新妻聖子:女優、歌手として「私はつねに貪欲」 最新作「ファースト・デート」に主演

インタビュー応じた新妻聖子さん
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インタビュー応じた新妻聖子さん

 女優で歌手の新妻聖子さんが主演するミュージカル「ファースト・デート」が11月から東京・日比谷のシアタークリエで上演される。新妻さんは、2003年に5000倍のオーディションを勝ち抜き、ミュージカル「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役でデビュー。以降、舞台やドラマにも活躍の場を広げ、06年からは歌手としても精力的に活動している。「どの現場でも私はつねに貪欲です」と語る新妻さんに、芸能界を目指したきっかけや現在の仕事、今後の目標について聞いた。

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 新妻さんは、1980年生まれの愛知県出身。父親の仕事の関係で11~17歳までをタイで過ごし、帰国後は上智大学に入学。在学中に「王様のブランチ」(TBS系)のリポーターに採用されたことで芸能活動をスタートした。

 「もともとは歌手志望でした」という新妻さん。そのきっかけは「タイに引っ越した小学校高学年のときに初めて友達とカラオケに行って、そこで歌を褒めてもらったんです。私が歌うことでみんなが喜んでくれるのがうれしかったし、私も歌うことが楽しかった」と語る。そして大学入学後に、夢の実現に向けて動き始める。

 「オーディション雑誌を買ってきて、複数のレコード会社や芸能事務所にデモテープや履歴書を送って。そして、ある事務所にスカウトしていただいたんですが、レコード会社が決まらず夢破れて……」と一度は挫折。なかば歌手への夢をあきらめ、大学3年で就職活動を始めていたところに、「王様のブランチ」の仕事の話が舞い込んだ。「社会勉強のつもりでオーディションを受けてみたんですが、就活の結果が届く前に合格の知らせをいただいて。それで、大学卒業までは可能性にかけてみようと思いました」と再び奮起する。

 そしてリポーターの仕事を始めた矢先、新妻さんに「運命的なチャンス」が訪れた。「『レ・ミゼラブル』の主催者からオーディションの誘いをいただいたんです。大学の授業で鼻歌程度に3秒くらい歌ったことがあったのですが、同じ授業を受講していた人がそれを覚えていてくれて。言葉も交わしたことのない先輩だったんですが、数年後に『レ・ミゼラブル』の関係者の方と雑談していた中で私のことを思い出して、推薦してくれたようで。人生何があるか分からないものです……」と当時を振り返る。

 結果、見事オーディションに合格。「レ・ミゼラブル」でデビューし、次作では「ミス・サイゴン」のヒロイン・キム役に抜てきされる。以降、さまざまなミュージカル作品に出演し、10、11年と2年連続でミュージカル誌が選ぶ女優部門1位を獲得するなど、日本を代表するミュージカル女優に成長した。そんな新妻さんの最新作が、海外ドラマ「ゴシップガール」の脚本家、オースティン・ウィンズバーグさんが手がけてブロードウェーで上演されたラブコメディー「ファースト・デート」だ。

 新妻さんとダブル主演を務めるのは、今回初共演の“ミュージカル界の貴公子”と呼び声高い中川晃教さん。「実は『レ・ミゼラブル』に出演が決まるまでミュージカルを見たことがなかったんですが、勉強のために最初に見たのが中川さん主演のミュージカルだったんです。とても素晴らしくて、『こんなボーカリストがこの業界にいるんだ!』とミュージカルに挑戦する上で私の大きなモチベーションにつながりました」と中川さんへの特別な思いを語り、新妻さんは初タッグを「念願かなった」と喜ぶ。

 作品については「現代の設定で“恋愛あるある”が盛りだくさんのストーリー。曲もわりとポップス寄りなので、聴きやすいと思います。時間も長すぎず気軽に見られるサイズですし、劇場の大きさも広すぎずせますぎずちょうどいい。ミュージカル初心者の方にも抵抗感なく見られる作品ですので、ぜひ、その“入り口”として足を運んでいただけたら」とアピールする。

 03年の“運命的な”巡り合わせのデビュー以来、ミュージカル歴は今年で12年目。新妻さんはこれまでの集大成として、10月15日には初となるミュージカルナンバーだけで構成した「新妻聖子コンサート~Musical Party~よみうり大手町ホール」も開催する。「年に1回はコンスタントにコンサートを行ってきたんですが、今年はようやく“ミュージカル”という冠をかかげたものに挑戦してもいいかなと思えるようになりました。12年といったら、ちょうど小学校を卒業する年。とりあえず基礎課程は終わったのかな」と控えめながらも、12年間積み重ねたことへの“自信”を口にする。

 ミュージカルの分野で着実にキャリアを重ねる一方で、新妻さんは現在、ストレートプレーである舞台「炎立つ」に出演中。「ミュージカルと違って音楽の助けがあまりないので、間合いや空気感などせりふ力が鍛えられます。私個人の実力が足りないことをストレートプレーの現場に行くたびに思い知らされるんですね。私の中ではミュージカル、ストレートプレー、歌手というゴールデントライアングルがあって。すべて頑張っていれば、おのずと各分野の底上げにつながるんです」と充実感をにじませる。

 そのため、今後についても「女優、歌手として自分の中で限界を作らず、とにかくいろんなことに挑戦したい」と目標を語る。「今の段階で、世間一般の方は私に対してよくも悪くもイメージが定まっていないと思うんですね。なので、どんなこともやってみたい。どの現場でも私はつねに貪欲です」と瞳を輝かせていた。

 <プロフィル>

 にいづま・せいこ。1980年10月8日生まれ、愛知県出身。上智大卒。大学在学中の2002年、「王様のブランチ」(TBS系)でタレント活動を開始し、03年にミュージカル「レ・ミゼラブル」で女優デビュー。以降、ミュージカル「ミス・サイゴン」(04年)でヒロインのキム役を演じ、05年の「サド侯爵夫人」で第31回菊田一夫演劇賞、06年の「マリー・アントワネット」で平成18年度文化庁芸術祭演劇部門新人賞を受賞。06年には「夢の翼」でCDデビューを果たす。現在は、舞台「炎立つ」に出演しているほか、10月15日にはソロコンサート「新妻聖子コンサート~Musical Party~よみうり大手町ホール」を開催。また、11月22日からはミュージカル「ファースト・デート」に出演する。

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