深川麻衣:「一瞬でいろんなことがひっくり返る」 かつて抱いた“キャラ”が独り歩きする「怖さ」 元アイドル役に共感のワケ

映画「逃げろお嬢さん」で元アイドルの鮎川舞子を演じた深川麻衣さん
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映画「逃げろお嬢さん」で元アイドルの鮎川舞子を演じた深川麻衣さん

 「国宝」「横道世之介」の吉田修一さんの短編小説が原作の映画「逃げろお嬢さん」。同作で、ある事情があり、逃亡を続ける元アイドルの鮎川舞子を演じたのが深川麻衣さんだ。舞子(原作のあだ名はマイマイ)とは名前もよく似ていて、元アイドルという共通点もある。さらに深川さんは、舞子のある心情に深く共感したという。その理由を聞いた。

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 ◇映画では疑惑の元アイドルに

 「逃げろお嬢さん」は、吉田さんの短編集「逃亡小説集」に収録の同名短編を、ロックバンド「King Gnu(キングヌー)」の井口理さんの主演で実写化。主人公の康太(井口さん)は、親の仕事を継ぎ、山荘を営んでいた。ある小道で前を走る車の様子がおかしいと心配して車を止めると、運転していたのは、高校時代から康太が推している元アイドルの鮎川舞子(深川さん)だった。ニュース速報で、舞子の夫が薬物で逮捕され、舞子自身も疑惑の中、行方不明になっているという報道を見たばかりの康太は混乱するが、これまでの人生を照らし続けてくれた“推し”である舞子に、今の自分ができることを全うしようと心に決める……。

 映画のメガホンをとったのは、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)や劇場版アニメ「スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(2008年)の脚本家としても知られる伊藤ちひろ監督。井口さんの初主演映画「ひとりぼっちじゃない」(2022年)も手がけた。

 深川さんは「完成した作品を見たとき、このチームだからこその映像になったなとすごく感じました」と話す。

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 「吉田さんの原作は文章だけでもすごく面白かったのですが、映像になったときに伊藤監督が切り取る目線や、撮影部、照明部の皆さんをはじめとしてチーム全員の技術が集結して、出来上がった雰囲気のある作品だと思いましたし、とにかく(ロケ地の)長野の自然が本当に美しくて、映画館でこの作品を見てほしいなって」

 そのほか映画からは「想像膨らませられる余韻」も感じた。

 「多分、1回見ただけでは分からない、もしかしたら説明を聞かないと理解できない部分もあって。『なんでだろう』と頭の中に『?』が浮かぶような余韻が結構、映画の端々に散りばめられていて。自分が出てないシーンも含めてすごく新鮮な気持ちで見ることができました」

 主演の井口さんの「お芝居に向き合う姿勢」にも刺激も受けた。

 「井口さんと伊藤監督は今回でご一緒するのが3作目とお聞きしていたのですが、すごく細かく丁寧に、監督と相談しながらワンシーンごとにすり合わせていくのを間近で拝見できて。井口さんは多分、役の気持ちを自分の気持ちに落とし込まないとせりふが言えないタイプの方なのではと感じました。だからすごくお芝居が素直でウソがない。そういう演じ方って誰しもができるわけじゃないし、すごく勇気がいることだと思うのですが、役者としての本来のあり方というか、すごく素敵なことだなと思って、自分もああなりたいなと刺激になりました」

 ◇乃木坂46時代に「聖母」と呼ばれ…

 そんな井口さん扮(ふん)する主人公・康太の高校時代からの“推し”である元アイドルの鮎川舞子とは、名前や経歴など自身と重なる部分は多く、当然、共感もした。

 かつてアイドルグループ「乃木坂46」の一員として活躍し、優しく穏やかな性格も手伝ってか、名前から採られた愛称の“まいまい”に加え、「聖母」と呼ばれていた深川さん。

 「映画の最後の方で舞子が康太に弱音を吐くようなシーンがあるんですね。そのときに舞子が言っていた言葉はすごく自分も感じたことがあったので、ものすごく共感できました」

 その言葉とは? 劇中「私を知らない誰かが流す一方的な情報で、私がどんどん変化して膨らんでいく。破裂するまでやめてくれない」と吐露した舞子……。

 「アイドルグループにいたときは、どうしても人数が多い分、役割が自然と決まっていくので『◯◯キャラ』と当てはめられやすかったんです。それって決して悪いことではないし、覚えてもらえてありがたかったのですが。でも、そこが膨らみすぎてしまうと、本当の自分から乖離してしまうというのはどうしてもあって。私の場合は『優しい』から派生して『何をしても一切、怒らない』と思われたりもしましたし……」

 当時の深川さんが抱いていたのは「そういうイメージを持たれている私が、何か一つでも間違いを犯せば、一瞬でいろんなことがものすごい勢いでひっくり返る」怖さだった。

 「舞子ほどの窮地に立たされたことはいままでないですけど、同じように人前に立つお仕事をしている身として、舞子の気持ちは理解できましたし、その苦しみや不安は、ものすごく分かるなと心の中で思いながら、演じることができました」(睦月光/MANTANWEB)

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