一ノ瀬ワタル:「心の消費カロリーが大きかった」 主演映画「四月の余白」で挑んだ“受けの芝居” 胸に刻んでいたのは「愛」

映画「四月の余白」で主演を務めた一ノ瀬ワタルさん
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映画「四月の余白」で主演を務めた一ノ瀬ワタルさん

 映画「空白」(2021年)、「ミッシング」(2024年)などで知られる吉田恵輔監督の最新作「四月の余白」(6月26日公開)で主演を務めた一ノ瀬ワタルさん。元半グレで元受刑者という過去を背負いながら、道を踏み外しかけた子供たちに体当たりで向き合う主人公を演じた。吉田監督から求められたのは「受けの芝居」。「心の消費カロリーが大きかったです」と明かす一ノ瀬さんに、撮影を振り返ってもらった。

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 ◇撮影中、吉田恵輔監督と話したこと

 「四月の余白」は、吉田監督自身が多感な時期に出会った非行少年や、彼らを取り巻くコミュニティーをモデルに、他人の痛みも常識も理解できない少年たちと、そんな子供たちに本気でぶつかりながらも彼らに寄り添う大人の生々しいもがきを描いている。

 一ノ瀬さんが演じた主人公・西健吾は、元半グレで元受刑者。現在は海の見える地方都市で全寮制の更生施設「みらいの里」を運営し、非行少年や引きこもり、家庭に問題を抱える子供たちと向き合っている。あるとき中学校教師の草野冬子(夏帆さん)から、手に負えない生徒のことで相談を受ける。その生徒の一人が、他者の痛みを理解できず、暴力や犯罪を繰り返す澤海斗(上阪隼人さん)。「みらいの里」に預けられた海斗は最初、反発し暴れるが、共同生活の中で次第に変化の兆しを見せ始め……。

 撮影中、吉田監督と「『なんかいま、すごい映画を撮っていますね』みたいな話をしたんです」と明かす一ノ瀬さん。その裏には自分でも驚くほどの「心の揺れ動き」があったという。

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 「台本を読んだ時点では、自分にはまだそこまで分かっていなかったのですが、演じていく上で、西の子供たちへの愛というのがまずあって、過去があったとしても、現在は本当に無償の愛を捧げている、子供たちのことだけを考えている。ただ、それでも過去の罪は許されない、そのつらさというか……。心の消費カロリーがとにかく大きかったので、『これすごい映画なんじゃないの』と感じたというか」

 一ノ瀬さんが撮影中、西として胸に刻んでいたもの、それは「愛」だ。

 「とにかく西として、いちばん大事にしていたのは『みらいの里』の子供たち、そこへの愛。基本的にそれしか考えていなかったので、自分のことなんかどうでもいいって感じでした。現場では他のことは考えないようにしようと心がけていたので、ほとんど誰ともしゃべらなかったし。だから今回の現場でのエピソードはめちゃくちゃ乏しいんです(笑)」

 ◇とにかく脱力して、子供たちをただ受け止める芝居を

 役作りに関しては意外と心配性なところがあって、「助走は取れるだけ取りたい」「助走は長ければ長いほどいい」と考える一ノ瀬さんが、今作で挑戦したのが「受けの芝居」だ。

 「監督からも言われたのですが、『今回は一ノ瀬さんに“受け”をやってほしい』と。いままでは大体、自分から仕掛けていく、受け止めるのは相手って感じだったのですが、今回は受け止める側。だから、とにかく脱力して、子供たちをただ受け止める芝居を心がけました」

 結果「自分から動く方が気持ち的にも楽」と知った。

 「だからこそ心の消費カロリーが大きかったような気がします」

 映画では後半、海斗が施設を脱走してしまったり、西の過去も明るみになったりと、「みらいの里」の運営は揺らいでしまう。果たして、子供たちの未来はどうなってしまうのか、どんな結末を迎えるのか、見どころとなる。

 「何が正解だったのかは、この映画を見た人が決めるんだと思います。『西、かわいそうだね』という人もいれば、『いや、過去めちゃくちゃ悪いじゃん。そんなんで許されるわけないじゃん』という人もいるだろうし。もし、この映画ができてよかったなと思えることがあるとすれば、自分は変わりたいと思っている人がいて、その変わるための手助けになれたときというか。そういった歯車を1個でも回すことができたらいいなと思っています」

 ※吉田恵輔監督の「吉」は「つちよし」

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