この「ヴィジランテ インタビュー」ページは「ヴィジランテ」のインタビュー記事を掲載しています。
堀越耕平さんの人気マンガ「僕のヒーローアカデミア(ヒロアカ)」の公式スピンオフが原作のテレビアニメ「ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」で、アーティストのこっちのけんとさんの書き下ろしの新曲「けっかおーらい」がオープニングテーマ(OP)として流れる。昨年大みそかの「第75回NHK紅白歌合戦」初出場も話題になったこっちのけんとさんにとって初のアニメタイアップとなる。「けっかおーらい」の制作の裏側や、自身にとってのヒーロー像について聞いた。
◇ヒーローとは? 「ちょっと前までは兄だった」
「ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-」は、古橋秀之さん脚本、別天荒人さん作画のマンガで、集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で2017~22年に連載された。「僕のヒーローアカデミア」本編の数年前の日本を舞台に、人々に認められ活躍するヒーローの裏側で、誰にも認められずとも誰かを救わずにはいられない非合法(イリーガル)ヒーロー・ヴィジランテたちのドラマが描かれる。
こっちのけんとさんは、年齢を重ねるごとに、また「ヴィジランテ」に関わるようになって、より「ヒーローって何だろう」と考えることが多くなったという。「自身にとってヒーローと思える存在は?」と聞くと、「今は完全にうちの妻ですね」という答えが返ってきた。こっちのけんとさんは、俳優で歌手の菅田将暉さんの弟でもあり、「ちょっと前までは、うちの兄だったり、父親だったりしたんですけど」と語る。
「『僕のヒーローアカデミア』の世界観で言うと、多分僕のヒーローは菅田将暉なんですけど、今は『ヴィジランテ』の世界観で生きていて、こっちで言うと、僕のヒーローはうちの妻になる。妻って、強いというよりは、気がついたら僕のことを助けてくれているというか。僕にとって、すごく親近感のあるヒーローみたいな意味で、ヒーローはうちの妻ですね」
ヒーローの捉え方自体が変わってきたという。
「元々ヒーローは、憧れ、スターという感覚だったのですが、今は『身近な』という意味でヒーローという言葉を捉えています。自分には関わっていないところで地球を救っている人をヒーローというのか、自分の隣にいる人をヒーローと呼ぶのか。それで言うと、僕の中では後者なので」
そうした思いは、楽曲「けっかおーらい」にも込めているという。
「ヒーローという言葉は、大きくてキラキラしたイメージがあるので、この曲を通して、もっと自分の身近にいる人だったり、両親、子供とか身近な人もヒーローだよと伝えたいなと思っています」
◇“ヴィジランテ”を歌で表現 「人のために」に音楽を
自身にとって初のアニメタイアップ曲となった「けっかおーらい」では、挑戦もあったという。
「この曲を作るにあたって、ヴィジランテはヒーローでもなければ、ヴィランでもないみたいなところがあるので、これをどうにかして曲で表現したいというのが、自分の中の挑戦でした。結果的にその解決策になっているのが、サビ前の部分をちょっと声色を明るくというか、ひん曲がった発声の方法にしていて。ヴィラン風というか、自分の中に天使と悪魔がいたとしたら悪魔の感じの歌い方にして、サビをよりヒーローっぽく歌うことによって、“ヴィジランテ”という言葉を表現できているんじゃないかと。それがイリーガル感につながればいいな、不気味な格好よさが伝わればいいなと思います」
こっちのけんとさんは、イリーガルヒーローに特別な思いもあるという。
「憧れるのは真っすぐなヒーローですけど、自分がなるのは無理だなと思っているので、イリーガルというか、身近なほうになりたいなとは思っちゃいますね。何でもできるタイプではないので、できる範囲で、人のためになれればな、と」
「人のために」という思いは、音楽活動において大切にしていることでもあるという。
「僕の音楽を好いてくれる人がいなければ、僕もやっていないので。そういう意味では、本当に『人のため』というか。最初は自分のために曲を作っていたんです。でも、徐々にそれが人のためになれていると思うと、自分の曲、自分のことが誇らしく思えてきて、自尊心が上がるというか。結果的に自分の心の平和につながっているので、人のために自分の体を動かす。要はサービスの精神、おもてなしの精神みたいなものは、自分にとってもいいことなんだなと思うので。結局『人のためになりたい』という自分の欲求ではあるんですけど、でも、それが自分が生きる上で大切かなとは思いますね」
こっちのけんとさんの「ヴィジランテ」への思い、ヒーローへの思いが込められた「けっかおーらい」。アニメと共に楽曲を味わいたい。