注目映画紹介:「人生の約束」 竹野内豊主演 富山・新湊の美しい景色と人と人との絆に心震える

「人生の約束」のワンシーン (C)2016「人生の約束」製作委員会
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「人生の約束」のワンシーン (C)2016「人生の約束」製作委員会

 俳優の竹野内豊さんが主演し、ドラマ「池中玄太80キロ」シリーズなどで知られる石橋冠監督が初めて手がけた映画「人生の約束」が9日に公開される。360年の歴史がある富山県射水(いみず)市新湊地区「新湊曳山(ひきやま)まつり」を題材に竹野内さんが演じるすべてを失ったIT関連企業のCEO・中原祐馬の再生を描く。祐馬に敵対心を抱きながら徐々に打ち解けていく新湊の漁師役で江口洋介さんが出演。西田敏行さんやビートたけしさんも出演するなど豪華な顔ぶれがそろっている。

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 会社を拡大することにしか興味がないIT企業CEO・中原祐馬(竹野内さん)は、共に起業しながらも会社を追い出す形で決別したかつての親友・航平から携帯電話に何度も着信があることに気づく。胸騒ぎを覚えた祐馬は航平の故郷の富山県・新湊を訪れるが、航平は既に亡くなっていた。町内会長の西村玄太郎(西田さん)に話を聞くと、病で余命わずかだった航平は、最後に曳山につながりたいと故郷に戻っていた。会社を追い出した揚げ句、航平からの電話を無視し続けた祐馬を許すことができず、航平の義兄で漁師をしている鉄也(江口さん)は祐馬に殴りかかる。そんな中、航平の忘れ形見の少女・瞳(高橋ひかるさん)は、祐馬にある頼みごとをする……というストーリー。

 名作といわれる「池中玄太80キロ」シリーズもそうだったが、石橋監督の演出は、日本の原風景といわれる景色と人と人とのふれあいのバランスが絶妙だ。今回も新湊の赤い灯台と青い海の色、人と人とがつながる曳山(山車)など、自分の故郷でなくても懐かしいと思えるモチーフがちりばめられている。都会のスタイリッシュなIT企業の社長という役柄がぴったりの竹野内さんは、親友の思いを継いで曳山を引いているうちに、いつの間にか「イヤサーイヤサー」と町の人と一緒に大きな声を出し、最後には温かい涙が頰を伝っていた。その心の変遷を、見ている方も一緒にたどることができ、最後は祐馬と一緒に心を震わせることになる。

 今作は西田さんやたけしさんら日本を代表する俳優が数多く出演しているが、中でも江口さんの日焼けした顔に角刈りの漁師姿が意外にも似合っていて驚いた。また、親友の娘役で出演している高橋さんの昭和の香りのする存在感も光っていた。西田さんや竹野内さんら共演者もそのピュアな存在感に太鼓判を押し、これから伸びる逸材かもしれない。美しい景色を見ながら、いつの間にか人と人との絆を感じ温かい気持ちになるハートウォーミングな会心作だ。9日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほかで公開。(細田尚子/毎日新聞デジタル)

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