人気グループ「SUPER EIGHT」の安田章大さんが、映画「平行と垂直」(小林聖太郎監督、8月28日公開)で俳優ののんさんとダブル主演を務める。初めて企画から参加した本作への思いや、自身も病気を経験して変化したことなどを聞いた。
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映画は、全ての物を平行と垂直に並べるこだわりを持つ自閉スペクトラム症(ASD)の兄・大貴(安田さん)と兄を支える妹・希(のんさん)を描く。「今回は、自閉スペクトラム症にフォーカスが当たっているんですが、向き合い方をちゃんと知って理解をしていくこと、一歩踏み出すことが大事なんじゃないかと。頭のどこかで思っているのに、行動に起こせないとか、起こさないっていう人が、やっぱり世の中にいっぱいいると感じています」という。
「行動を起こさないっていうのは、とりあえず自分の目の前の何かに追われていたり、世の中のみんながやっていないから二の次、三の次、もっと先の何の次みたいになっていたり。だけど、ちゃんと知ったほうがいいし、そのうえで向き合い方が分かっていたら、映画の中にあるような無理解なことが起きないんじゃないかなと思います」
また、多くの人が“普通”にとらわれていることにも疑問を持っていた。
「やたらとみんなが生きにくい顔をしているから(笑)。シュンとした顔でも元気な人もいるかもしれないんですが、みんな眉間にシワを寄せて生きてんなー、口角ずっと下がってんなー、なんでなんやろなーって思っていた。何をどうしたらいいんだろうって考えた時に、作品を通して体験したり感じてもらったりして、動き出せるきっかけになればいいな、と。きっかけを一旦は捨ててしまったとしても、数年後にきっかけがあったことを思い出すことが出来る。いつか発芽させることができるきっかけの種を持っておければいいのになと思いました」
さらに、「一人じゃないことに気づこうぜ」と呼びかける。
「本当に友達が少ない人でも、味方になってくれる人はいる。生きていると、いいことも、悪いこともある。だけど、悪いことばかりでもないし、たまにはいいこともあるぐらい人生はフェアだと思っているので、良いも悪いも経験しながら終着点に向かうってことを感じてほしいなと思っています」
企画から参加したことで変化したことがある。
「これは笑い話なんですが、僕が視聴者としてテレビを見ていると、『宣伝で来てんなー』という温度感は分かってしまう。『とりあえず宣伝なんで出させてもらってます』っていうのが如実に分かるパターンがあるから、今まで番組での宣伝が嫌いだったんです。今までの宣伝活動も、もちろん自分ができる最大限の真摯(しんし)な気持ちで向き合ってやってきていたけど、今作ではスタッフさん全員の思いを背負って宣伝で出させていただく意味をより一層実感できた。僕が1人でやっていても無理なものを、たくさんの人の協力のもと、作品として昇華して、誰かの人生を変えるきっかけに、誰かの人生を少しでも揺さぶるきっかけになるんだなというのを自分自身も体験したし、大事にしなきゃいけないと学びました」
役作りは「脚本に書かれていることを大切に」したという。
「あとは、自閉スペクトラム症の皆さんと会ったら、『演じるとかじゃないやん』って思ったのが答えでした。大貴がこれまでどんな風に生きてきて、未来をどう生きるのか。。妹と一緒に生きてきて、支えてくれた周りの環境があったということを現場で体験しただけの感覚です」
一口にASDと言ってもいろいろなパターンがあり、特性もさまざまであることを理解していったという。「大前提として、僕も普段から『みんな一緒じゃないに決まってる、当たり前やん』って思って生きてきた。自分の持っているその考えを引っ張り上げて、会えたみんながさらに教えてくれました」と明かした。
演技プランを練って撮影に臨んでいた妹役ののんさんとは、お互いが発する空気を吸って、相乗効果が生まれ、大貴を作り上げていった。
「大貴という人間ができあがったのは周りの人たちの影響力。人格って自分で作ってると思っていても、周りが作っているんですよね」
もともと安田さんが育ってきた中でずっと思っていたことなのかを聞くと「昔はとがっていたと思いますよ」と笑う。
「15、16歳ぐらいはちゃんと年相応に調子乗りで、ツッパって、ボディーピアスを開けるなど、ツンツンしていたと思う。20歳になったらなったで、ちゃんと酒を飲んで、25歳超えて、『そろそろ30歳に向かうな、やばいな』みたいな。ずっと抱えていた『僕、芸能界に向いていないな』『嫌いやな』っていうのはいつまでもなくならなくて、焦りもずっとあった。そういうことのすべてがひっくるまって、32歳の時に病気が発症しました」
2017年に脳腫瘍の一種である髄膜腫(ずいまくしゅ)の開頭手術を経験した。
「病気をきっかけに、ゼロに戻って、今までの考え方とか固定観念とか全部壊されて、出来なくなったものの多さに地獄に落ちた気分でした。5、6年悩み続けて、レジリエンスを重ねて、心的外傷後成長っていうのを繰り返しました。でも、今が最高って言えるのは、そのおかげだと思います。だから、たぶんこの先ずっと『今が一番ハッピー』って言っていると思います」
病気を経験したことで、家族やメンバー、仕事相手などとの関係性で、変わったことを聞くと、「知り合いでも、友達でも、他人でも、みんな家族みたいな感覚になった」と話す。
「勝手にパーソナルスペースに入ってこないでっていう人がいるのはもちろん分かっているので、ギリギリのラインまで行く。離れられても引かず、いつかまた『関わりたい』と思って戻ってくれる時までそこにいる。超絶ギリギリのパーソナルスペースに入る手前くらいで、みんなのことを思っています。もともとの性格もあったと思うんですけど、俺、あした死んでいるかもしれないと思うと、のんびりしている時間もうないやんって。武井壮さんが言っていた、ゴールから逆算する考え方にはまさに理解しかない。終活ってあるじゃないですか。終わりがあるからしているんじゃなくて、もう残りの人生ずっと終活みたいな、勝手に終活しているっていう(笑)。終わらせるための終活じゃなくて、楽しみながら生きるっていうことが僕の終活なんだと思っています」
「本当に毎日が最高という感じ(笑)。これが伝播していったらいいな」と期待を込めた。
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