ワンピース エッグヘッド編
第1153話 時代のうねり!ルフィを導く覇王色
12月14日(日)放送分
「SPY×FAMILY」や「チェンソーマン」、「ダンダダン」などアニメ化された人気作品を精力的に送り出しているマンガアプリ「少年ジャンプ+」(集英社)。“初回全話無料”も手伝って、これまでよりも手軽に原作マンガに触れやすくなっているようだ。アニメコラムニストの小新井涼さんが、“ジャンプラ”がアニメにもたらした変化を解説する。
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集英社によるマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」通称“ジャンプラ”が、今年9月で創刊10周年を迎えました。ジャンプラといえば、「SPY×FAMILY」や「怪獣8号」、そして今期も「ダンダダン」と、連載作品のアニメ化が話題になることも最近ますます増えてきています。こうした当アプリの台頭は、“マンガのアニメ化”に際しても、この10年のあいだに様々な変化をもたらしてきました。
変化の主な要因のひとつとしてあげられるのは、当アプリの“初回全話無料”という機能です。ジャンプラオリジナルの連載作品は、雑誌の購入や都度課金の必要なく、初回の一度だけ全話無料で、最新話まで読むことができるようになっています。この機能は、単にお得というだけでなく、マンガがアニメ化した際の人々の反響を変化させてきました。
たとえば、アニメから作品を知った人が、その先のエピソードを原作マンガの方で履修する“アニメの追い越し”が、より手軽に行われるようになったと思います。
実際にアニメの放送終了後、先の展開が気になった時に、これまで雑誌やコミックスに手を伸ばすまではいかなかったけれど、初回全話無料の手軽さに原作を最新話まで読み進め、今では毎週更新を追うようになったという経験をした人も少なくないのではないでしょうか。このことは、従来であればアニメの放送終了と共に一旦作品を追わなくなっていた人たちを原作マンガに招き入れるだけでなく、先のエピソードを知ることで、放送終了後も人々のアニメ続編への期待や熱量を保ち続けることにも繋がっているように思います。
また上記のように、これまでアニメは見ても“マンガにまでは手を出さなかった人たち”が気軽に原作マンガにまで触れられるようになったことは、作品の布教や拡散にも一役買っていそうです。
従来、紙のマンガを直接貸し借りできる間柄でないと、都度購入や課金が必要なマンガは、見放題配信があれば気軽にすすめられるアニメと比べると、周りにオススメするハードルは高めでした。しかしジャンプラの初回全話無料の機能は、そうした作品の布教ハードルを下げるだけでなく、SNSを介して、身近な人たちにとどまらない不特定多数にまで作品をオススメすることも可能にしています。
また、そうしてSNSで広く拡散され話題になった作品は、アニメ化が決まる前から知名度も高いため、満を持してアニメ化が決定した際に、注目度や盛り上がりもより一層大きくなることが多いです。今年話題の「怪獣8号」や「ダンダダン」も、アニメ化発表以前から度々話題になっていたため、アニメ化の決定や放送開始に伴う注目度や反響も、その分大きいものとなっていました。
こうした初回全話無料がもたらす変化には、コミックス派だった人が「アプリで読めるならいっか」とコミックスを購入しなくなったり、アニメから入った人が「原作で読んだしいっか」と、アニメ続編を追わなくなったりといったものもあるかと思います。しかし昨今、マンガだけでなくアニメやソシャゲ等、サブスクや無料の作品が無尽蔵にあふれる中では、そもそも作品が人々に知られない、刺さるはずの人に届かないということの方が、上記の懸念点以上に作品の盛り上がりにとって致命的なのかもしれません。ジャンプラの初回全話無料の機能はそうした中で、“まず作品に触れてもらう”ことになにより特化した、昨今の楽しまれ方にもぴったりな機能となっているのでしょう。
数年前の「タコピーの原罪」や、最近ではネットマンガ発の「ふつうの軽音部」など、上記ジャンプラの“気軽に触れやすい”特性とも相性の良い、思わず他の人に広めたくなるような、SNSで盛り上がりを生むオリジナル作品も増えてきています。こうした中で、今後はどんな作品が生まれアニメ化され、話題になっていくのか、10周年を迎えた今後も、ジャンプラの連載タイトルには引き続き、マンガファンからもアニメファンからも、熱視線が集まっていきそうです。
こあらい・りょう=KDエンタテインメント所属、北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約10年前から継続しつつ、学術的な観点からもアニメについて考察・研究し、大学や専門学校の教壇にも立つ。アニメコラムの連載をする傍ら、番組コメンテーターやアニメ情報の監修で番組制作にも参加している。
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2025年12月19日 03:00時点
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