5月24日(金)にオンラインセミナー 「電力はどうやって国境を越えるのか?『電力貿易』の現状と課題」開催

セミナーで使用されたスライドより(C)中山幹康・佐々木大輔
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セミナーで使用されたスライドより(C)中山幹康・佐々木大輔

プレスリリース詳細 https://kyodonewsprwire.jp/release/202406202449

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再生可能エネルギーの普及と世界共通の安価な電力価格を目指して

2024年6月25日

公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団

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セミナーで使用されたスライドより(C)中山幹康・佐々木大輔

 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(所在地:東京都港区、理事長:中山幹康、略称:日本GIF)は、2024年5月24日(金)午後2時から、Zoomを利用したオンライン形式にて、東北大学災害科学国際研究所の佐々木大輔准教授および当財団専務理事(当時)の中山幹康を講師に、「電力はどうやって国境を越えるのか?『電力貿易』の現状と課題」と題し、セミナーを開催しました。

開催趣旨

 現在、多くの国がエネルギー源を輸入に頼っており、日本も液化天然ガス(LNG)を海外から大量に輸入し発電に利用しています。しかし、LNGは加工・輸送コストがかかるため、エネルギー産出国で発電し電力を輸入する方が安価になる可能性があります。このように国境を越えた電力の売買は「電力貿易」と呼ばれ、その有効性は認められているものの、世界的には電力貿易の進捗はまだ遅れています。電力貿易が難航する理由には、国家間の外交問題だけでなく、電力を輸出入する国内の事情が大きく影響していると言えます。

 本セミナーでは、電力貿易について10年以上前から研究してきた2人の研究者である、東北大学災害科学国際研究所の佐々木大輔准教授、そして当財団専務理事(当時)で東京大学名誉教授の中山幹康が、世界各地での計画を取り上げ、それが順調に進展している理由、あるいは不調な理由について解説しました。

講演要旨

1.電力貿易とは

-電力貿易とは、国境を越えて電力を取引すること

-電力貿易を提唱したバックミンスター・フラー(米国の建築家・思想家)は、世界中の電力網を接続し、昼夜の需給を平準化することで利用可能電力を増やし、再生可能エネルギーの普及と世界共通の安価な電力価格を目指した

2.電力貿易の事例

●欧州:国ごとに電力需要のピーク時間帯が違うこと、様々な電力源を有することから、域内国間での電力貿易が活発

●ブータン:インドと包括協定を結び、水力発電による余剰電力をすべてインドに輸出する権利を保有

●アジア・スーパーグリッド:モンゴルの自然エネルギーを主な供給源として、アジア全域での自然エネルギー活用を目指す

●ロシア:1980年代から日本への電力輸出に意欲を示しており、2015年にプーチン大統領が「エネルギー・ブリッジ」構想を提案したが、未実現

●デザーテック:ドイツを中心としたコンソーシアムが主導し、北アフリカや中東の砂漠で集光型太陽光発電によって作り出した電力を欧州に送電しようとしたが、未実現

●アイスランド:水力と地熱でほぼ100%賄っている電力の余剰分を英国や欧州諸国に売電する計画

●中央アジア:キルギスとタジキスタンの豊富な水力発電資源による余剰電力を、新たなインフラを通じて電力不足に悩む南アジアに供給する計画

●湾岸諸国:産油国のサウジアラビア、クウェート、バハレーン、カタール、UAE、オマーンの6カ国間で電力貿易を推進

●ハワイ:1970年代から、他島から電力消費の多いオアフ島への送電計画を検討、未実現

●中央アジア5カ国:トルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギスタン、カザフスタン、タジキスタンでは、旧ソ連時代から電力網が接続されていたが、ソ連崩壊後は瓦解

3.電力貿易を促進する要因と阻害する要因

-災害に対する電力レジリエンスという観点が不可欠:従来の大規模集中型エネルギーによる発電のリスクを回避できる自立・分散型エネルギーシステムがエネルギーの安定供給に資すると考えられる

-電力貿易を促進する要因:コスト面の利点、電力レジリエンス向上、再生可能エネルギー活用

-電力貿易を阻害する要因:国家間の政治的対立や不信感、日本国内法の未整備、エネルギー安全保障から「地産地消」を志向する動き、既得権益業界による政治的活動、長距離送電への環境保護団体の反対運動等

 講演後の質疑応答では、海外での電力輸入における法整備の現状、ASEANパワーグリッドの現状や課題、電力貿易の資金源や契約方式等について活発な質問が飛び交いました。

 セミナー終了後のアンケートによると、「電力貿易とは」や、「電力貿易を促進する要因と阻害する要因」のパートへの関心が高かったことがわかりました。この他にも参加者からは多くの質問や意見が寄せられ、電力貿易への高い関心が見て取れました。

セミナー概要

主  催: 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(日本GIF)

日  時: 2024年5月24日(金)14:00~15:30

名  称: オンラインセミナー「電力はどうやって国境を越えるのか?『電力貿易』の現状と課題」

開催形式: Zoomを利用したオンライン形式(ウェビナー)

講演者: 佐々木 大輔(東北大学災害科学国際研究所准教授)

中山 幹康(日本GIF専務理事)※当時

司会者: 坂本 晶子(日本GIF事務局長)

参加費: 無料

動 画: https://gif.or.jp/seminar_youtube/electric_power_trading-2/

講師略歴

佐々木 大輔(ささき だいすけ)

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東 北大学災害科学国際研究所准教授。2004年3月東京大学理学部物理学科卒。2015年9月東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻博士課程修了。博士(国際協力学)(東京大学)。

民間シンクタンク等での勤務を経て、2017年9月から東北大学災害科学国際研究所において研究・教育活動に従事。2023年10月から東北大学大学院環境科学研究科准教授(兼任)。日本GIF上席客員研究員。主な研究テーマは、防災・気候変動適応・レジリエンスの数量化・エビデンスに基づく政策立案。

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