プレスリリース詳細 https://kyodonewsprwire.jp/release/202512231654
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電力ゼロでも、安全な水を。手動ポンプ式RO浄水技術が拓く農村の未来
2025年12月22日|日本・長野
信州大学、Community Jameel(コミュニティ・ジャミール)およびジャミール商事は、電力インフラのない農村地域における安全な飲料水へのアクセス向上に貢献する可能性を有する、革新的な浄水技術の実証試験成果が国際的学術誌「Results in Engineering」に掲載されたことを、長野県長野市の信州大学キャンパスにて記者会見を開き、公表しました。
現在、世界では約20億人が安定的かつ安全な飲料水へのアクセスを確保できておらず、これは人々の健康、教育、生活基盤、さらには心身の健康と生活の質(ウェルビーイング)にまで深刻な影響を及ぼす、極めて根源的な課題となっています。多くの農村地域では、水質汚染や不安定な電力供給により、逆浸透(RO)に代表される高度な浄水技術の導入が困難でした。
こうした課題に対応するため、信州大学 遠藤守信 特別栄誉教授と研究チームは、超低圧駆動と高い透水性を両立する新しいRO膜技術を開発しました。この技術により、従来は不可能と考えられていた条件下でもRO膜を使用した浄水が可能となりました。本RO膜は、浄水器に関する国際規格である NSF/ANSI 58認証を取得しています。
従来のRO浄水システムは高圧が必要であり、多くの電力に依存するのに対し、本技術は標準的なROシステムの半分以下の圧力で作動し、簡易な手動ポンプによる駆動が可能であることから、電力の利用できない環境に特に適しています。
本技術の有効性を検証するため、インドの西ベンガル州およびラジャスタン州の農村地域において、6か月間の実証試験が実施されました。その結果、本システムは以下の性能を示しました。
多くの市販RO膜と比較して、透水性能が約2倍
手動操作に必要なエネルギーを約50%低減
電力・バッテリー・太陽光発電を一切使用せずに動作
これらの試験結果は、Elsevier社の学術誌 Results in Engineering に掲載され、技術性能のみならず、住民による日常的な使用実態を反映した評価となっています。西ベンガル州およびラジャスタン州の両地域では、井戸水が安全でない、あるいは飲用に適さないと認識されていましたが、本ポンプを使用した住民からは、水の味や外観の改善、さらには健康状態の改善が報告されました。こうした実生活に基づくフィードバックは研究評価に組み込まれており、実験室での性能評価に加えて、コミュニティ実証の重要性を示しています。
本プロジェクトは、Community Jameel および ジャミール商事の支援のもと、インドの非政府組織である Seva Mandir および Rupantaran Foundation の協力により実施されました。
また、本研究は、2023年に信州大学において 遠藤守信 特別栄誉教授と面会したことを契機として、Community Jameel 創設者・会長であるモハメド・アブドゥル・ラティフ・ジャミール KBEにより推進されました。
Community Jameel 創設者・会長のモハメド・ジャミール KBEは次のように述べています。
「安全な水へのアクセスは、世界中の人々が直面する最も緊急性の高い課題の一つです。本プログラムを通じて信州大学の研究チームを支援できたことを大変うれしく思います。本技術は、何百万人もの人々に清潔な水へのアクセスをもたらし、地域社会の健康と生活の質を向上させる可能性を秘めています。」
現在、研究チームはこのRO膜技術の商業化およびスケール展開を検討しており、導入先となる地域社会に適合させた形での展開を重視しています。本技術は、農村世帯のみならず、災害時の緊急浄水や、インフラに依存しない持続可能な水供給にも貢献することが期待されています。
本研究論文の全文は、Results in Engineering 誌にてオンライン公開されています。
(DOI: 10.1016/j.rineng.2025.108228)
Community Jameelについて:
Community Jameel(コミュニティ・ジャミール)は、地域社会が持続的に発展していくために、科学と学びを推進するグローバル組織です。Community Jameelは、2003年にモハメド・アブドゥル・ラティフ・ジャミールKBEによって設立され、1945年にサウジアラビアのアブドゥル・ラティフ・ジャミールが築いた慈善活動と社会貢献の伝統を継承しています。Community Jameelは、気候変動、健康、教育といった分野における喫緊の人類的課題を理解し、解決をめざす、科学者、人道支援活動家、技術者、クリエイターを支援しています。Community Jameelの支援によって実現した取り組みは、数多くの重要な成果を生み出してきました。具体的には、MITジャミール・クリニックによる新規抗生物質「ハリシン(halicin)」および「アバウシン(abaucin)」の発見、インペリアル・カレッジ・ロンドンのジャミール・インスティチュートによるCOVID-19感染拡大の重要な数理モデル研究、そしてMITのアブドゥル・ラティフ・ジャミール貧困アクション・ラボ(J-PAL)共同創設者らが提唱し、ノーベル賞を受賞した、世界的貧困削減に向けた実験的アプローチなどが挙げられます。
ウェブサイト: communityjameel.org
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