コスプレは自宅で気軽に楽しめる趣味であり、アニメやゲーム、マンガなどの人気のバロメーターとしても注目を集めている。コスプレ文化の研究家でライター兼カメラマンのソムタム田井が、イベントに取材、参加して見つけたハイレベルなコスプレーヤーをピックアップ。衣装、ウイッグ、メーク、体づくりなど、キャラクターになりきる上でのこだわりについて聞く。
8月に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催され、2日間で約26万人が来場した世界最大規模の同人誌即売会「コミックマーケット104(コミケ104)」で撮影、インタビューした、「2.5次元の誘惑(リリサ)」のキャラクターに扮(ふん)する蘭るかさん、はてさん、キサトさんを紹介する。
コスプレを題材にしたマンガであり、現在、テレビアニメも放送中の「2.5次元の誘惑(略称:にごリリ)」は、当然(!?)、コスプレファンの間でも人気が高い作品で、昨今ではどのイベントでも同作のキャラクターに扮したレイヤーを見かける。
作中では、主人公たちがコミケに参加するエピソードも描かれていることから、「せっかく『にごリリ』のコスプレをするからには、東京ビッグサイトで披露したい!」と考えるレイヤーは多いようで、会場内の各所で「にごリリ」併せを楽しむグループの姿が見られた。
リリエルとミリエラの併せで参加していた蘭るかさんとはてさんは、“天使空挺隊バカンス衣装”バージョンのコスチュームを自作で用意。ビニール素材の加工に苦労したと話す。
「こちらは“天使空挺隊バカンス衣装”という、原作でも登場したばかりのコスチュームで、作者の橋本悠先生が直々に『夏コミに間に合え!』と推してくださった衣装になります。なのでどうしても、この衣装で“夏コミ”に参加したいと思い、急いで制作しました。こだわったポイントは、各装飾の縁の部分になります。スカートや髪飾りなどのビニール素材は生地に張りが出てしまうので、そのまま使うと原作通りの形にならなくて……。なので、周辺の白い縁に針金を仕込んで、形を調整できるようにしたんです。その甲斐あって、各部位のボリューム感と再現度が両立した、いい感じの衣装が作れたんじゃないかなと思っています」(「2.5次元の誘惑」リリエル/蘭るかさん)
「こちらの“バカンス衣装”は作中で登場しただけでなく、コミックスの巻末にも設定画が描かれていて。それを見ながら、併せ相手の蘭るかちゃんと話しているうちに、せっかくだからこれを着て、“夏コミ”に参加したいね……ということになって。こちらの衣装は、それから約1週間で制作したものになります。硬くて縫製しづらいビニール素材が多めですが、原作通りのシルエットを再現したくて。場所ごとにプリーツとタックを使い分けて、現状の形に仕上げました」(「2.5次元の誘惑」ミリエラ/はてさん)
キサトさんが扮するのは、2024年の年明けのタイミングで作者の橋本悠さんがイラストを公開した“辰年コスプレをするNONOA”のコスプレ。辰をイメージした衣装ということで、「コスプレをするなら2024年のうちにやらなければ!」と思い、急いで一式を揃えたという。
「衣装には両面テープやボンドなどは使わず、すべて縫い付けて制作しているので、そのまま洗濯することができます。文字の部分はほつれないよう、布を端ミシンで縫いつけて形を整えて。隅々までこだわったぶん、仕上がりには満足しています」(「2.5次元の誘惑」NONOA/キサトさん)
取材・文:ソムタム田井