解説:“俳優・山下美月”の躍進ぶりを5年前に予見? 初主演ドラマPが感じた「気概」 きょう乃木坂46卒業

山下美月さん
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山下美月さん

 5月12日に東京ドーム(東京都文京区)で開催されるコンサートをもってアイドルグループ「乃木坂46」を卒業する山下美月さん。2016年に3期生として乃木坂46に加入し、2021年1月発売の26枚目のシングル「僕は僕を好きになる」で初の表題曲センターを務めるなど、現在に至るまでグループの中核メンバーとして活躍してきた。その一方で、近年は、俳優としてのキャリアを順調に積み上げてきた印象も強い。そんな山下さんが、初めてドラマで主演を務めたのは今から5年前のこと。当時のプロデューサーの目に“俳優・山下美月”はどう映っていたのか、ここで紹介する。

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 ◇「実際にお芝居を拝見したとき…」役へのなりきりぶりに感心

 山下さんがドラマ初主演を果たしたのは、2019年4月期にテレビ東京で放送された「電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-」。桂正和さんの名作マンガが原作で、西野七瀬さんが“ビデオガール・アイ”を演じた実写版「電影少女」の新シリーズとして注目を集めた作品だ。

 前作の恋愛ストーリーから一転、ダークファンタジー的な内容で、山下さんは主演の一人(もう一人は萩原利久さん)として、物語の核となる“悪のビデオガール”神尾マイを演じた。

 マイは言ってしまえば、人々をもてあそぶ“悪女”。時に男子を罵倒したり、逆に迫ってみたりと、山下さんもそれまで見せたことのないような妖艶な表情を随所で披露してみせた。

 当時の山下さんは、前年に上演された「乃木坂46版ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』」で、主人公の月野うさぎ役に抜てきされるなど、すでに“次世代エース”として期待を集めていた時期。とはいえ、映像界で俳優としてのソロキャリアは1年にも満たず、その実力は未知数だったはず。

 そんな中で、山下さんをマイ役に抜てきしたのが五箇公貴プロデューサーだ。

 五箇さんは「実際にお芝居を拝見したとき、思っていたよりも吹っ切れたお芝居をされていて、そこがすごくいいなって思いました。こういう役(マイのこと)ってセーブしてやってしまいがちですけど、そこの思い切りの良さはすごくいい。罵倒するシーンなんかはある意味、女王様的な感じもあり、見ていてとても気持ちが良かった」と役へのなりきりぶりに感心していた。

 ◇決して表には出てこないギラギラとした“役者魂”感じ

 五箇さんによると、マイ役に山下さんをキャスティングするにあたり、決め手になったものの一つが彼女の「芯の強さ」で、「俳優としての気概」も起用理由に挙げている。

 当初、そこまで山下さんのことを詳しくはなかったという五箇さんだが、山下さんの姿から「ある意味すごく現代っ子ぽいんですけど、決して表には出てこないギラギラとした、役者魂のようなものを感じました」といい、さらにこんなことも語っていた。

 「平たく言ってしまうと、この業界で何とか上に、俳優としても高い位置にいきたいっていう闘志がすごく見えたというか。この役って思いっ切りやってもらわないと、現場で迷われたらすごく困るんですが、だからこそ山下さんなら、すごく割り切ってやってもらえると思ったんです」とも──。

 あれから5年、最近は人気アイドルグループの一員であること以上に、俳優としてその存在がクローズアップされることも多く、特に2022年10月から2023年3月にかけて放送されたNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」出演以降の活躍は顕著。3月に最終回を迎えた2024年1月期の「Eye Love You」(TBS系)まで、連続ドラマへの起用が相次いだが、現在の躍進ぶりは、すでに「電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-」の時点で予見されていたのかもしれない。

 今年2月にグループから卒業することを発表した際、「卒業後は少しお休みをいただいて自分のやりたいことは何か? もう一度立ち止まって考える時間が必要だと思っております」とブログにつづっていたが、すでに11月22日公開予定の映画「六人の嘘つきな大学生」(佐藤祐市監督)に出演することが決まっている山下さん。

 今後は俳優として、さらなる飛躍を遂げるのではないだろうか。

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