この「演じ屋 Re:act インタビュー」ページは「演じ屋 Re:act」のインタビュー記事を掲載しています。
5月24日午後11時からWOWOWで放送・配信される連続ドラマW-30「演じ屋 Re:act」で、俳優の磯村勇斗さんとダブル主演を務める奈緒さん。自身にとって主演作の続編となるが、「全然考えたことなかった」と驚いたような表情でほほ笑んだ奈緒さんに、演じることをモチーフにした作品に臨む心境や普段の演技との違い、30歳まであと1年となった心境などを聞いた。
◇“演じ屋”と“俳優” 演じ方の違いは
2021年7月に放送・配信された連続ドラマ「演じ屋」のシーズン2。依頼された役になりきる職業・演じ屋のアイカ(奈緒さん)とトモキ(磯村さん)は、惨殺されるフリをする依頼を受けるが、本当の惨殺事件と勘違いした刑事ともめている間に、ホームレス暴行事件が発生。捜査を妨害したことで演じ屋は事件に協力する……と展開する。
ドラマ内でさらに別の人物を演じることについて、「演じるという部分では、自分の仕事と近しいところもあります。一つ違うなと思うのは、私たちの芝居はエンターテインメントの一つで、その人の人生に直接的には入り込まないこと」とニュアンスの差を分析する。
「演じ屋は、人の人生に関わるところまで直接的に入っていって芝居をする。より危険も伴いますし、大きな覚悟を持ってやらないといけない仕事だと思います。純粋にそこまでできるのはすごいと感じる部分はあります」
演じ分けをどうしているか質問すると、「普段ならアイカを『どう演じるか』『どう向き合うか』を考えるところを、今作はそのアイカが(別の人物を)演じるとはどういうことなのだろうと、演じることに普段よりも客観性を持って向き合う必要があります。そこは遊べる部分もあって面白い」と答える。
撮影前に方言の音声テープも用意されていたオリジナルの訛(なま)りを使うシーンでは、「アイカは準備時間も少なく割と付け焼き刃的というかパワーで乗り切っている面もある」ことから、「架空の方言にしましょうとなった」という。
「アイカたちがどこまでできるかをみんなで考えながら、俯瞰(ふかん)で考えながら、アイカとして演じることに向き合うのは、俳優の演技とは違う演じ方で面白いし、考えながらやるのは楽しいです」
◇20代最後の1年は“運試し”にチャレンジ
2000年代初頭に野口照夫さんがインディーズ作品として制作した「演じ屋」の続編「演じ屋reDESIGN」(2019年)にも出演していた奈緒さん。今作でも監督・脚本を務める野口さんとの出会いを、「自分の中でも大きい。現場の右も左もあまりよくわかっていないような状態でしたが、芝居をしたいという私の心の声をすくい上げていただいた」と感謝する。
WOWOWの連続ドラマとしてもシーズンを重ねたことを「『演じ屋』に出会えたことは、とてもラッキーだと思っています」と話し、キャリアの中でも「特別感がある」と口にする。
「純粋に面白いものを作りたい気持ちで作ったものが、たくさんの人に愛されて、どんどん広がっていくのを感じています。なかなかできる経験ではないので、味わえているだけでも励みになるし幸せ」
そんな奈緒さんは今年で29歳。「もう29歳ですね」と笑う奈緒さんは充実した20代を送れていると語る。それでも「正直10代の頃は、30歳の自分なんてイメージできていなかった。『仕事続けているのかな』『誰か隣にいるのかな』といったことは考えていたけど、まったく想像ついていなかった」と明かす。
「29歳になっていろいろ聞いていただく場面が増えたこともあって、30歳になることを意識せざるを得なくなったというか。自覚しはじめてはいます」といい、「このまま気がついたら30歳になっているといいなというのが、今の気持ちです」と自然体を心がけたいと語る。
最後に、20代最後の1年でやっておきたいことを聞くと、「『29歳のうちに懸賞を当てたい』ということだけは決めました」と回答が返ってきた。
「29歳になったとき何か一つと思って決めて宣言しました。商品についている応募券が必要で、現場のみんなも協力してくれる雰囲気になったけど……甘えちゃイカン!と思って。うれしいけど自分の力だけで懸賞を当てたい。20代最後の運試しに挑戦中です」
連続ドラマW-30「演じ屋 Re:act」は5月24日から毎週金曜午後11時に、WOWOWプライム・WOWOWオンデマンドで放送・配信される。全7話。(取材・文・撮影:遠藤政樹)