注目映画紹介：「名探偵コナン　絶海の探偵」　イージス艦内で巨大な陰謀が渦巻く

　青山剛昌さんのマンガが原作の人気テレビアニメの劇場版最新作「名探偵コナン　絶海の探偵（プライベート・アイ）」（静野孔文監督）が20日に公開された。劇場版第17弾となる今作は、海上自衛隊のイージス艦に乗り込んだコナンたちが、艦内で発生した自衛隊員殺害事件の謎を皮切りに、潜入したスパイと日本を揺るがす国家機密を巡りスリリングな攻防を繰り広げる。海上自衛隊の全面協力で描かれたイージス艦をはじめとする迫力のある映像も話題だ。殺人事件の重要な鍵を握る人物、謎の女性自衛官・藤井七海の声で女優の柴咲コウさんがゲスト出演。主題歌はシンガー・ソングライターの斉藤和義さんが、今作のために書き下ろした「ワンモアタイム」が採用されている。

ウナギノボリ

10年前の朝ドラ「花子とアン」　当時の吉高由里子インタビュー

　京都・舞鶴港沖で開催される海上自衛隊イージス艦の体験航海に参加したコナン（声・高山みなみさん）や蘭（声・山崎和佳奈さん）、小五郎（声・小山力也さん）、そして少年探偵団のメンバーたち。航行を楽しんでいると、突然ごう音がとどろき左腕のない遺体が発見される。コナンたちは捜査に乗り出すが、艦内に某国のスパイ“X”がまぎれ込んでいることを知る。この航海には、実は日本を揺るがす巨大な陰謀が隠されていた……という展開。

　アニメながら海上自衛隊が協力しただけあり、リアリティーあふれるイージス艦内部の描写などは圧巻。脚本もハードでダイナミックな印象を受け、大人も楽しめる仕上がりだ。とはいえコナンが考えるべきことや探すものなどを示してくれるので、子どもにも分かりやすく楽しめる。また「俺が見つけてやるよ」という新一のせりふがあるが、蘭との絆の深さが伝わってくるシーンへとつながったときには思わずジーンとくる。物語のキーとなるアイテムがいくつか出てくるが、特に存在感を放つ小五郎の名刺には注目だ。アクションは少なめながら随所に張り巡らされた伏線と重厚かつスピーディーな展開、最後に待つ衝撃と見どころは十分。ゲスト声優である柴咲さんの声もコナンの世界観にマッチしており、物語を大いに盛り上げてくれる。TOHOシネマズ有楽座（東京都千代田区）ほか全国で公開中。（遠藤政樹／毎日新聞デジタル）

　＜プロフィル＞

　えんどう・まさき＝アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もOKと、どこへでも行きなんでもこなす、吉川晃司をこよなく愛する自称“業界の便利屋”。