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解説:「仮面ライダーゴースト」スタートから10年 “アラン様”磯村勇斗はいまや映像界に欠かせない存在に 語っていた「自覚」とは

「仮面ライダーゴースト」で仮面ライダーネクロム/アランを演じた磯村勇斗さん

 50年以上の長い歴史を持つ人気特撮ドラマ「仮面ライダー」シリーズで、10年前のきょう(10月4日)、テレビ放送が始まったのが、西銘駿さん主演の「仮面ライダーゴースト」だ。平成仮面ライダーシリーズ第17作で、磯村勇斗さんも仮面ライダーネクロム/アラン役で出演していた。磯村さんといえば、振り幅の大きな役を見事に演じ分けることから「カメレオン俳優」などと呼ばれ、いまや映像界に欠かせない存在に。その一つの原点となるのが「仮面ライダーゴースト」であることは間違いない。磯村さんが、かつて語っていた「自覚」とは……。

 ◇「幽霊」モチーフの「仮面ライダーゴースト」

 「仮面ライダーゴースト」は、その名の通り「幽霊(ゴースト)」がモチーフで、変身後の仮面ライダーのフォームには、宮本武蔵、アイザック・ニュートン、トーマス・エジソンといった英雄や偉人をイメージしたものが取り入れられた。

 18歳の誕生日に天空寺タケル(西銘さん)は謎の怪人・眼魔に襲われ、命を落としてしまう……という主人公の死から始まるも、謎の空間で出会った仙人風の男の計らいで、タケルは一時的に復活。しかし、完全に生き返るためには、英雄の魂が込められた15個の目玉形のアイテム・ゴースト眼魂(アイコン)を探し出さなければならず、タケルは仮面ライダーゴーストとして襲い来る眼魔を倒しつつ、眼魂を探し始めることになる。

 やがて、眼魔との戦いは、世界の行く末を左右する事態につながっていく……。

 西銘さん、磯村さんのほか、山本涼介さんが仮面ライダースペクター/深海マコト、大沢ひかるさんがヒロインの月村アカリを演じ、工藤美桜さんや西村和彦さん、竹中直人さんらが出演した。

 ◇俳優として必要なことをすべて教えていただいた

 前述の通り、2015年10月にテレビシリーズが始まった「仮面ライダーゴースト」。磯村さんはその前年に芸能界入りと、当たり前だが当時は新人。仮面ライダーの撮影現場は「俳優として必要なことをすべて教えていただいた場所」だった。

 芝居やアクションはもちろん、アフレコも経験し、イベントでファンの前で話す機会もあり、トークスキルも学んだという磯村さんは、「まだまだ未熟だったので、監督からは厳しく言われることもありましたし、正直つらかったこともありました。今となっては俳優としての基礎を学ばせていただいた、すごく魅力的な時間だったと思えます」と振り返っている。

 そんな磯村さんは「仮面ライダーゴースト」放送終了後の翌年には、NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「ひよっこ」(2017年度前期)に出演。当初は見習いコックで、途中からヒロイン・みね子(有村架純さん)と恋人関係となり、のちに結婚した“ヒデ”こと前田秀俊を好演したことをきっかけにブレークする。

 「『ゴースト』があったからその後の朝ドラにもつながりましたし、出演するまで無名だった自分が、子供たちから大人の方々にも知っていただいて。出演の前と後では(芸能活動の)状況が一変しました。仮面ライダーがあったから今の自分がありますね」と考えを語っていた。

 ◇ヒーローの自覚は「永遠」

 以上の発言は全て、2023年春、静岡市の清水文化会館マリナートで開催された「生誕50周年記念 THE仮面ライダー展」のアンバサダーを務めた際に、インタビューで磯村さんが話してくれたこと。また「一度仮面ライダーになった以上」ヒーローの自覚は「永遠」だとか。

 それゆえ、心掛けていることもあるといい、「放送当時から、子供たちの夢を背負っているという意識は常に持っています。私生活でも、子供たちのお手本にならなきゃいけないと思っていて。これからも、憧れを持ってもらえるような活動をしていきたいです」と決意を口にしていた。

 近年も活躍は続き、実際に起きた障害者殺傷事件をモチーフにした辺見庸さんの小説が原作の映画「月」(石井裕也監督、2023年)での演技が高く評価され、「第47回日本アカデミー賞」の最優秀助演男優賞を受賞。連続ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系、2024年)の“ムッチ先輩”も話題となり、民放連ドラ初主演作となった「僕達はまだその星の校則を知らない(ぼくほし)」(カンテレ・フジテレビ系、2025年)も先月、好評のうちに幕を閉じた。

 この先も、ますます目を離すことができない俳優となっていくのだろう。

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