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解説:普遍的名作「がんばっていきまっしょい」 “日常系部活モノ”の原点かつ金字塔 なぜ初アニメ化? 

「がんばっていきまっしょい」(原作:敷村良子「がんばっていきまっしょい」(幻冬舎文庫))

 敷村良子さんの青春小説が原作の劇場版アニメ「がんばっていきまっしょい」(櫻木優平監督)が10月25日に公開される。実写映画化、ドラマ化もされた名作で、初めて劇場版アニメ化される。“普遍的名作”とも呼ばれる「がんばっていきまっしょい」は、なぜアニメ化されることになったのだろうか?

 ◇原作者に「新しいものにさせてください」とお願い

 「がんばっていきまっしょい」は、愛媛県松山市を舞台に、ボート部に青春をかける女子高校生の成長や心のゆらぎを描いた小説で、1995年松山市主催の第4回坊っちゃん文学賞大賞受賞。1998年にアルタミラピクチャーズ制作で映画化され、異例のロングラン上映となる。映画版でデビューした主演の田中麗奈さんが、俳優として活躍を始めるきっかけとなった。アルタミラピクチャーズ制作の青春映画の礎となった作品で、続いて制作された「スウィングガールズ」「ウォーターボーイズ」なども社会現象を巻き起こした。2005年には鈴木杏さん、錦戸亮さん主演で連続ドラマ化された。

 時代を超えて愛される普遍的な名作が、宮崎駿監督の短編アニメ「毛虫のボロ」でCGディレクターを務め、劇場版アニメ「あした世界が終わるとしても」などでも知られる櫻木監督の手によってアニメ化される。

 櫻木監督は原作について「『がんばっていきまっしょい』というタイトルは十代の頃に映画を見て知り、その後、原作である小説も読んで、自分の中では“女の子ががんばるモノ”今で言うと“日常系部活モノ”の原点かつ金字塔のような作品だと感じていました」と語る。

 櫻木監督は、これまで数々の3DCGアニメを手掛けており、「がんばっていきまっしょい」も3DCGで制作された。最初から「がんばっていきまっしょい」をアニメ化することが決まっていたわけではないといい、アニメ化に至った経緯を「まずCGで描くことは最初から決まっていたので、マンガのように既に手描きの絵のイメージが定着していない小説から探しました。さらにこれはCGじゃないと描けないと言える要素のあるもの、今回の場合は水上でボートを漕ぐ表現などがCG向きと言えます。その上で、原作自体が持つ知名度やタイトルのキャッチーさなどを踏まえ、『がんばっていきまっしょい』を候補に挙げげました」と説明する。

 懐古的にならず、新しい作品にするために、時代設定を現代にするなど“2024年のアニメ”として制作しようとした。

 「原作から離れすぎると全く別ものになってしまうので、キャラの配置は原作をベースに設計しています。原作者の敷村さんに依頼する際には『新しいものにさせてください』とお願いしたのですが、快諾してくださいましたし、常に前向きなコメントを返してくださり、母校やボートの情報もご提供いただけて、とてもありがたかったです」

 ◇新しい青春アニメ映画の誕生

 アニメは、「五等分の花嫁」などの大知慶一郎さんが脚本、「ラブライブ!」などの西田亜沙子さんがキャラクターデザインを担当し、主人公・村上悦子役の雨宮天さん、佐伯姫役の伊藤美来さん、高橋梨衣奈役の高橋李依さん、兵頭妙子役の鬼頭明里さん、井本真優美役の長谷川育美さんらが出演。豪華スタッフ、声優陣によって、少女たちのみずみずしく、色あせない物語がアニメ化される。

 原作者の敷村さんは「夢が理想の形で現実になりました。私の高校時代の思い出がアニメの翼をつけて広い世界に飛び立っていき、わくわくしています。アニメならではの鳥の視点で、ボート競技の迫力や、ふるさと愛媛・松山の美しさが再現されています」と映像美を絶賛。

 「何度も原作の舞台に足を運び、一番いい形でビジュアル化してくださった制作スタッフの皆様に心から感謝しています。スポ根ではないスポーツを描いた新しい青春アニメ映画の誕生、そのタネに私の小説が選ばれてうれしいです。ひたむきに部活に打ちこむ若者の姿は、時代が変わっても、見る人の胸を熱くします。この作品とともに私もエールを送ります」と熱い思いを語っており、期待が高まる。

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