極地冒険家の荻田泰永さんが文、井上奈奈さんが絵を担当した絵本「PIHOTEK 北極を風と歩く」(講談社)がショートアニメ化された。荻田さんは、これまでに北極と南極を1万キロ以上踏破した現役の北極冒険家で、井上さんは、絵本「くままでのおさらい」(ビーナイス)の特装版がドイツの「世界で最も美しい本コンクール」にて銀賞を受賞した実力派。アニメは、NHK「みんなのうた」などで活躍するホッチカズヒロさんが監督を務め、劇場版アニメ「すみっコぐらし」などのファンワークスが制作した。
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同作は、北極をたった一人で歩く“僕”の一日を描いた絵本で、第28回日本絵本賞で大賞を受賞した。講談社の絵本をショートアニメ化するプロジェクト「アニエホン」の第3弾としてアニメ化されることになった。
アニメは、奥行きや雄大な自然を表現するために背景に3DCGを取り入れたシーンもあり、北極の地を生きる臨場感を繊細かつ優しい色彩で表現した。30秒のショートバージョンがテレビCMとして放送され、ディレクターズカット版となる2分のロングバージョンがYouTubeで公開された。
荻田さんは「私の心の中にあった心象風景の北極冒険を、井上奈奈さんの素晴らしい表現で絵本として完成した時にも感動しましたが、まさかそれがアニメーションとして動き出すとは。動物たち、空から降りてくる暗闇、あわいの世界、そして吹き渡る風。命、生と死、風に仮託したメッセージが、このアニメーションがきっかけとなって、世界に吹き渡っていくことができればうれしい限りです。冒険という行為は、冒険者自身を思いもよらない世界に連れて行ってくれます。『PIHOTEK』がこれからどんな冒険をして行くのか、作者として楽しみです」とコメント。
井上さんは「自身が生み出した世界がアニメーション化されるという幸福な機会に恵まれ、『PIHOTEK』を絵本にするために数えきれないほどのスケッチを重ねた日々を思い出しています。雪の中、白い息を吐きながら一心不乱に進む主人公。ウサギたちが身を寄せ合い、暖をとる姿。全速力で駆ける狼と、必死に逃げるカリブー。アニメーションが完成し、絵本の『頁と頁の間の世界』が可視化されたようで胸が高鳴りました。主人公がテントで眠った後の世界では、アニメーションならではの世界が表現されています。『PIHOTEK 北極を風と歩く』というタイトルにふさわしく、この物語が世界中に旅を続けてくれますように」と話している。
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