この「テミスの不確かな法廷 インタビュー」ページは「テミスの不確かな法廷」のインタビュー記事を掲載しています。
俳優の松山ケンイチさん主演のNHKの「ドラマ10『テミスの不確かな法廷』」(総合、火曜午後10時)で、前橋地裁第一支部に勤める執行官・津村綾乃を演じる市川実日子さん。2月3日放送の第5話「書証主義と人証主義」では活躍が描かれた津村についてや、自身と役との共通点、第4話の合気道シーンなどについて語った。
「テミスの不確かな法廷」は、直島翔さんによる異色のリーガルミステリーが原作。発達障害を抱えた裁判官が、⾃らの特性と格闘しながら難解な事件に挑む法廷ヒューマンドラマで、脚本を、フジテレビ系の連続ドラマ「イチケイのカラス」や「絶対零度」シリーズなどの浜田秀哉さんが手がける。
市川さん扮’(ふん)’する津村は、前橋地方裁判所第一支部の執行官。確定した判決や命令に従わない相手に対し、財産の差し押さえや家屋の明け渡しなどを確実に執行させる役割を担うため、「取り立て屋」と揶揄(やゆ)されることもある。執行ごとに手数料収入が発生する独自の給与制度から、正義感よりも現実的な損得勘定で動く一面も。赴任してきた“変わり者”安堂(松山さん)のうわさを聞きつけ接触を図るが、 敵か味方か、その真意は謎に包まれている。
市川さんにとって「悩みながら撮影」だった。
「世間にあまり知られていない執行官であることとか、(その中でも数の少ない)女性であることとか、執行官を調べながら脚本を読んでいると、どんどん難しい役柄に思えました。監督が話してくださる津村像があるのですが、限られたシーンの中で津村のどんな面を大事にしたらいいんだろう……と悩みながら撮影をしていました。津村って、ポンっと出てきて、そこで発したちょっとした一言が周りのヒントになっていくような役なので、分からない時は監督と対話しながら進めました」
またドラマに対しては、台本を読んだ時と完成した映像を見たときと「全くイメージが違って驚きました」と明かす市川さん。
「キレイな光の質感が印象的だったのと、安堂もとても可愛いらしくて、それによってほかの登場人物も、みんなそれぞれの可愛らしい部分が浮かび上がってくるような 印象を受けました」
そして、自身が想像していたよりも、安堂の持つADHDやASDの特性の表現が「分かりやすく感じた」とも。
「実際に松山さんと本番で対面したときに、実は少し戶惑ったんです。物語の中で安堂はそれを隠している設定で、私(津村)がここで何か気になったりするとせりふの意味合いが変わってくる。台本にもそのあたりの心情については細かく書いていないので、どんな距離感で接したらいいんだろうと、悩んだときもありました。でもこの作品は、安堂のドラマで、悩む安堂とその周りの人がそれをどう見ているのか。周りの人の見方が変化していくのも、このドラマが描く部分なのかもしれないなと、撮影をしながら考えていました。完成した作品を見ているうちに、『ぼくは宇宙人。みんなの普通が分からない』と言っている安堂より、他の人たちの方が宇宙人じゃないかと思えて来て。 改めて『普通』ってなんだろう、ないと思っているつもりだったけど、私も人に振りかざしているときがあるなと考えるきっかけも頂きました」
そんな市川さんに役との共通点や相違点を聞いた。
「共通点を必死に探してみたところ……、津村は人から何か頼まれたときに、『対価は?』と、何かごちそうしてもらうような発言をします。でもたぶん、実際には対価は受け取らないタイプなのかなと思いました。そう考えると私も、年下の方や気を遣われそうな方の何かお手伝いをしたとき、『すみません……」と言われたら、すぐに『じゃあ、100円〜!』という冗談を言うことがあります。それを思い出したときに、『対価は?』は、津村独自のコミュニケーションや気遣いなのかもしれないと思いました」
津村の活躍が描かれた第5話で印象に残っているのは「グエンさんの部屋のシーン」だという。
「元執行官の方にご指導いただきながら、執行のシーンを体験できたことと、来生春役の石田莉子さんは大人っぽく見えるときもあれば、少女のあどけなさを感じるときもある、なんともいえない魅力を持った方でした。覗き込んだ私(津村)と一瞬目を合わせたときの表情がすごく印象的で、シャボン玉の表面のような輝き方をする彼女の目がとてもキレイだったことを覚えています。グエン役のジュリウスさんも、静かにとても集中力のある方で、役なのかご本人なのか、分からなくなってしまう瞬間が何度もありました」
前週第4話では、津村が合気道で相手をねじ伏せるシーンもあった。
「4話の合気道シーンは、練習に一度うかがってすぐに終わってしまったので不安でしたが、お世話になったアクションコーディネーターの方のご指導と、本番のときの相手の方の受け身が本当に素晴 らしくて……。なんとか、本番を終えることができました(笑)。また、5話では練習時にお相手してくださった方が執行業者役として出演もされていて、共演できたのもうれしかったですね」