この「映画サユリ インタビュー」ページは「映画サユリ」のインタビュー記事を掲載しています。
「ミスミソウ」「ハイスコアガール」の押切蓮介さんのマンガを実写映画化した「サユリ」(公開中)で主演を務める俳優の南出凌嘉さん。子役出身で、2016年の「映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!」では、実写パートの主人公・天野ケータを演じたことでも知られる南出さんも、この8月で19歳に。本作で目指したものとは何か、話を聞いた。
◇大事にしたのは「まず何より、原作へのリスペクト」
「サユリ」は、とある家族が夢のマイホームへと引っ越した途端、次々と不可解な現象に襲われる……というホラー作。映画の出来栄えについて「すごく新しくて面白い映画になりました」と南出さんは手応えをのぞかせる。
「怖さ、恐ろしさはもちろん、切なさもあって、感動するお話にもなっている。ホラー映画では感じることがないような爽快感や満足感があると思います」
押切さんの原作を「可愛い丸いタッチの絵柄なのに、すごく恐ろしいことを描いている。そのギャップで“風邪をひきそう”」と表現する南出さんが、実写映画で主演を務めるにあたり、大事にしたのは「まず何より、原作へのリスペクト」。
「その上で、完全になりきるのではなくて、マンガで成り立っていたものを、いかに現実に落とし込むかってところはすごく大切にしました」
メガホンをとったのは、映画「不能犯」「貞子 vs 伽椰子」などの“奇才”白石晃士監督。南出さんは「やってほしいことを提案して、一緒になって考えて、指示もくれる“ザ監督”」との印象を抱いた。
「監督が『ここはゆずれないので、こうしてほしい』という場合もあるし、僕の方から『ここはこうしたいのですが、どうでしょうか』と言って、『じゃそれで一回やってみようか』となる場合もあって。そのトライ&エラーの中で、すごく的確な指示をしてくれる。とてもやりやすくて、僕は演じていて、とても心地よかったです」
◇目指したのは「見てくれる人たちに恐怖を伝播させる演技」
南出さんが演じたのは、引っ越し先の家に棲みつく少女の霊「サユリ」の仕業により、次々と不可解な現象に襲われる一家の長男・則雄。
「僕は結構、シンパシーを感じて。『なんでこうするんだろう?』という疑問や考察、読解力を必要としない役でした。自分の中にストンッと落とし込めて、やりやすかったですし、ぴったりな役だと思いました」
そんな則雄役で目指したのは「見てくれる人たちに恐怖を伝播させる演技」
「やっぱりホラーなんで、怖がってもらわなくてはいけないじゃないですか。今まで経験させていただいた作品と比べて今回、違ったのは、たとえ悲しんでいるシーンだとしても、僕の悲しむ姿を通して、観客に怖さという圧をかけなくてはいけなかった点。ホラーに限らず、見てくださる方に感情を共有してもらう演技を、もっとやっていかないといけないなって、一つ課題が見つかった気がします」
◇「ウロボロス」で幼少期役 生田斗真の姿に見た「これこそが役者」
2012年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「純と愛」でデビューし、子役として活躍。近年も、連続ドラマ「姉ちゃんの恋人」(カンテレ・フジテレビ系、2020年)や「ひきこもり先生」(NHK、2021年)、朝ドラ「らんまん」(2023年)に出演と、順調に作品を重ねる南出さんだが、「俳優というお仕事にちゃんと憧れを抱くようになった」のは小学3年生の頃だという。
「子供の頃から現場に行くのはずっと楽しくて、そこはいまも変わらずなのですが。小学3年生の頃、(2015年のドラマ)『ウロボロス』で僕が生田斗真さんの幼少期を演じた際、生田さんの役作りの姿勢とか、“僕が成長して生田斗真さんになったんだ”ってことを、生田さんの演技の端々に感じることができて、『これこそが役者なんだ』『僕もこれをやりたい』とより強く思えたというか」
今年春に高校を卒業し、今は役者一本の南出さんは今後、挑戦してみたい役に「悪役」を挙げた。
「悪役をやってみたいですね。しかも『フィクサー(黒幕)』と言われるような、人の上にたつような悪役。完全な悪、ヒールをやってみたいなって思っています」