るるぶ:ホラー小説に進出 半世紀の実績で作るモキュメンタリ―

「るるぶ」の初のホラー小説が8月28日に刊行される
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「るるぶ」の初のホラー小説が8月28日に刊行される

 ガイドブック「るるぶ」の初のホラー小説となる「るるぶ■■版 蓋ヶ瀬」(JTBパブリッシング)が、8月28日に刊行される。あたかも事実であるかのように作られた偽のドキュメンタリーである「モキュメンタリ―」の手法を用いる。冒頭は架空の地・蓋ヶ瀬のガイドブックで、途中から制作の過程を語る展開だ。出版の意図や背景について、編集担当の柿沼由樹さんに話を聞いた。

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 「変な家」(雨穴さん著、飛鳥新社)をはじめとするモキュメンタリ―的なホラー小説が近年、大きな話題を呼んでいる。柿沼さんは「地域情報の先駆者である『るるぶ』はモキュメンタリ―、中でも場所を用いたものと相性がいいのではないか」と考えたという。

 「半世紀以上にわたって続く『るるぶ』という器だからこそ、つける『嘘』がある」と柿沼さん。ホラー小説の体裁は通常のものと同様で、蓋ヶ瀬を紹介するガイドブック部分もおなじみの構成だ。しかしよく見ると「療養」といった項目や、おかしな表現や表記、写真がところどころにあり、読み手は違和感とともに物語世界に誘われる。「撮影場所は栃木県足利市で、関係する皆さんの協力を得ました。従って架空の地でありながら架空の地ではありません。これも半世紀の信頼のなせるわざでは」と柿沼さんは自信をのぞかせる。

 途中から小説の形で明かされていく製作の過程にも“らしさ”が光る。ある編集部員が蓋ヶ瀬の地に興味を引かれ、やがて……というストーリーには、普段の誌面作りや取材の姿が描かれている。取材協力を得るために関係団体とやりとりを交わしたり、取材に同行してもらったりといったシーンは「通常の『るるぶ情報版』でもよくある光景です」と柿沼さん。

 「今回、関係する皆さんにはフィクションである旨をお伝えした上で、実名での登場をお願いしたところもあります。嘘と真実の境界線があいまいになることで、モキュメンタリ―としての効果をより得られたのでは」と柿沼さんは振り返る。「ちなみに撮影中、カメラが急に動かなくなるというアクシデントがありました。もしかしたら、その時点で、ある意味で嘘と真実の境界線があいまいになっていたのかもしれませんね」

 「るるぶ」は2000年代の初頭から四半世紀にわたって「るるぶ 北斗の拳」や「るるぶ 忍たま乱太郎」などさまざまなマンガやアニメなどとコラボレーションをしてきた。「その上、ホラー小説までできる『るるぶ』の器の大きさを、これからも生かしていきたい」と柿沼さん。今後は「モキュメンタリ―をさらに深化させ、より恐怖のにじむホラー小説を作りたい。一方でホラーだけでなく友情や恋愛など、さまざまなフィクションをモキュメンタリ―で飾ることができるのではないか」と意気込みを語った。

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