東山奈央:「名探偵プリキュア!」インタビュー 半年抱え続けた秘密 キュアアルカナに込めた思い

アニメ「名探偵キュアアルカナ」の一場面(C)ABC-A・東映アニメーション
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アニメ「名探偵キュアアルカナ」の一場面(C)ABC-A・東映アニメーション

 人気アニメ「プリキュア」シリーズの第23弾「名探偵プリキュア!」。8月30日放送の第31話「名探偵キュアアルカナ」で、キュアアルカナの変身シーンがお披露目された。キュアアルカナ・シャドウ/森亜るるかは、プリキュアでありながら、なぜか怪盗団ファントムとして活動していた。その真の姿は、キュアアルカナで、黒から白にビジュアルも大きく変化し、キュアアンサーたちの仲間になるという驚きの展開となった。キュアアルカナ/森亜るるか役の東山奈央さんは、この秘密を抱え続けてきた。東山さんに、キュアアルカナに込めた思いを聞いた。

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 ◇キュアアルカナ・シャドウ人気に放送前はドキドキ

 「名探偵プリキュア!」のモチーフは「探偵」で、テーマは「自分で見て、感じて、考えて、“本当”の答えを出す」。「困っている人を助けたい」という思いを胸に探偵として活躍する女の子たちが主人公で、不思議な力に導かれ、明智あんなが現代の2027年から1999年にタイムスリップする。時代を超えて、プリキュアの新しい出会いと友情、成長の物語が描かれている。ABCテレビ・テレビ朝日系で毎週日曜午前8時半に放送中。

 「名探偵プリキュア!」の放送開始前、キュアアルカナ・シャドウのビジュアルが公開されると、SNSを中心にアニメファンから大きな反響があった。金髪と黒を基調としたデザイン、プリキュアであるにもかかわらず、なぜか怪盗団ファントムとして活動しているミステリアスな設定などが話題になっていた。

 「放送前、何もしゃべっていない段階から、すごく注目していただけて、皆さんの頭の中のキュアアルカナ・シャドウがどんどん大きく育っていたので、放送が始まって、私が演じることで『思っていたのと違う』となったらどうしよう……という心配もちょっとありました。でも、オーディションで選んでいただいていますし、スタッフさんも私を信じて託してくださいました。プレッシャーもありましたが、フラットな気持ちで臨めました。自分の中でキュアアルカナ・シャドウのイメージや表現したいものがしっかり固まっていましたし、玩具の収録なども通して軸ができていたので、迷うことなく、『キュアアルカナ・シャドウの魅力をしっかり出す』ということに集中して演じられました。変身シーンも神々しいくらいに美しくて、私自身も魅了された一人です。敵プリキュアとしてミステリアスな立ち位置での登場でしたが、皆さんにこんなにも愛していただけてホッとしています」

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 キュアアルカナ・シャドウがキュアアルカナになることは、これまで伏せられていた。東山さんは、オーディションの時点からキュアアルカナの存在を知っていた。

 「オーディションの資料の段階で、イメージカラーは『黒/白』と書いてあったんです。えっ、色が変わるんだ!とびっくりしました。敵として登場するので、クールでミステリアスに、言葉も少なく淡々としていたので、当初は敵っぽさのある役作りをしようとしました。今よりも少し大人っぽいイメージですね。スタジオオーディションで、初めてキャラクターデザインを見て、なんて可愛いんだ!と衝撃を受けて、自分が思っていたよりも、もう少し可愛らしさがないとビジュアルにマッチしないかなと思って、そのときに少し路線変更をしました」

 ◇るるかと共に歩み

 物語が展開するにつれ、キュアアルカナ・シャドウ/るるかの目的やキュアエクレール/帆羽くれあへの思いが明らかになっていく。

 「るるか自身は『世界を守る』『くれあを守る』『くれあを大王にさせない』という使命を背負っているけど、それがなければ本人は天然っぽいところがある女の子なんです。スタッフの方からそうレクチャーを受け、少しぽやんとした雰囲気のあるしゃべり方に寄っていきました」

 重たい使命を胸に秘めているが、可愛らしさもある。東山さんの演技からは、その絶妙なバランスを感じる。

 「いろいろな面を持ち合わせている女の子なので、演じるにあたっては感覚的な部分も大きく、言語化するのが難しいのですが、るるかのバックボーンを大切に演じようとしました。一人で使命を抱えている彼女の気持ちを演じ切らなくてはと、私もるるかと一緒に感情がぐちゃぐちゃになりながらここまでやってきました。『くれあが大王に違いない』という推理にたどり着いたとき、るるかの中に葛藤があったのかも分からないくらい、すぐ決断したんだと思うんです。マコトジュエルはウソノワールに盗られてしまっている。世界を守るために、そして大切なくれあを大王にさせないために、るるかの中でやるべきことは決まっていたんだと思います。キュアット探偵事務所にあったくれあにまつわる資料を破り捨てるシーンがありました。くれあとの大事な思い出のはずなのに、迷いなく淡々と捨てていく。それをマシュタンとシュシュタンが心配そうに見つめている……というシーンは、演じていて胸がギュッとなりました。るるかは『またくれあと一緒にいたい』という本音があったはずなのに、それを捨てて一人で使命を抱え込んで苦しんできたんだなと」

 第23話「くれあと推理とアイスクリーム」で、るるかとくれあが対峙(たいじ)するシーンは、るるかの使命が明らかになってから見直すと印象が変わってくる。

 「誰がキュアエクレールなんだろう?と推理してもらうためのエピソードだったのですが、核心に迫るやり取りです。最初、るるかの憂鬱があまりにもお芝居に出てしまって、『ちょっと暗すぎます。さすがにバレちゃいます(笑)』『もう少し抑えてください』というディレクションを受けて、調整しました。『くれあだけが怪盗団ファントムのフィールドの内側にいた』というのが決定的なヒントでした。でも、いつかこのお話を見返してもらえたときに、るるかの感情がにじみ出ていると分かってもらえるような、絶妙な塩梅を意識して演じました」

 東山さんは「この作品は2周目も絶対に面白いんです!」と力を込める。

「なんでここの息はうれしくなさそうなんだろう?など全部意味がつながってきます。演出面でも細かいこだわりがあって、例えば、第23話でフィールドに入ったくれあに対して『あっちには行かせない』とロッドを出すシーンがあるのですが、牽制するなら前に突き出せばいいのに、少し横側にずらして出しているんです。あれはきっとくれあを危険なところへ行かせないようにしている気持ちの表れだと思います。でもその後、キュアエクレールになってから対峙するときは、真正面に突き出すシーンがあって。あなたを倒すために容赦はしないという意志が伝わってきます。ロッドの扱い方一つにもキュアアルカナ・シャドウの覚悟が現れています。細かい!と感動しました」

 ◇線をつなぎ切った達成感

 「アフレコはいつも本当に楽しいです!」というが、演じる中で苦しいエピソードもあった。

 「休憩中は長谷ちゃん(キュアエクレール/帆羽くれあ役の長谷川育美さん)の隣に座って、楽しくしゃべっているのですが、収録が始まると敵同士に切り替わります。ある意味メリハリがすごかったですね(笑)。ただ、キュアアルカナ・シャドウが大きな闇の力で極限状態に陥ってエクリプス・シャドウになるときだけは、さすがに休憩中も長谷ちゃんと話せなかったです。切り替えが難しいですし、私もスタジオの隅で一人になって闇落ちしていました。るるかと一緒に孤独を感じて、『収録が始まります』と言われ『はい……』と向かうような感じで挑みました」

 キュアアルカナになったことで演技に変化はあるのだろうか。

 「アルカナになったからといって別人になるわけではないし、るるかの意識は地続きにあります。ただ、ずっと一人で重い荷物を抱え込んできたるるかが、その荷物を下ろした後の声の明るさや表情、内側からあふれ出る多幸感は、それまでとは全然違います。自分を偽らず、本心のままに仲間と一緒に生きていいんだという喜びが声に乗っています。るるかはロンドンにいたときはキュアアルカナだったわけですから、白から黒へ、そしてまた白に、ということになりますね。だからといって最初の白とも意味合いは違いますし、黒だった自分を乗り越えて、新たな自分としての一歩を踏み出しているのだと思います」

 第31話ではキュアアルカナの変身シーンがお披露目された。

 「私たちにとっては初めて見るキュアアルカナの変身ですが、るるかにとっては初めての変身ではないわけです。変身セリフ自体、言い慣れているはずなんですよね。私は何度もプリキュアシリーズのオーディションを受け続けてきたので、ようやく変身セリフを言えるという万感の思いがあるのですが、キャラクターにとっては初めての口上ではないという珍しいパターンなんです。あくまでもるるかにとっては言い慣れたものなんだという前提の中で、このシーンだからこその幸せを込めたトーンで演じるという難しさがありました」

 キュアアルカナの変身シーンを経て、東山さんの気持ちにも大きな変化があった。

 「ほかのキャストにも秘密にしたまま一人で抱えてきた半年間だったので、自分としては、ここで一つの線をつなぎ切り、ゴールしたという達成感があります。ここからは現場のみんなとも同じ目線でいろいろな推理をしたり、語り合っていくことができるという楽しみも増えました!」

 るるかの目的や思いが明らかになり、物語が大きく動いたが、まだまだ波乱の予感もある。

 「『名探偵プリキュア!』ですから、これで一件落着!と終わるはずがありません。一難去って、また一難が待っているはずです。ここからは私も今後の展開を何も知らされていなくて、まだまだ分からないことばかりです。ここからは私も純粋に推理を楽しみながら、チームで収録に臨んでいきたいです。[敦桑30.1]キュアアルカナになってからるるかの新たな可愛らしさや魅力もたくさん出てきますので、ぜひ楽しみにしていてください!」

 るるかは、キュアアルカナとしての新たな一歩を踏み出した。複雑な背景と重厚なドラマを経て、白の輝きを取り戻したるるかを、東山さんが今後どのように演じていくのか。繊細かつ力強い演技から目が離せない。(阿仁間満/MANTANWEB)

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