才能を育てたい、世界に知らしめたい、導きたいという思いもある。ただ、玲王の難儀なところは、自分がプレーヤーとしても優秀だったこと。だから、『プレーヤーとしても一緒にいたい』という思いも抱いてしまった。プロデューサーのエゴとプレーヤーのエゴが混ざっちゃっているから、『二人で一緒に世界一になる』という実は一番難しい道を求めてしまった」
島崎さんは玲王についてそう分析しつつ、「エピ凪」では、「実は凪もめちゃくちゃ重い気持ちを玲王に向けているというのが分かる。そこが、すごくエモいところでもあり、重いところでもある」と語る。
「凪は、玲王のことを信じているんだと思うんです。横にいるのが当たり前だから。あのモノローグの内容を言葉にして言わないのも、伝わっていると思っているからなのではないかと。伝わっていないんだけどね(笑い)。お互いに思い合っているのが分かるから、すれ違いが余計にじれったい」
凪は、サッカー歴半年ながら桁外れのサッカーセンスを持つ天才だ。島崎さんは凪というキャラクターとどのように向き合ったのだろうか。
「凪って、本当に“記号”が強いんです。見た目は神秘的でもあり、格好良さ、可愛さもある。フィジカルにも恵まれている。性格もどこか無気力でクールさがあるのだけど、熱くなる時もある。そういった魅力的な記号にあふれていて、ある意味、役者をダメにする“役者殺し”のキャラクターというか。でも、人間としてちゃんと捉えると、案外普通の人間というか。ちゃんと人間らしくいろいろな気持ちが動いていると思うんです。ストーリーが進むにつれ、“エゴ”もどんどん開花していって、葛藤ももちろんあるし、失敗や負けもある。人間的な魅力を掘り下げていくと、キャラクターの記号で飾り立てる以上の魅力が湧き出てくる子だなと思います」
島崎さんは、キャラクターとしてではなく、人間としての凪と向き合い、表現しようとした。「凪は、意外と分かりやすくて素直」と魅力を表現する。収録でどう演じようかと迷うこともなかったという。
「全部決めてくるんじゃなくて、とっさのことにも凪として反応できるよう現場で迷わない準備をしてくるのが声優の仕事かなと。そうできるように、台本をすごく読んで『こういう人生を生きてきたのかな』と考える。例えば、試合のシーンで、凪が映っていなくても、何十分ずっと走り回っているとか、どこのポジションにいるとか想像をする。そんないろいろな積み重ねがあって出てくる凪の一言のはずなので。そもそも凪は、裏表がある人じゃないし、意外と素直で、思ったことを思った通りやっている人だと思います。だから、演じる際もあまり悩まなかったです」
最後に「エピ凪」の見どころを聞いた。
「もちろん凪にも玲王にも、これから先の未来がまだまだあるんですけど、劇場版の『エピ凪』という一つの作品としての着地点は、すごくいいものになっているので、楽しみにしていてください。成長した上での最後の凪のせりふがなかなかいいパンチラインになっています。それはご覧になってからのお楽しみではありますが、皆さんも緊張した時に心の中で唱えてみたら、大きな気持ちになれるんじゃないかなと思っています」
※島崎信長さんの「崎」は正しくは「たつさき」。
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