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マンガ「ファイブスター物語」(KADOKAWA)などで知られる永野護さんの初の大型展覧会「DESIGNS 永野護デザイン展」が2月10日、EJアニメミュージアム(埼玉県所沢市)でスタートした。「重戦機エルガイム」「機動戦士Zガンダム」「ブレンパワード」「シェルブリット」「ファイブスター物語」「花の詩女 ゴティックメード」などこれまでの制作物の原画やイラスト、設定画、ラフスケッチといった約340点が厳選して展示されている。同展の見どころの一つは、商業デビュー前の作品の展示だ。デビュー前の作品ではあるが、完成度が高く、その後の作品にも通じるブレない軸のようなものを感じる。同展の魅力を解説する。
◇日本サンライズ採用のきっかけになったスケッチ
永野さんは1960年生まれ、京都府舞鶴市出身。1983年初頭、永野さんは友人の紹介で、アニメ制作会社の日本サンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)の植田益朗プロデューサーに自身がデザインしたメカのスケッチを見せたことをきっかけに、日本サンライズ初のデザイナーとして採用された。1984~85年放送のテレビアニメ「重戦機エルガイム」でキャラクターとメカデザインに抜てきされ、注目を集めた。1986年にアニメ誌「月刊ニュータイプ」(KADOKAWA)でマンガ「ファイブスター物語」の連載をスタートした。
同展では、永野さんの活動をまとめた年表に続き、「デス・アンカー」という原画が展示されている。SF雑誌「スターログ」が主催した「第2回国際SFアート大賞」の応募作で、1982年に制作された。オペラカラーと呼ばれる蛍光ピンクとロイヤルブルーのコントラストが鮮烈で、その後の永野さんの作品の独特の色彩に通じるものがある。
◇設定、ファッションへのこだわり
日本サンライズの植田プロデューサーに見せたメカのスケッチも展示されている。レーザー砲装備の空中戦車のスーパーデストロイヤーは、角断面の長砲身という永野さんが好むモチーフを確認できる。
ジェット機メーカーが作ったという設定のバイクのアイアンホースは、「標準小売り価格」も記載されている。永野さんのメカ、キャラクターは緻密な設定が魅力の一つになっている。当時から細部まで設定にこだわっていたことがうかがえる。
ヘルメット、コスチュームなどのスケッチには、材質や特殊用途についても言及され、ブーツの底までしっかりデザインされている。永野さんはファッションへのこだわりが強く、コスチュームデザインも高い評価を得ている。デビュー前のスケッチは今見てもオシャレだ。
1986年に連載をスタートした「ファイブスター物語」は、モーターヘッド、ゴティックメード、キャラクターのコスチュームなどのデザインが変化してきた歴史がある。一方で、ブレない軸のようなものも感じる。デビュー前のスケッチは既に完成度が高く、その後の作品とのつながりを垣間見ることができるはずだ。同展は3月24日まで。
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