呪術廻戦 死滅回游 前編
第50話「死滅回游について」
1月15日(木)放送分
インタビュー(1)の続き。アニメ「カウボーイビバップ」などで知られる渡辺信一郎監督のオリジナルアニメ「LAZARUS ラザロ」が、テレビ東京系で4月6日から毎週日曜午後11時45分に放送される。世界中から集められた5人のエージェントチーム「ラザロ」が、人類を救うために、服用から3年後に死に至らしめる鎮痛剤・ハプナを開発した脳神経学博士スキナーを追う……というストーリーで、「呪術廻戦」「チェンソーマン」などのMAPPAが制作する。国内外のクリエイターたちが参加し、迫力のアクションと緻密なドラマを描く。インタビュー(2)では、渡辺監督に“アニメと音楽の関係”について聞いた。
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「マクロスプラス」「カウボーイビバップ」「サムライチャンプルー」「キャロル&チューズデイ」など渡辺監督の作品は音楽が重要な要素になっており、「基本的に僕の作品の音楽は全部自分が選んでいます」と話す。
「ラザロ」は、米サックス奏者のKamasi Washington(カマシ・ワシントン)さんがオープニングテーマ(OP)「Vortex」、英バンド「The Boo Radleys(ブー・ラドリーズ)」がエンディングテーマ(ED)「Lazarus」を担当。カマシ・ワシントンさんに加え、Bonobo(ボノボ)さん、Floating Points(フローティング・ポインツ)さんといった英アーティストが音楽を手掛けたことも話題になっている。
EDを担当する「ブー・ラドリーズ」は1990年代を中心に人気を集めたバンドだ。1995年に発表したシングル「ウェイク・アップ・ブー!」やアルバム「ウェイク・アップ!」が英国で大ヒットし、日本でも人気を集めた。アニメのEDとして流れる「Lazarus」は、1993年に発表したアルバム「ジャイアント・ステップス」に収録されている。大ヒット曲「ウェイク・アップ・ブー!」はホーンが印象的なポップで明るい楽曲だが、「ジャイアント・ステップス」は、シューゲイザーサウンドなど内省的な印象もある。“隠れた名曲”と書くと大げさになってしまうが、大ブレーク前の楽曲なので、「ウェイク・アップ・ブー!」ほどの知名度はない。なぜ、2025年に1993年の楽曲をEDにしようとしたのだろうか?
「ブー・ラドリーズのこの曲は、90年代当時、大好きで良く聴いてました。でも、最近はすっかり忘れてたのをたまたま久しぶりに聴いたのがきっかけです。最近、海外ドラマの『ストレンジャー・シングス』をきっかけにケイト・ブッシュの80年代の曲がリバイバル・ヒットしたりしてるし、昔の曲をテーマ曲にしてもいいじゃないかと。『ラザロ』の内容を考えていた時、オピオイド問題、パルクール……と漠然といろいろなアイデアがあったんだけど、りました。パルクールは一歩を踏み外せば、落ちて死んでしまう。ギリギリ命を落とすかもしれない。いろいろな要素がごちゃ混ぜになっていた時、この曲を聴いたんです」
「ラザロ」と言えば、イエス・キリストによって生き返る聖書の「ラザロの復活」の人物を思い出す人もいるかもしれない。「Lazarus」を聴き直すことで、さまざまな要素がつながった。
「この曲を聴いて、バラバラだったいろんなイメージが急に一つにまとまった。この曲の歌詞とか曲調とか、あともちろんこれは聖書に出てくる人物の名前でもあるし、そういう由来も含めたすべてに、インスピレーションを受けたんです。だから、この曲なくして『ラザロ』って作品は成り立たなかったわけで、どうしてもこの曲をテーマ曲として使いたいと思って、許諾をとり、EDとして流せるようになりました。この、美しく静けさに満ちた部分と、激しい轟音ギターの部分が融合しないで交互に出てくる感じも、まるでアニメのシーン展開を思わせるというか、、影響を受けています」
OPを担当するカマシ・ワシントンさんは“で現代のジャズ・シーンを牽引するサックス奏者”とも呼ばれている世界的な人気アーティストだ。
「カマシは、ジャズというカテゴリーにとどまらない、現代の音楽シーンでも注目のアーティストなんだけど、何しろデカいしアフロヘアーで民族衣装みたいの着ているし、何か怖いイメージだったんです。でも会ってみたら、意外にも自分の過去の作品の大ファンらしくて。日本にはこんな感じのアニメファンとかいませんからね(笑)。すごい気合の入り方で、いい曲をどんどん作ってくれて、おまけにOPまで自分にやらせてくれというので、彼に任せました」
渡辺監督の作品は世界中で愛されている。音楽にこだわった作品ばかりということもあり、世界中のアーティストから支持を集めているのだろう。渡辺監督は“音楽とアニメの関係”をどのように考えているのだろうか?
「音楽はドラマとかストーリーの盛り立て役、っていうのが、長いこと映画音楽の在り方だったわけだけど、音楽好きの自分からするとそれじゃ物足りない。映像と音楽がフィフティーフィフティーに、お互いを高められるようにしたいといつも思ってるんです」
「最近、そういう音楽使いの元祖はマカロニ・ウエスタンじゃないかな?と思うようになって」とも話す。マカロニ・ウエスタンとは1960~70年代に制作されたイタリア製西部劇だ。
「最近、セルジオ・レオーネ監督の『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』を久々に見直したんです。たとえばクライマックスで、3人の男が決闘のために向き合って立ってるんだけど、映像だけ見るとそんな大したことはしてない(笑)。でもそこに、エンニオ・モリコーネのすさまじく壮大な曲がかかると、すごいドラマチックな緊張感が生まれて、映像が違う意味を持ってくる。まあマカロニ・ウエスタンは低予算なんで、音楽で無理やり盛り上げようとしているだけかも知れないけど(笑)。今のは例えがよくなかったかもですが、自分も常に音楽が大きな役割を果たす作品を作りたいと思って、毎回試行錯誤しています」
渡辺監督は「自分の作品はいつもそうですが、ありえないほど音響にこだわってます。音楽だけじゃなくて、効果音とかセリフの、空間での響き。そんな繊細なところから、通常より音量デカめの(笑)音楽の入れ方まで、テレビのスピーカーで小さい音で聞いてもわからないところまでこだわってるんです。なるべくいい音で、いいヘッドホンとか使って見てほしいですね」とも語っていた。ぜひ、耳と目で作品の世界を堪能してほしい。
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