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3年Z組銀八先生:「銀魂」らしさを分析、研究 学園舞台に変わらぬ魅力 東田夏実監督インタビュー

テレビアニメ「3年Z組銀八先生」の一場面(c)空知英秋・大崎知仁/集英社・「3年Z組銀八先生」製作委員会

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された空知英秋さんの人気マンガ「銀魂」の小説「銀魂 3年Z組銀八先生」が原作のテレビアニメ「3年Z組銀八先生」が、テレビ東京系ほかで10月6日から毎週月曜 深夜0時に放送される。監督を務めるのは、「魔入りました!入間くん」「東京ミュウミュウ にゅ~」などに参加してきた東田夏実さん。テレビアニメ「3年Z組銀八先生」は初監督作品となる。東田監督に制作の裏側を聞いた。

 ◇「銀魂」で学園ドラマの中で成立させる

 「銀魂」はコミックスのデジタル版を含む世界累計発行部数は約7300万部の人気作。これまでテレビアニメ、劇場版アニメ、実写化されるなどさまざまなメディアミックスが展開されてきた。2003年の連載開始から20年以上にわたって愛され続けている。テレビアニメ「3年Z組銀八先生」は、舞台を江戸から学園に移し、「銀魂」のキャラクターたちが暴れ回る。

 東田監督はこれまで「銀魂」に参加した経験はないが、テレビアニメ「3年Z組銀八先生」の監督に抜てきされた。

 「子供の頃からアニメを見ていましたし、誰もが知っている人気作ということで、プレッシャーがありました。今回、お話をいただき、見直してみると、やっぱりキャラクターが魅力だと感じました。バカばっかりやっている人たちですが、それぞれに芯があって、人生における美学もあります。そのギャップが愛されている大きい部分になっていると思います。坂田銀八は、『銀魂』の坂田銀時とは少し違うところもありますが、それ以外のキャラクターは『銀魂』と変わらず、『銀八先生』の世界線で日常を送っています。そこは絶対に変わらないように気を付けようとしました」

 坂田銀八は、3年Z組の担任として登場する。だらしなく着た白衣にサンダル、死んだ魚のような目という高校教師にふさわしくない性格と風貌だが、なぜか生徒に一目置かれている。

 「『銀魂』の坂田銀時は、みんなの先頭に立って物語を引っ張っていく牽引力のあるキャラクターです。でも、『銀八先生』では、先生っていう立ち位置で、生徒たちの一歩後ろで見守りつつ、背中をポンと押すような存在なので、『銀時』よりもアクティブさが抑えられています。『銀魂』の時は、走るシーンのイメージもありますが、『銀八先生』は走るわけではなくて、常にけだるそうで、サンダルを引きずりながら歩きます。坂田銀八役の杉田智和さんにも、『銀時』の時よりもけだるそうな雰囲気を常にまとっているような芝居でお願いしますとお話させていただきました」

 舞台は学園ではあるが、「銀魂」であることを大切にしようとした。

 「新たな学園アニメを作るのではなく、『銀魂』を学園ドラマの中で成立させることを目指しました。『銀魂』で敵対していたキャラクターも、3年Z組という箱の中に入って一緒に日常を送ることになります。全員が制服という没個性的な服を着せられ、一つの空間に入りますが、『銀魂』の時と変わらず好き勝手をします。基本的にカオスなんだけど、坂田銀八の一言でピシッと締まる時もあります。『銀魂』本編では見られなかったところもあります。ただ、『銀魂』であることを忘れてはいけません。自分の演出の色を出そうとかは一切なくて、『銀魂』を分析、研究して、『銀魂』のファンの方に楽しんでいただくことを第一に考えていました」

 ◇「銀魂」ならではの音楽ライン

 「銀魂」を分析、研究する中で“らしさ”をどのように考えるようになったのだろうか?

 「セリフ回しも独特ですし、『銀魂』といえば……という表現もあります。ギャグアニメは、絵がデフォルメされることはありますが、『銀魂』は生っぽいお芝居で、顔もリアルさが残ります。先生の原作からそうなので、そこは崩さないように気を付けました。今回、『銀八先生』で初めて『銀魂』に携わるスタッフもいるので、方向性が違う時は、修正してもらうこともありました」

 東田監督は「アニメ化発表から約1年7カ月。この間に本当にいろいろなことがありました。これ本当に完成すんの……?って思う時もありました」ともコメントしていた。

 「大変でした。第1話の冒頭でもその辺りは映像で表現しています。『銀魂』らしさと言いましたが、捉え方が人によって違いますし、このアニメで何を目指すのか?を何度も話し合いました。苦労したことの一つとして音楽の入れどころもあります。『銀魂』と同じくAudio Highs さんに全曲書き下ろしていただいたのですが、『銀魂』ならではの音楽ラインの引き方があるんです。『銀魂』のギャグシーンは、常に音楽が流れていて、バラエティー番組みたいなところもあります。『銀魂』らしい音楽ラインには苦労して、音響監督の郷田(ほづみ)さんと相談しつつ、決めていきました。第1話のダビングで、これは難しい……となって、『銀魂』の音楽を研究し直して、落とし込んでいこうとしました」

 東田監督をはじめ、初めて「銀八先生」に参加するスタッフも多かった。ギャグアニメではあるが、「本気ですね。モザイクやピー音を入れる時も誰一人笑っていません」とスタッフは真摯に作品に向き合った。

 「自分を含めて新しいスタッフで『銀八先生』を作ろうというところから始まっています。キャラクターデザイン・総作画監督の竹内進二さんや編集の白石あかねさん、音楽のAudio Highsさんらに参加していただき、『銀魂』を知り尽くしている皆さんを信頼していましたが、メインは新しいスタッフです。でも、新しくなったと思われるのではなく、『銀魂』がまた始まったと思っていただけることを目指しました」

 「おねがいマイメロディ」「プリパラ」「魔入りました!入間くん」などで知られる森脇真琴さんが総監督を務めたことも話題になっている。

 「演出になる前、制作をしていたのですが、『プリパラ』で森脇さんとご一緒させていただきました。演出になってからもコンテを見ていただいたり、先生みたいな存在です。今回は、音響や編集に立ち会っていただいたり、コンテを書いていただいたりしましたが、現場は基本的に任せていただきました。森脇さんからは『向いているんじゃない?』と言っていただきましたが、やっぱりギャグは難しいですね。楽しいのですが」

 「銀魂」らしさを守りながら、新スタッフとともに作り上げたテレビアニメ「3年Z組銀八先生」。笑いとカオスに満ちた学園生活が、「銀魂」ワールドをさらに広げていく。長年のファンもきっと引き込まれるはずだ。

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