この「惑星ラブソング インタビュー」ページは「惑星ラブソング」のインタビュー記事を掲載しています。
曽田陵介さん主演で、6月13日に全国公開された映画「惑星ラブソング」(時川英之監督)に出演している俳優でモデルの秋田汐梨さん。「平和への祈り」「未来への想い」をテーマとし、現代の広島を主な舞台に描かれた本作についてや、大学卒業を経ての今の思いなどを語ってもらった。
◇「惑星ラブソング」でヒロイン 英語での演技にも挑戦
映画は、終戦80年になる現代の広島を舞台にアメリカ人観光客と広島の若者たちが出会い、過去と現在が交錯する不思議な物語。秋田さんは、主人公・モッチ(曽田さん)の幼なじみでヒロインのアヤカを演じた。
広島を訪れる謎のアメリカ人旅行客・ジョン(チェイス・ジーグラーさん)らとのシーンでは、英語での演技にも挑戦した秋田さん。
「英語のせりふは、とにかく録音されたものを聴いて、言葉の意味を含めて覚えていったのですが。でもお芝居をしながらだと、ジョンの話している言葉がうまく聞き取れなくて……『あれ、もうそこまで行っているの?』って感じで、台本を読んでいるときはちゃんと理解して覚えたつもりだったのに、現場ではしっかりと聞き取れないこともあって。自分がどこでリアクションしたらいいのかが分からなくなってしまうときがあって、そこは難しかったです」
そんな苦労は感じさせないほど、劇中ではナチュラルな演技を披露している秋田さんは、ヒロインのアヤカにどんな印象を抱いていたのか。
「アヤカはとにかく一途に真っすぐにやりたいことに突き進む女の子。自分と似たところもあったので、役作りを工夫したというよりかは、シンプルにとにかくやりたいことに突き進むアヤカを演じようと。モッチ役の曽田さんがフレンドリーに撮影以外でもたくさん話しかけてくださったおかげで、幼なじみの空気感も自然と出来上がって、本当に場に身をゆだねてアヤカを演じることができたと思います」
◇“80年前”に思いはせ「見たあとの時間を大切にしてほしい」
本作を通して、80年前の戦争、原爆投下などに思いをはせることは当然あった。
「もともとは学校の授業で習ったことくらいの知識しかなかったので、出演が決まってから、自分なりに改めて勉強をしたり、広島平和記念資料館に足を運び、一つずつじっくり説明を読んで回りました。被爆者が使っていたもの、焼けた服、子供の三輪車などあって、すごくつらい気持ちになりましたが、今までその時代を生きていた方の生活や心情まで想像して、歴史を学ぶことがなかったので、今回はより深く歴史と向き合うきっかけになりました」
映画には美しい現代の広島の姿が映し出され、おいしそうな広島風お好み焼きも登場する。撮影は昨年の3月に行われ、撮休の日には市内の散策や、地元グルメも満喫したという秋田さんは「見ていて広島に行きたくなる映画でもあるんじゃないのかなって。時川監督が広島出身で、地元愛の強さが如実に出ていると思います」と話す。
加えて「この映画は、見ている時間もとても大事だと思うのですが、見たあとの時間を大切にしてほしいなって」といった思いも。
「これから自分たちは何ができるのか、問いかけている部分はあって、見たあとそれで終わりにせずに自分自身が未来に何ができるかって考える時間を持ってほしいですし、必然とそう思ってしまうような作品になっているとは思うので、そこが皆さんに伝わったらいいなと思います」
◇大学生活で得たもの 今後は「もっと自分発信の演技を」
秋田さんは、10代の頃から雑誌の専属モデルとして活躍し、俳優として映画やドラマに出演。その中には「惑星ラブソング」のようなヒロイン役もあった。演技の原点の一つが6年前の話題作「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)。当時、最年少生徒であったが、いまや22歳となり、この春には「人生の経験、この先の選択肢として行っておくべきだ」と進んだ大学を卒業するという節目を迎えた。
「高校3年生の時点ですでに(この先も)お芝居をやりたいとは思っていたけれど、“俳優一本で!”とそこまでの決心がついていなくて、一生これで生きていけるか不安もあったから、大学は絶対に行っておくべきだという思いで進んだのですが。経営学部だったので、お金のこととか、人生において役立つことが学べて、すごくいい時間だったし、先生とのメールのやりとりとかで普段は使わない言葉遣いも勉強できて、社会的な知識も身に付いて、人間力は上がったなと自分では思っています。あんなにも課題に追われることも今後、絶対にないと思うので、撮影の合間でパソコンに向かって卒論とか書いていた時間とか、『あんなにもがむしゃらにできた自分はすごかったな』とほめてあげたいです(笑)」
ちなみに卒論は「自身の心理状態がもたらす芝居への影響、みたいなものを書きました」と明かす秋田さん。自身は、没入感の深さからか「うまく役になれたときのお芝居のことを鮮明に覚えていないことが多い」とも語っているが、“仕事一本”となった今、改めて思うこととは……。
「今までは学生であるってところに甘えていた部分もあったので、“一本”になったからには、より真摯(しんし)に向き合わなくてはいけないですし、自由な時間が増えた分、その時間をいかに役に使えるかが大事だなって思っています。今後はもっと個性を持って自分発信の演技をしていきたいとも思うので、自分の中から出てきた感情を使ってもっとお芝居したいですし、自然と生まれる間みたいなものを生かせる女優さんになっていけたらいいなと思っています」